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水口 創太(京都大4年)投手の最終寸評へ








水口 創太(京都大3年)投手 194/94 右/右 (膳所出身) 
 




「まだまだ素材型」 





 京大医学部に在籍という話題性を抜きにしても、194センチの体格から投げ下ろしてくる球は魅力たっぷしな 水口 創太 。しかし現時点では、まだまだリリーフで時々速い球を投げ込んでくるといった素材型の域を脱してはいない


(投球内容)

 本格的にリーグ戦に登場するようになったのは、3年秋のシーズンから。この時に、9試合 17回1/3 17安打 12四死 15三 防 4.15 というのが、彼の実績らしい実績。また登板しているのも、リリーフでの短い登板で限定的なことも覚えておきたい。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 ☆☆★ 2.5

 確かに力を入れて投げれば、150キロ前後を記録する能力は秘めている。しかし、普段の投球を見ていると、球速は140キロ前後ぐらいで、かなりセーフせて投げざるえない。これは、力を入れて投げると制球がめちゃくちゃになるからなのか、体力がないので速い球をそう投げることができないのか? 何かしらの理由がありそうだ。そのため普段は、両サイドに大まかに投げ分ける投球に終始する。そして、高めに浮いた球をヒットにされるケースも少なくない。その証に、17回1/3イニングを投げて17安打と、ほぼ投球回数と同数のヒットを打たれている。確かに、力を入れた時のボールはほれぼれするが、そういった球は極めて限定的だと言わざるえないのだ。

変化球 スライダー・フォークなど ☆☆★ 2.5

 普段の投球から真っすぐの割合が多く、110キロ台後半のスライダーに、チェンジアップだかフォークだかわからない沈む球もあるが、まだその落差・精度は高いとは言えない。真っ直ぐが動くことがあるので、意図的に小さな変化を交えている可能性も捨てきれない。しかし基本的に、変化球の精度・キレは高いとは言えない。三振は17回1/3イニングで15三振と、けして少なくはないが変化球で奪っている感じではない。

その他

 クィックは、1.1秒台後半ぐらいと平均的。牽制やフィールディングはよくわからなかったが、投球術や細かい制球力は皆無で、たんたんとストライクゾーンに投げ込んでいるといった感じ。17回1/3イニングで12四死球と、制球の粗さも気になるところだ。

(投球のまとめ)

 秘めたるスペックは、今年の関西の大学生の中でも屈指のものを持っているのかもしれない。しかし、それをまだ安定して出せない何かしらの理由があり、そのへんが払拭されないと大学からのプロ入りはまだは時期尚早かなといった気はする。素材を買って育成枠あたりならばという話もあるかもしれないが、もしそうだとしても、もうワンランクは最終学年でのレベルアップを望みたいところだ。





(投球フォーム)

 今度はフォームを分析をして、その将来像を考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いは並ですが、高い位置まで引き上げられてきます。それほど膝にも力みは感じられませんし、適度にバランス良く立てています。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化を投げるためにはスペースが足りません。

 「着地」までの地面の捉えはそれなりで、ある程度は体を捻り出す時間は確保できています。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、キレのある変化球を習得できる可能性は秘めています。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は内に留められている。そのため軸はブレ難く、両サイドへの制球はつけやすいのでは。また足の甲での地面の捉えもできているように見えるので、浮き上がろうとする力も抑え込めている。しかし、極端ではないにしろ、球筋はまだ高めに集まりやすい。そのへんは、リリースでの押し込みが弱いので、どうしてもボールが抜けやすい傾向にあるのかもしれない。速い球をあまり投げ続けられないのも、単に体力の問題だけでなくボールが高めに抜けて制御できなくなるからなのかもしれない。

<故障のリスク> ☆☆★ 2.5

 お尻が落とせないフォームなので、カーブやフォークなどを投げようとすると窮屈になりやすい。現在は速球の割合が多く、それほど肘への負担は大きいとは思わないが、その割合が変わってきた時はどうだろうか?

 またボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がってリリースされているので、肩への負担はそれなりに感じてしまう。現状力投派というよりは、セーブして投げられているので、疲労を溜めやすいということはないと思うのだが。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りもそれなりで、ボールの出どころも適度に隠せている。それに相まって、角度も感じられるだろうから、けして打者からは合わせやすいフォームではないと考えられる。それでも被安打が多いのは、制球の甘さや普段のボールの勢いやキレがそれほどでもないからではないのだろうか。

 腕は適度には振れているものの、まだ強い・鋭いといったレベルではない。このへんが変わって来ないと、打者はなかなか吊られ難い。またボールへの体重の乗せも充分といった感じではないので、もう少しリリースを我慢して体重を乗せてから投げられるようになると、グッと打者の手元まで勢いや球威が衰えない球が投げられそうだ。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」や「体重移動」に改善の余地が残されていそう。制球を司るどる動作自体は悪くないので、下半身がしっかりしてリリースが安定してくれば元来コントロールが悪いフォームではないと思われる。気になるのは、故障のリスクがそれなりに高そうだということと、いかに武器になるような変化球を習得して行けるかといった部分。それを今後の1年間の間に、何処まで改善して行けるかではないのだろうか。

 良い時の球を、どのぐらいの割合で投げられるようになるかだと思うが、秋の投球を見る限りはまだまだといった感じがする。このひと冬の間の成長次第で、大学からのプロ入りが可能かどうか決まってきそうだ。現状は、あまり入れ込まずに本格化するか見守って行きたい。


(2021年 秋季リーグ戦)