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工藤 泰成(23歳・徳島IS)投手 177/82 右/左 (明桜-東京国際大出身) | |
昨年は、ボールの威力には目を見張るものがあったものの、アバウトな制球力と単調なコンビネーションで、指名までには至らなかった 工藤 泰成 。独立に進み、この一年で支配下での指名までも意識できるまでに成長している。 (投球内容) 独立リーグ1年目の成績は、68回 59安 39四死 71三 防 2.91 といった内容で、チームでは先発での起用が多かった。 ストレート 常時150キロ前後~159キロ ☆☆☆☆ 4.0 球速的には破格なものの、実際観ていると、そこまで圧倒的に速くは見えない。また、真っ直ぐも結構暴れてアバウトで、荒れ球。甘く入ることも少なくなかったり、決まって欲しい時に決まってくれないことも少なく無さそうだ。その辺は、四死球率が 57.4% という数字にも現れている。昨年に比べると、ワンランク球速・勢いを増してきているのは間違いないが、それじゃNPBの一軍相手に圧倒できるほどかは微妙な印象も受けた。 変化球 スライダー・カット・フォーク ☆☆☆★ 3.5 大学時代から、スライダーやカット系のボールでカウントを整えられる選手ではありました。昨年からだいぶ変わったなと思えるようになったのは、かなり縦の変化の落差や精度が上がってきたのではないかということ。そのことで、だいぶ投球の幅みたいなものは出できた感じはします。ただし、このフォーク、そこまでストンと落ちるというよりも、相手に低めを意識させたり、引っ掛けさせる、そういった役割の方が大きいそうです。 その他 クィックは、1.0秒前後と高速です。時々、1.1秒前後の時もあるので、ひょっとすると投げるタイミングを変えてきたりもしているのかも。牽制も適度に鋭く、元々ベースカバーへの入りも遅くはありません。細かい出し入れなどはできないのですが、以前よりもボールを長く持ったりとか、地に足の着いた投球ができるようになってきている感じはします。 (投球のまとめ) まだまだ制球の粗さは改善されていませんでしたので、発展途上の段階といった感じはします。それでも球速は破格ですし、高めに集まりやすい球筋に対し、縦の変化の精度が上がったことで、低めも打者はカバーとしないと行けなくなりました。そういった意味では、かなり的が絞り難くなってきているのは確かです。一辺倒だった印象が強かった大学時代に比べると、投球に少し奥行きが出てきました。 (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いは並ぐらいも、高い位置まで引き上げられている。軸足一本で立った時に膝がピンと伸びてしまい力みは感じられるが、全体のバランスとしては上手く立てていた。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばしおり、お尻もバッテリライン上に落ちてしまっています。したがって体を捻り出すスペースが確保できず、カーブやフォークなどの捻り出して投げる球には適しません。実際にフォークは結構使うのですが、落差は鈍くチェンジアップ的な感じの球になっています。 「着地」までの地面の捉えも平凡で、体を捻り出す時間は並ぐらい。そのため、曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブが抱えられず解けてしまっているので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができません。力投派なのも相まって、軸はブレやすいように見えます。したがって、両サイドのコントロールは狂いやすいのではないのでしょうか。 足の甲での地面の捉えは深くできているように見えますのですが、逆に深過ぎて膝小僧まで土が着いてしまうほどではないかと。そうなると、浮き上がろうとする力も充分は抑え込めず、その効果は限定的。「球持ち」自体もそれほどではなく、指先の感覚はあまり宜しくはないように見えます。 <故障のリスク> ☆★ 1.5 お尻が落とせないので、カーブやフォークなどの球種を投げると窮屈になります。独立に進んでから、縦の変化への依存度を増していることからも、肘などのケアには充分注意したいところ。 ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がるなど、腕の送り出しも肩への負担は少なく無さそう。かなりの力投派でもあるので、疲労を溜めすぎないように注意したい。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りが平凡な割に、ボールの出どころはやや早め。そのため、球速の割には被安打は少なくない印象を受けます。腕は強く振れているのは素晴らしいのですが、ボールが早く見えてしまうことで、打者は手を出してくれないことも少なくありません。また、ボールにもしっかり体重は乗ってから投げられているとは思うものの、投げ終わったあと一塁側に流れるように、作り出したエネルギーをロスしてしまっています。