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田中 幹也(中日 )内野手のルーキー回顧へ







田中 幹也(亜大4年)遊撃 166/64 右/右 (東海大菅生出身) 
 




 「スピード感は圧巻」





 走守のスピード感は図抜けており、今年の大学・社会人ではNO.1ショートではないかと思われる 田中 幹也 。160センチ台の小柄な選手だが、ドラフトではどのような位置づけになるのか考えてみた。


走塁面:☆☆☆☆★ 4.5

 この選手の最大の売りは、スピード感溢れる走塁にあります。この春も、13試合で11盗塁と走りまくりました。スタートの良さからトップスピードに入るまでの短さなど、まさに野球に適した脚力の持ち主。右打席からでも4.05秒前後で一塁まで到達し、これを左打者に換算すると3.9秒前後に相当します。プロでも、足を売りにして行ける可能性を秘めています。

守備面:☆☆☆☆ 4.0

 菊池涼介(広島)と同様に、「忍者」の異名がつくほど神出鬼没なプレーを魅せます。その広い守備範囲と、スピード感のあるプレーは、見るものを魅了します。動作がキビキビしていて、捕ってからの切り返しの速さが最大の武器です。その一方で、本当の意味での地肩という意味では平凡で、難しい体勢からの送球には若干物足りなさは残します。そのためプロでは、セカンドの方が持ち味が出えるのではないかと思える部分はあります。ショートに肩の強い選手がいるのであれば、セカンドに専念させてあげたいタイプではあります。





(打撃内容)

 東都通算.277厘で、この春も .293厘 と、打撃に関しては圧倒的ではありません。それでも甘い球を逃さないで仕留められる「鋭さ」は持っています。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を少しだけ引いて、カカトを浮かせて構えます。グリップあらかじめ捕手側に引きつつ、高めに添えています。後ろ足に重心を預けて立っているので、やや全体のバランスとしては癖があります。それでも両眼でしっかり前を見据えられており、打席では高い集中力が感じられます。グリップを強く引いて構えているので、リストワークが固くならないように注意したいところ。

<仕掛け> 早め

 追い込まれるまでは、投手の重心が下る時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。そのため、対応力を重視したアベレージヒッターの傾向が強いことがわかります。追い込まれると、「遅すぎる仕掛け」に切り替え、できるだけ小さな動作でボールを引き付けて叩こうとします。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。踏み出した前の足は、インパクトの際に止まってブレません。そのため逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができています。また、ファールで粘ったりと、いやらしい打撃で後につなげています。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 あらかじめ「トップ」の位置にグリップを添えているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。上記にも書いたように、グリップを強く引いて構えると、リストワークに遊びがなくなり柔軟性を損ないやすい弊害もあります。

 バットの振り出しは平均的で、インパクトの際にもヘッドを下がらずに振れています。そのため、インサイドアウトで内からバットが出てくる感じではないにしろ、ドアスイングのような遠回りにもなっていません。広い面でボールが捉えられる分、フェアゾーンにボールが飛びやすいインパクトになっています。

 体の割に大きな弧を描くスイングで、しっかり振り切れています。時々体格の無さから、ひ弱さを感じられる時もあるのですが、スイング自体は小さくはまとまっていないところは良いところ。特に、甘い球を逃さず叩く「鋭さ」さで、ひ弱い部分を補えています。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は激しくはありません。体の「開き」も我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定していました。そういった意味では、調子の波は少なくないタイプなのかもしれません。

(打撃のまとめ)

 スイングに関しては、非常に基本に忠実な癖のないものになっています。打撃に特別なものは感じられないのですが、甘い球を逃さないで仕留められる集中力は見事です。プロの球威・球速には戸惑う可能性はあるものの、その鋭さで一軍でもやれるだけの打力を、いつか身につけられるのではないかと期待します。


(最後に)

 その守備や走塁でファンを魅了する、スター候補です。体は小さいのですが、プレーに華があります。打撃に特別なものは感じられないのですが、状況に応じたプレーができるだけの技術と思考力があると評価できます。伝統的な二番打者で、嫌らしさのある揺さぶりや、走者を進塁させることに長けたタイプに育つのではないのでしょうか。大味の打線ならば、ぜひ打線に加えてみたい小技のできるタイプ。ドラフトでは、2位~3位のはじめの方には指名されそうです。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2022年 大学選手権)