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青山 美夏人(西武)投手のルーキー回顧へ







青山 美夏人(亜細亜大4年)投手 182/84 右/右 (横浜隼人出身) 
 




 「淡々と」





 けして垢抜けた投球をするわけではないのだが、淡々と試合を作ってくる 青山 美夏人 。大学日本一チームのエースであり、まさにゲームメイクできる実力派なのだ。彼の良さは、何度もみて行かないと中々わかりづらい


(投球内容)

 セットポジションから、少々もっさりした感じで投げ込んできます。それでもこの春は、8試合に登板して 6勝0敗 防 1.40(1位)という文句なしの内容でした。

ストレート 145キロ前後~後半 ☆☆☆★ 3.5

 角度と球威を感じさせる球質で、空振りをバシバシ奪うようなキレや伸びではなく、詰まらせるのが持ち味。この選手の重い球を、なかなか長打するのは難しい。それほど細かいコースの投げ訳があったりするわけでもなく、結構高めに来ることも少なくない。それでも、四死球で自滅するような危うさがないのは好いところ。時々甘く入って打たれてランナーを背負うことはあるが、得点に結び付けない打たれ強さがある。

変化球 スライダー・カーブ・カットボール・ツーシームなど ☆☆☆★ 3.5

 球威のある真っ直ぐを魅せつつも、多彩な変化球で的を絞らせない。特にツーシームなど縦の変化も多いので、サイドだけでなく高低へも意識しないと行けない。特に絶対的な球があるわけではないので、真っ直ぐ同様に引っ掛けてさせて打たせてとるのが持ち味。

その他

 牽制は、間を外すために軽く入れることが多い。それでも、時々鋭いものも織り交ぜ、けして下手ではない。クィックも1.05秒前後で投げまずまずだし、フィールディングも落ち着いて処理できていた。それほど細かい駆け引きや微妙なところを突くようなタイプではないが、精神的にも安定していてムラの少ないタイプだといえよう。

(投球のまとめ)

 淡々とイニングを食ってゆくイメージの投手ではあるが、リリーフならば140キロ台後半の真っ直ぐとツーシームとのコンビネーションである程度力で押せるものも持っている。先発でもローテーションの5,6番手、リリーフでも中継ぎで調子の波が少ない活躍は一年目から期待できるかもしれない。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりといった感じです。軸足一本で立ったときにも、膝に余裕があるので力みがなく、適度にバランスもとって立てています。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に伸ばしがちで、お尻の一塁側への落としには甘さが残ります。カーブやフォークといった球種が投げられないほどではないのですが、どうしても変化が鈍くなる傾向があるのではないのでしょうか。

 それでも「着地」までの地面の捉えは適度に粘れており、体をひねり出す時間はある程度確保。武器になるほどの変化球は習得できないまでも、ある程度の変化球もキレも期待できそうです。現状の投球スタイルは、このフォームの特徴を良く現している気がします。

<ボールの支配> ☆☆★ 2.5

 グラブは最後までしっかり抱えられていないので、外に逃げようとする力を充分には抑え込めず両サイドの制球力も狂いやすい。足の甲でも地面の捉えが浅いので、浮き上がろうとする力は抑え込めていません。そのため、ボールが真ん中~高めに浮くことが結構見られます。

 それでも試合を壊さないで適度にまとめられるのは、「球持ち」の良さを生かしたり、それほど力投派ではないフォームだからではないのでしょうか。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すなか、結構緩いカーブやツーシームを使ってきたりはします。肘に負担がかかるほどかと言われると微妙ですが、体のケアには充分気をつけて欲しいところ。

 腕は角度良く振って来るわりには、ボールの送り出しには無理は感じれません。そういった意味では、肩への負担は少ないのでは? けして力投派でもないので、疲労も溜めやすいということはないのではないのでしょうか。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは適度に作れているのですが、ボールの出どころは平均的。そういった意味では、フォームに嫌らしさがあるタイプではありません。想像以上の球威と多彩なコンビネーションにより、的が絞り難いといったタイプなのでしょう。

 腕は適度に振れているので、打者の空振りはある程度誘えるかと。特に、右打者外角低めに決まるスライダーを振らせるのが上手い感じはします。また「着地」までの粘りが作れている割に、ステップ自体は狭く見えて、グッと前に体重が乗ってゆくといったフォームではありません。そのへんも、ボールにあまり自己主張を感じない要因かもしれません。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「球持ち」はそれなりですが、「開き」と「体重移動」には改善の余地があるように思います。故障のリスク、制球を司る動作・今後投球の幅を広げて行けるかという意味では、それほど好いフォームとは言えません。実戦で生きるタイプだと思いますが、フォーム的にはそれほど実戦的だとは言えません


(最後に)

 一位指名としては、特徴的にどうなのかな? といった垢抜けたものは感じれません。むしろ、2位や3位ぐらいで獲った場合に、想像以上に戦力になってくれるという部分で妙味ででるタイプかと。ただし、ある程度一年目から先発の一角でやれるだけのものがあり、リリーフでも安定した成績を残してくれるのではないかという期待は膨らみます。そういった力は、すでに持ち合わせていると評価します。年々良くなって成績・内容を良化させてゆけるかは未知数ですが、1年目からある程度使えるといった部分で評価したい。そのためドラフトでは、2位や3位あたりの指名になるのではないのだろうか。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2022年 大学選手権)