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村上 喬一朗(オリックス)捕手のルーキー回顧へ



村上 喬一朗(法政大)捕手 168/82 右/右 (東福岡出身) 





 「しぶとい」





 素材的にはA級だとは思わないけれど、プレーに良い意味でのしぶとさが感じられる 村上 喬一朗 。プロの世界でも、長く生き残って行ける可能性があるのではないのだろうか。


(ディフェンス面)

 ミットをしっかり投手に示し、そのグラブを地面に下げる癖がありません。キャッチング・フットワーク・打球への反応も素軽く、ワンバウンド処理でも下からスッと自然に出てくるタイプ。ランナーがいなくても一球一球立って投手に返球するなど、プレーに手抜き感がないところが良いところ。それでいて、テンポの良さも確保できています。

 二塁までの送球は、1.9秒前後。圧倒的な地肩で魅了するタイプではなく、捕ってから素早く投げるタイプ。プロの捕手としては、精度含めて平均レベルの送球の選手ではないのだろうか。適度に声かけ、指示も出せる選手であり、ディフェンスに関してはプロでやれるだけの資質は備わっているように思えます。あとは、リードなどが磨かれれば、面白い存在になりうるのではないのでしょうか。





(打撃内容)

 長打で魅了するタイプではないのですが、リーグ戦で試合に出るようになった3年秋から4年秋までの3シーズンは、いずれも3割を超えるなど、適度な打力を誇ります。特に右方向への打球も多く、しぶとくボールに食らいついたりして、ヒットにつなげることも少なくありません。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えています。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、腰の据わり・全体のバランスとしては並ぐらい。両眼で前を見据えることはできており、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができます。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げてまわしこみ、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに我慢できています。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対し、食らいつくように拾ってヒットにすることができていました。彼の打撃の真骨頂は、こういった粘りにあると言えると思います。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で力みなくボールを呼び込めるのは良いのだが、バットを引くのが遅れがちなので注意したい。バットの振り出しは、少し遠回りに出てくる感じなので、極端ではないがロスは感じられる。それでも思いっきり引っ張ったくので、打球は力強い。

<軸> ☆☆☆★ 

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動もそこそこ。体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びてキレイな軸回転ではスイングできるている。適度に内モモの筋肉には強さが感じられ、強い打球を打てる原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 タイミングの取り方が平凡で、スイング軌道には多少ロスは感じられる。それでも受け止める下半身はしっかり止まっているし、軸を起点にスイングもできている。スイングにも強さが感じられるので、ひ弱さは感じられない。他のポジションでというほどの打力はないものの、捕手に求められる打撃の資質は持ち合わせているように思える。


(最後に)

 プレーに手抜き感がなく、それでいて雑なところも観られない。打者としても全力で一塁まで駆け抜けるなど、プレーに貪欲さが感じられるし、ボールに食らいつくしぶとさも観られる。けして資質としては図抜けた素材ではないが内面的な部分はかなり推したくなる選手。これにリードセンスなどが加わってくると、育成5位でも長くプロで生き残って行ける選手になれるのではないのだろうか。イメージ的には、いまFA戦線で話題になっている 嶺井 博希(DeNA)的なキャッチャーではないのだろうか。個人的には思わず、  を記してみたいと思わせてくれた。


蔵の評価: (下位指名級)


(2022年 秋季リーグ戦)