22dp-18
松山 晋也(八戸学院大4年)投手 188/82 右/右 (野辺地西出身) | |
岩手まで観戦に行ったものの、登板はなくブルペンでの投球を見るだけで終わってしまった 松山 晋也 。すでに幾つかの映像で投球は確認済みだったのでイメージはついていたのだが、ぜひ実戦での投球を確認してみたかった。 (投球内容) 今どき珍しいぐらい、真上から腕を振り下ろして来る力投派。細かいことは抜きにして、打てるものなら打ってみろ といったわかりやすいタイプの投手だった。 ストレート 常時145~150キロ ☆☆☆☆ 4.0 角度に勢い、適度な球威も感じさせるボールを投げ込んできます。ボール自体にバラツキはあるのですが、ストライクゾーンの枠の中で暴れている感じで、四死球自体は少ないタイプ。この秋も、27イニングで僅か4四死球で、四死球率 14.8% と安定していました。気持ちの乗った球を投げるので、このリーグの打者では容易に捉えられる選手はいないのかなといった感じではあります。 変化球 スライダー・スプリット? ☆☆☆★ 3.5 真っ直ぐに勢いがあるので、130キロ台中盤のスライダーも効果的使えていました。落差が大きいわけではないのですが、スプリット気味の沈む球も多く混ぜてきます。この球は低めに集まるので、落差はそれほどなくても上手く活かせていました。力投派で速球も暴れるタイプなのですが、こと変化球のキレ・精度は想像以上でした。この秋も、27イニングで40奪三振と、右投手としては破格の奪三振率(1イニングあたり 1.48個)を誇ります。 その他 クィックは、1.1~1.15秒ぐらいと平均的。牽制やフィールディングに関しては、正直よくわからなかったが、気持ちで抑え込むタイプなので、細かい駆け引きや、コースの出し入れをするような感じではなかった。 (投球のまとめ) 全国クラスの富士大戦では、8回1/3イニングを投げて3失点。しかし、優勝した青森大相手には、2試合・7イニングで無失点に抑えました。この秋の失点は、この富士大戦での失点のみ。27イニングで11安打で、被安打率は 40.7% で、防御率は 1.00 という好成績でした。 (投球フォーム) セットポジションから足を引き上げて、足を曲げ伸ばしてから重心を下げてきます。足を引き上げるときは、それほど高い位置まで引き上げて来ません。軸足の膝がピンと伸びがちで、直立気味な立ち方になってしまっています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足をかなり投手側に送り込むので、お尻の沈みは深いもののバッテリーライン上に落ちがちです。そのためカーブやフォークなどが投げられないほどではないにしても、スペースが充分確保できていないので、変化には鈍くなりやすいのではと。 それでも前に上手くステップさせることはできているので、「着地」までの地面の捉えは早すぎることはありません。そういった意味では、カーブやフォークといった球種でなければ、変化球の曲がりも悪くない可能性はあります。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする力を内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両サイドの投げ訳はある程度できるのではと。足の甲の地面の捉えも悪くなく、浮き上がろうとする力を抑えることができています。 しかし、力んで投げているせいか? 結構ボールがバラついたり、高めに抜ける球も少なくありません。ボールの押し込みなどのリリースや結構全身を使って投げ込む力投派なので、その辺が制球が安定しない要因なのかもしれません。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 バッテリーライン上に残りがちなので、体を捻り出すスペースは充分はとは言えません。それでも捻り出して投げるカーブは見られませんし、フォークというよりも握りの浅いスプリットを使っているようなので、そこまで気にしなくても良さそう。 むしろ気になるのは、執拗に腕を高い位置から振り下ろしてくるので、角度こそ作れますが、肩への負担は大きいと考えられます。また力投派でもあるので、タフそうな体つきですが、疲労は溜まりやすいフォームなのではないのでしょうか。また、テイクバックした時に、背中のラインよりも肩が後ろにかなり入り込んでいるので、その点でも肩への負担という意味では気になります。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは作れており、さらにボールの出どころは隠せているので、合わされやすいということは無さそう。腕も体に巻き付いて来るような粘っこさはないものの、腕は強く振れて打者は吊られそうな勢いがあります。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできて、ボールに覆いかぶさるような感じで投げ込んできます。体重移動が上手く行っている証として、投げ終わったあとの地面を蹴り上げが強く、後ろ足が大きく上に上がってきます。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」が少々浅いかなという部分を除けば、あとの動作は悪くありません。特にエネルギー効率という意味では、優れているのではないのでしょうか。 武器になるほどの変化球を身につけられるかは微妙ですが、思ったよりも制球を司る動作も悪くありませんでした。問題は、非常に負担の大きなフォームだけに、登板過多になった時に、何処まで体が耐えられるのか心配な部分が残ります。そのため、体のケアには充分注意してもらいたいものです。 (最後に) ブルペンで見たときは、粗っぽい速球派かなと感じました。しかし、フォーム分析をしてみると、意外に実戦的な側面があるのかなと。また投球の模様を観てみると、制球力や変化球も思ったほど良く、単なる粗っぽい力投派ではないように思います。そういった意味では、相手の勢いを止められるリリーフが欲しい球団ならば、中位(3位~5位)ぐらいでならばありなのかもしれない。しかし、投球の模様をしっかり確認できなかったので、未確認 の評価に留めたいと考えます。 (2022年 秋季リーグ戦) |