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吉田 賢吾(桐蔭横浜大4年)捕手 180/86 右/右 (横浜商大高出身) | |
こと打つことに関しては、今年の大学・社会人の候補のなかでも、一番評価できるのは 吉田 賢吾 ではないかとみている。どの試合をみても、必ず1本はヒットを打つなど爪痕を残してくる。 (ディフェンス面) 昨年までは、捕手としては可も不可もなしといった感じだった。今年に入っての変化は、かなり補球の仕方などには成長の跡が感じられるのではと。元々フットワークや打球への反応など、足回りや動きは悪くない。むしろ丁寧さや洞察力など、そういったきめ細やかさに物足りなさを感じるタイプで、今もその辺は大きく改善されているとは言えない。 スローイングに関しては、1.85~1.9秒台前半ぐらいでプロレベルだと 平均的 。精度という意味では、、ドラフト候補としては 中 ~ 中の下 ぐらいかといった気が。ディフェンス全般でみると、将来正捕手を担える選手かと言われると物足りなさは残ります。ただし、打撃で圧倒できる可能性があり、「打てる捕手」 もしくは一塁&三塁 あたりで大成するといった可能性も加味すると、このディフェンス力でも指名はありなのではないかと考えています。 (打撃内容) 大学3年生までの通算打率は4割ちょうどで、昨年DeNAに指名された 梶原 昂希(神奈川大)外野手が、通算で.299厘であったことを考えると、実績的にはかなり上回ります。昨秋も5本塁打を放ち注目されましたが、この春も5本塁打を記録。むしろ、優勝を賭けた終盤戦で、あまりアピールできなかったのが痛かったです。それでもリーグ戦では、打率.414厘を記録し、さらに通算打率を伸ばしました。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップの高さは平均的。昨年は、もう少しグリップを高く添えていたようにも見えました。背筋を伸ばしスッと立ち、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは、昨年よりも癖がなくなり自然体になりました。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる仕掛けであり、昨年より始動のタイミングが少し早くなったように見えます。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げ回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はある程度とれており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。腰が早く開いてしまうものの、踏み込んだ前の足が止まるので、アウトステップでも高めや甘めの外角球でもある程度対応することができます。基本的に、内角寄りの球を引っ張って巻き込む打撃を得意としています。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは好いところ。「トップ」自体を非常に深くとれているので、弓矢の弓を強く引くが如く強烈な打球を生み出す原動力になっています。 バットはやや遠回りに出てくるものの、インパクトの際にはヘッドが下がっておらず広い面でボールがが捉えられています。大きな弧を描いて、バットの遠心力を使いシナりを生かしたスイングできるのが、この選手の非凡な長打力につながっています。そして、ボールに角度を付けて飛ばすのも上手いように思います。しかし長打の多くは、引っ張って巻きこむときではないかと。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますが、後ろ足が定まらず動いてしまうことがあるのは若干気になります。適正な場所に、軸足が置かれていないからだと考えられます。 (打撃のまとめ) 「トップ」の深さ、ヘッドを効かせてバットのしなりを生かしたスイングができるという意味では非凡です。肉体の強さで打っているというよりも、独特の打撃技術で飛ばせるというのは彼の強味ではないかと考えられます。打つことに関しては、まさにプロの素材です。 (最後に) この選手はあまり捕手としての部分を重視せずに、純粋に打撃という部分をクローズアップしてみた方が良いのではないかと。「打てる捕手」として異彩を放つ可能性もありますが、将来的に他のポジションで花開くタイプかもしれません。そういった総合力で評価する上位候補というよりも、打撃の部分を評価し 中位~下位ぐらいで指名するのが、良いのではないのでしょうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2022年 春季リーグ戦) |
吉田 賢吾(桐蔭横浜大3年)捕手 180/86 右/右 (横浜商大高出身) | |
吉田 賢吾 のバッティングを見ていると、実にバットのヘッドを利かせるが上手いスイングをしている。けして際立ってパワーがあるとか、体が大きな選手ではない。それでも、1シーズンで 5本塁打・21打点 と驚異的な数字を叩き出すような打棒は、このヘッドの使い方に秘密がありそうなのだ。 (ディフェンス面) 捕ってから素早く投手に返球する、テンポを重視したリードです。ミットを投手に示しグラブを下に下げるような癖もなく、捕球時もグラブが動くようなことはありません。また、ワンバウンドするような球に対しても、素早く下からミットが出るなど、打球への反応、フットワーク等も、まずまずといった感じです。 スローイングも捕ってからが素早く、二塁までの到達タイムは 1.9秒前後とそれなり。地肩が強いという感じはありませんが、走者の滑り込んでくるところに力むことなく集め、実戦の中で刺すことができます。特にインサイドワークがどうとか、細かい部分に気がついたり、投手の心理を察してといった部分はあまり伝わってくるものはなかったものの、ドラフト候補の捕手として見られる許容範囲にはあるのかなといった気はしています。今のところ、ディフェンスに関しては可も不可もなしといった印象です。 (打撃内容) 2年秋にリーグ戦に初登場し、一塁手としてベストナインに輝きました。正捕手になったのは3年になってからで、この3季の間はリーグ上位の打撃成績を残します。特に3年秋には、5本塁打・21打点 と驚異的な数字を残しました。春の大学選手権で、5打数4安打・1本塁打と打ったのが自信になったのかもしれません。いわゆる「打てる捕手」という部分で、アピールしてゆくタイプなのでしょう。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、カカトを浮かせて立ちます。グリップを高めに添えて、バットを立てて構えます。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢はそれなりで、全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を程よく兼ね備えた中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が強いのではないかと思います。 また踏み込んだ足元も、早く地面から離れるなど引っ張りを重視したスタイルです。それでもセンターから右方向を意識した時には、なんとか足元が動かないようにスパイクを地面にめり込ませて抑えようという意識はあるようです。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れないようにはしています。腰が早く開いて少し遠回りにバットが出てくるのですが、ヘッドはそれほど下がらずに広い面ではボールは捉えられています。そのためフェアゾーンにボールは飛びやすく、打ち損じは少ないのかなと。大きな弧を描いて、フルスイングしてバットを振ってきます。 ホームランを打つ時は引っ張って巻き込んだときだろうなと思っていたら、やはり秋の5本塁打は全てレフトスタンドに引っ張った時のものであることがわかりました。自分が打てるポイントを持っているということは、それを強味して欲しいところです。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは普通ですが、頭の位置は殆ど動きません。体の開きが充分我慢できていないのですが、軸足を起点にして回転はできています。 (打撃のまとめ) 右方向への打撃はともかく、無理なくセンター方向に打ち返す技術は持っています。思いっきり引っ張ったくのは、甘めの外角球なのかもしれません。そういった意味では、さばけるコースの幅は限られているのかなと。しかし、そのゾーンに来た球は、高い精度で打ち損じしないで仕留められるのかもしれません。この早く開く腰の回転が、欠点でもあり長所であるのかもしれません。常人には真似できない、ヘッドの走りを実現できる原動力になっているのかもしれません。 (最後に) 本人も高みを目指して、打撃の幅を広げようとするかもしれません。その段階で、自分の打撃を崩す危険性があります。また、注目される中、下級生の時のような精神状態で打席に立ち続けることが可能なのか?どうかも含めて、最終学年でのプレーを確認したいところです。それでも自分の打撃を貫けるだけのものがあれば、大学からプロへの扉も開かれるのではないのでしょうか。 (2021年 横浜市長杯) |