そのため、リリースまでに作り出したエネルギーを伝えきれていないので、この辺が改善してくると、球質も伴ってくるのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のいずれの部分にも課題を残していることがわかってきた。制球を司る動作に不安を残し、それ以上に故障へのリスクが高いのは気になる材料。今後、武器になるような球を見出して行けるかは微妙なのではないのだろうか。そういった意味では、フォーム的にはリスキーな素材だと言えよう。 (最後に) フォークの頻度が増えることで、相手に低めへの意識を持たせられるようになったことは大きい。しかしながら、制球力や投球術など、未だ発展途上な印象は残る。指名となると、本会議では指名されると思うが、下位指名あたりになるのではないかとみている。 しかし、昨年からの一年間で、だいぶ内容を向上させてきたことを評価して、☆ を記してみたい。今年の独立候補の選手の中でも、数少ない本会議での指名が意識できる選手ではないのだろうか。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2024年 都市対抗) |
工藤 泰成(東京国際大4年)投手 175/70 右/左 (明桜出身) | |
150キロ前後の力強い真っ直ぐを投げ込む 工藤 泰成 。その勢いは健在だったものの、以前として課題である制球力には改善が観られない春だった。 (投球内容) スリークォーターから繰り出す、威力のある真っ直ぐが武器。しかしこの春は、第一戦の先発を任されるなどしたものの、1勝2敗 防御率 2.25 の成績で、チームを大学選手権に導くことはできなかった。 ストレート 145キロ~150キロ台前半 ☆☆☆★ 3.5 真っすぐの勢いや球威は、おっ! と思わせてくれるものがあります。確かにその球はNPB系の威力があるものの、ボールがバラついていて、本当のコントロールがないところが気になります。 変化球 スライダー・カット・シンカーなど ☆☆☆ 3.0 スライダーやカットなどでカウントを整えることができ、左打者にはチェンジアップだかシンカー系の球も織り交ぜてきます。ただし、スライダーの曲がりこそ大きいものの、プロの打者を想定すると、仕留めきれるほどの変化球はないように見えます。 その他 クィックは、0.95~1.05秒 と高速。ベースカバーへの動きも遅くないですし、牽制も下手では無さそう。ただし、細かい出し入れをする繊細なコントロールや、間を使ってといった投球術はみられません。 (投球のまとめ) プロを想定すると、現状は勢いで押すリリーフタイプといった感じがします。現状はまだ総合力という意味では低く、本会議での指名があるのかはボーダーレベルなのかなと。特に大きな故障などはなかったのですが、秋から大きくは変わっていない感じでした。 (成績から考える) この春は、5試合 32回 17安 24四死 35三 防 2.25 といった内容で、登板した試合は全て先発でした。 1,被安打は投球回数の80%以下 ◎ 被安打は、53.1% と、基準である80%以下を充分に満たすことができています。それだけボールの威力は、リーグの中でも図抜けていることが伺えます。 2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ✕ 四死球率は、75% と極めて高いことがわかります。アマレベルでこの数字ですから、より打者のレベルの上がるプロの世界で、その数字が悪化されることが予想されます。 3,三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎ 投球回数を上回る奪三振を奪えており、先発として充分な数字です。それほど絶対的な変化球があるわけでは無いように見えますが、真っすぐで圧倒しておいての変化球は、それなりに効果的であることが伺えます。 4,防御率は1点台以内 △ 今シーズンの防御率は、2.25 とやや物足りません。2年春に10イニングほど投げて、無失点というシーズンがあります。しかし、他のシーズンも似たような感じで、四死球の多さが失点に繋がっている可能性があります。 (成績からわかること) 被安打の少なさや奪三振の多さから、打者を圧倒できていることが伺えます。その一方で、四死球の多さが、防御率の平凡さに現れていることがわかります。 (最後に) けして秋に比べて、順調さを欠いたとか内容が悪かったわけではありません。ただし、大きく内容を良化させたわけでもありませんでした。それだけに本会議を決定づけるためには、やはり制球の不安定さを緩和させたいといった気がします。そこが改善されないと、ちょっと本会議で指名するのには怖いなといった評価になろうかと思います。真っ直ぐに魅力がある選手なので、育成もありならば指名して見ようかという球団は出てきそうですが。その辺が改善されるのか?秋まで追いかけて、見極めてみたいポイントでした。 蔵の評価:追跡級! (2023年 春季リーグ戦) |