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水口 創太(京都大4年)投手 194/102 右/右 (膳所出身) | |
春先に 徳島インディゴ との練習試合を見た時は、ボールは全然走っておらず調整段階といった感じだった 水口 創太 。 結局春のシーズンは、そのままイマイチなまま終わってしまった。しかし、久々にみた秋のシーズンでは、元来のボールの勢いを取り戻しつつあった。そんな彼の、最後のシーズンを振り返ってみたい。 (投球内容) 4年秋のシーズンでは、6試合 0勝0敗 ながら、防御率は 1.93 。この防御率は、彼のキャリアで最も安定したシーズンとなった。 ストレート 常時145キロ前後 ☆☆☆ 3.0 194センチの長身から投げ下ろす、角度を感じさせるボールを投げ込んできます。まだ球筋にはバラツキは感じますが、適度な勢いもあります。格段球威があるというわけではないので、甘いゾーンに入ってくると打ち返されてしまいますが。 変化球 カーブ・スライダー・フォークなど ☆☆★ 2.5 スライダーでは、いつでもストライクが取れるといった感じ。また、時々緩いカーブやフォークなどを織り交ぜてきます。ただ、一つ一つのボールは悪くないが、何かコンビネーションに上手く溶け込んでいない感じです。恐らくそれは、投球に伏線をもたらすための制球力が伴わないので、一つ一つのボールがバラバラな印象を受けるのではないのでしょうか。 その他 クィックは、1.1~1.2秒 ぐらいと平均的。牽制は、それほど鋭いものは魅せません。フィールディングは、194センチの体格なので、俊敏といった感じではありません。それほど細かい駆け引きができる制球力や投球術はないものの、少し間が悪いと感じると、牽制を入れたりして落ち着かせられる余裕はあるみたいです。 (投球のまとめ) 真っ直ぐにしても、変化球にしても、一つ一つのボールは悪くありません。しかしそれが、上手くコンビネーションの中に溶け込んでいなく、浮いてしまっている印象があります。それは、上記にも述べたように、本当のコントロールがないからだと考えられます。そういった部分が解消されてくると、一つ一つのボールが相乗効果で良い結果をもたらすことに繋がるのではないかと考えられます。 (投球フォーム) では、その制球を支えるために何が問題なのか考えてみましょう。セットポジションから、足を高い位置まで引き上げます。大きな身体も相まって、打者は威圧感を感じるのではないのでしょうか。軸足の膝がピンと伸びがちで、力みが感じられるのは気になります。それでも軸足一本で立った時のバランスは、けして悪くありませんでした。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の一塁側への落としには甘さは残るものの、カーブやフォークといった球種が投げられないほどではありません。「着地」までの地面の捉えも適度に粘れており、体を捻り出す時間はある程度確保できています。大きな曲がりの変化球をというほどではないのかもしれませんが、いろいろな球を投げられる下地はあるのではないのでしょうか。今後は、カットボールやツーシームなど、球速のある変化も交えながら、投球の幅を広げてゆくことになりそうです。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブがしっかり抱えられていないので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができません。そのため軸がブレやすく、両コーナーへの制球がつき難いのではないのでしょうか?足の甲での地面の捉えはできているので、浮き上がろうとする力は抑えられています。ただし、リリース時のボールの押し込みは不十分なのか? まだ左者中心に、ボールが抜けることも少なくありません。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻もある程度は落とせているので、カーブやフォークを投げても、それほど窮屈になるというほどではないように思えます。現状、フォークへの依存度もそこまで高くないので、現時点では気にしなくても良さそうです。 気になるのは、少し低い位置から高い位置に急に肘を引き上げて投げているので、それなりに肩への負担がかかったり、球質が低下しているのではないかと考えます。テイクバックした時に、両肩を結ぶラインより肘が落ちないようにしてトップを作り、腕を振り下ろした方が無理がないのではないかと考えます。けして力投派ということはないので、そこまで疲労は溜め難いとは考えられますが。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの地面の捉えは適度に粘れている上に、独特の角度も相まって、打者は芯では捉え難い可能性はあります。ただし、ボールの出どころは早く見えているので、コースに行った球でも打ち返されたり、縦の変化を振ってもらえない可能性があります。 もう少し腕を強く振れるようになると、勢いで打者もバットが吊られてしまうということがあります。また体重の乗せも充分とはまだ言えないところで、リリースを迎えてしまっています。このへんは、まだまだ発展途上だと感じさせる要因ではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に>「開き」と「球持ち」といった部分に、もう少し我慢が必要な気がしました。制球を司る動作に、故障のリスクは平均的。将来的に、多彩な球種を使って投球を広げて行ける可能性は感じます。フォームとしては、全体にまだ発展途上なので、肉体の成長に伴い、もっと粘り強く実戦的なフォームになって行けるのではないのでしょうか。 (最後に) 現状は、一つ一つのボールは悪くないし、まだまだ良くなりそうな可能性は感じさせます。そういった素材としての魅力は感じますが、ボール一つ一つがバラバラで、投球としてのまとなりに欠ける気がするのです。そういった部分を埋めてゆくのは、やはり制球力。自分の意図したところにコントロールできることで、自分の思い描く投球が実現できるようになるのではないのでしょうか。それができるようになると、この選手も実戦力が伴ってくると考えられます。現状は、まだ素材型の域をを脱しておらず、育成枠らしい育成指名といった感じがします。数年後に、どんな姿になっているのか? 密かに期待して、見守って行けたらと考えます。 (2022年秋 リーグ戦) |
