22dy-19





野口 恭佑(阪神)外野手のルーキー回顧へ







野口 恭佑(九州産業大4年)左翼 180/88 右/右 (創成館出身) 
 




 「ヒット打ちまくっていたいた人」





 創成館時代に、智弁和歌山戦でヒットを打ちまくった記憶がある 野口 恭佑 。九州産業大に進んでからも、一年春からリーグ戦で活躍。パワフルな打撃を売りに、阪神から指名されることとなった。


(守備・走塁面)

 チームでは1番打者として出場しているのだが、一塁到達タイムは 4.45秒前後(左打者換算で4.2秒前後に相当)であり、ドラフト候補としては速いタイムではない。実際もう少し速いタイムは出せるのかもしれないが、プレーを見ている限り、さほど走力でアピールするタイプには見えなかった。

 また左翼を守るように、打球勘やキャッチングなどを見ていても、特別なものは感じられない。また送球に関しても、肩が強い感じはしないので、走力・守備 を売りにするタイプの選手では無さそう。それほど多くは見ていないのでハッキリとは言えないが、売りは思いっきりの良い打撃の方にあるのではないのだろうか。





(打撃内容)

 リーグ戦の成績も結構ムラがあり、4割以上打つときもあるが1割台に低迷するときもある。パワフルな打撃で、時にはスタンドインするパンチ力はあるものの、右に左に強い打球を飛ばす選手との印象。先日の九州共立大との神宮大会決定戦でも、4打数0と結果を残せないまま終わっている。打撃フォームは、3年秋に出場した、神宮大会の時のものを参考とさせて頂いた。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かせて構えます。グリップの高さは平均的で、後ろ足にやや体重を預けつつ、両眼で前を見据える姿勢は悪く有りませんでした。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターによく見られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 気になるのは、踏み込んだ足元が動いてしまうこと。これだと逃げてゆく球や低めの球開きが我慢できず、討ち取られてしまうケースが多いと考えられます。共立大との代表決定戦でも、甘めの外角球を打ち損じる場面が目立ちました。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、少し遠回り出てくるのは気になりました。それでもインパクトの際に、ヘッドは下がっていないので、そこまでドアスイングにはなっていませんが。大きめな弧を描き、力強くバットは振り抜けています。基本的に上手く巻き込めた時以外は、それほど打球が上がるタイプではないのかもしれません。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は並ぐらい。体の開きが充分我慢できず、軸足もやや前に傾くなど突っ込みがち。軸足の内モモの筋肉には強さが感じられるので、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 パワフルなスイングで、右に左へと強い打球を飛ばす打者。その一方で、バットの出が少し遠回りなのと、強い上半身の振りに対し、下半身が受けとめきれず動いてしまっているのは気になります。このへんの修正がなされた時に、どのぐらいの打撃ができるようになるのか気になります。


(最後に)

 現状はパワフルな右の強打者といった感じですが、育成枠でならばといった選手です。阪神は、修正できれば充分プロでも活躍できる可能性があると判断したのかもしれません。個人的には、守備・走力でアピールする選手でもないので、どうなのかな?という疑問は持ちまじたが、果たしてどのような結果をもたらすのか注視して見守ってゆきたい一人です。


(2022年秋 神宮大会代表決定戦)