水口 創太(京都大3年)投手 194/94 右/右 (膳所出身) | |
京大医学部に在籍という話題性を抜きにしても、194センチの体格から投げ下ろしてくる球は魅力たっぷしな 水口 創太 。しかし現時点では、まだまだリリーフで時々速い球を投げ込んでくるといった素材型の域を脱してはいない。 (投球内容) 本格的にリーグ戦に登場するようになったのは、3年秋のシーズンから。この時に、9試合 17回1/3 17安打 12四死 15三 防 4.15 というのが、彼の実績らしい実績。また登板しているのも、リリーフでの短い登板で限定的なことも覚えておきたい。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5 確かに力を入れて投げれば、150キロ前後を記録する能力は秘めている。しかし、普段の投球を見ていると、球速は140キロ前後ぐらいで、かなりセーフせて投げざるえない。これは、力を入れて投げると制球がめちゃくちゃになるからなのか、体力がないので速い球をそう投げることができないのか? 何かしらの理由がありそうだ。そのため普段は、両サイドに大まかに投げ分ける投球に終始する。そして、高めに浮いた球をヒットにされるケースも少なくない。その証に、17回1/3イニングを投げて17安打と、ほぼ投球回数と同数のヒットを打たれている。確かに、力を入れた時のボールはほれぼれするが、そういった球は極めて限定的だと言わざるえないのだ。 変化球 スライダー・フォークなど ☆☆★ 2.5 普段の投球から真っすぐの割合が多く、110キロ台後半のスライダーに、チェンジアップだかフォークだかわからない沈む球もあるが、まだその落差・精度は高いとは言えない。真っ直ぐが動くことがあるので、意図的に小さな変化を交えている可能性も捨てきれない。しかし基本的に、変化球の精度・キレは高いとは言えない。三振は17回1/3イニングで15三振と、けして少なくはないが変化球で奪っている感じではない。 その他 クィックは、1.1秒台後半ぐらいと平均的。牽制やフィールディングはよくわからなかったが、投球術や細かい制球力は皆無で、たんたんとストライクゾーンに投げ込んでいるといった感じ。17回1/3イニングで12四死球と、制球の粗さも気になるところだ。 (投球のまとめ) 秘めたるスペックは、今年の関西の大学生の中でも屈指のものを持っているのかもしれない。しかし、それをまだ安定して出せない何かしらの理由があり、そのへんが払拭されないと大学からのプロ入りはまだは時期尚早かなといった気はする。素材を買って育成枠あたりならばという話もあるかもしれないが、もしそうだとしても、もうワンランクは最終学年でのレベルアップを望みたいところだ。 (投球フォーム) 今度はフォームを分析をして、その将来像を考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いは並ですが、高い位置まで引き上げられてきます。それほど膝にも力みは感じられませんし、適度にバランス良く立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化を投げるためにはスペースが足りません。 「着地」までの地面の捉えはそれなりで、ある程度は体を捻り出す時間は確保できています。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、キレのある変化球を習得できる可能性は秘めています。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内に留められている。そのため軸はブレ難く、両サイドへの制球はつけやすいのでは。また足の甲での地面の捉えもできているように見えるので、浮き上がろうとする力も抑え込めている。しかし、極端ではないにしろ、球筋はまだ高めに集まりやすい。そのへんは、リリースでの押し込みが弱いので、どうしてもボールが抜けやすい傾向にあるのかもしれない。速い球をあまり投げ続けられないのも、単に体力の問題だけでなくボールが高めに抜けて制御できなくなるからなのかもしれない。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻が落とせないフォームなので、カーブやフォークなどを投げようとすると窮屈になりやすい。現在は速球の割合が多く、それほど肘への負担は大きいとは思わないが、その割合が変わってきた時はどうだろうか? またボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がってリリースされているので、肩への負担はそれなりに感じてしまう。現状力投派というよりは、セーブして投げられているので、疲労を溜めやすいということはないと思うのだが。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りもそれなりで、ボールの出どころも適度に隠せている。それに相まって、角度も感じられるだろうから、けして打者からは合わせやすいフォームではないと考えられる。それでも被安打が多いのは、制球の甘さや普段のボールの勢いやキレがそれほどでもないからではないのだろうか。 腕は適度には振れているものの、まだ強い・鋭いといったレベルではない。このへんが変わって来ないと、打者はなかなか吊られ難い。またボールへの体重の乗せも充分といった感じではないので、もう少しリリースを我慢して体重を乗せてから投げられるようになると、グッと打者の手元まで勢いや球威が衰えない球が投げられそうだ。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」や「体重移動」に改善の余地が残されていそう。制球を司るどる動作自体は悪くないので、下半身がしっかりしてリリースが安定してくれば元来コントロールが悪いフォームではないと思われる。気になるのは、故障のリスクがそれなりに高そうだということと、いかに武器になるような変化球を習得して行けるかといった部分。それを今後の1年間の間に、何処まで改善して行けるかではないのだろうか。 良い時の球を、どのぐらいの割合で投げられるようになるかだと思うが、秋の投球を見る限りはまだまだといった感じがする。このひと冬の間の成長次第で、大学からのプロ入りが可能かどうか決まってきそうだ。現状は、あまり入れ込まずに本格化するか見守って行きたい。 (2021年 秋季リーグ戦) |