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才木 海翔(大経大4年)投手の最終寸評へ






才木 海翔(大経大3年)投手 180/81 右/右 (北海道栄出身) 
 




 「関西屈指の好投手」





 22年度の関西の大学球界でも、実績内容的には最も安定しているのが、この 才木 海翔 ではないのだろうか。3年秋のリーグ戦では、防御率 0.74 で最優秀防御率に輝いている。


(投球内容)

 ワインドアップから、余裕を持って投げ込んできます。3年秋のシーズンでは、36回2/3 18安 10四死 33三 といった内容でした。

ストレート 145キロ前後~150キロ ☆☆☆★ 3.5

 普段は、無理をせずにテンポよく140~145キロぐらいのボールを投げ込んでくる感じです。そして追い込むと、140キロ台後半と少し力を入れて投げ込んできます。36回2/3イニングで四死球が10個と四死球率は27.3%と高くないのですが、ストライクゾーンの枠の中では結構アバウトな感じがします。そのため、プロレベルの打者ならば見逃さないだろうなという球も時々みられます。また三振は33個と、投球回数を上回るほど絶対的なものはありません。それでも被安打率は 49.1% と50%を切っているので、合わされやすいといったことは無さそうです。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど ☆☆☆ 3.0

 それほどスライダーやカーブでカウントを整えることは少なく、投球の多くは速球で組み立てられています。時々フォークなのかチェンジアップなのかといった球もありますが、縦の変化球で三振を奪いまくっているわけでもありません。カウントを整える球・決め手という意味では、それほど傑出している感じはしませんでした。

その他

 クックは、1.1~1.2秒ぐらいと平均的。牽制もそれなりといった感じでしたが、ベースカバーは素早く入れていました。微妙なコースの出し入れや「間」を使った投球術ではないのですが、走者を背負って力むことなく対峙できていました。というよりも、むしろ得点圏にランナーを背負うと、力よりも投げミスに気をつけて投げている感じがしました。

(投球のまとめ)

 球速の割には、力で圧倒できているのかと言われると微妙です。相手レベルの関係から、甘い球を打ち損じしてくれるケースが多く見られましたが、これはプロレベルの打者は見逃してくれないかと。そういった細部の部分はまだ甘いので、最終学年でどの程度改善されるのか注目したいところです。





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から今後の可能性について考えてみます。ワインドアップから、ゆったりとそれなりの高さまで足を引き上げています。軸足一本で立った時に、それほど膝に余裕はないものの、適度にバランスよくは立てています。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残しているものの、カーブやフォークが投げられないほど窮屈では無さそう。「着地」までの地面の捉えもそれなりで、体を捻り出す時間も並ぐらい。武器になる変化球を習得するというよりも、球速のある小さな変化を交えながら、多彩な球種で的を絞らせないような投球を目指すことになりそうな。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられているわけではないが、最後まで体の近くには留まっている。そのため、外に逃げようとする遠心力も、ある程度抑え込めているのではないのだろうか。ただし、投球を見ていると、結構中に甘く入ってくる球も少なくない。

 足の甲での地面の捉えはできているので、浮き上がろうとする力は抑え込めている。低めに集まってくるというほどではないにしろ、高めに集まりやすいとか抜け球が多いといったことはないだろう。「球持ち」も比較的前で放せており、微妙なコントロールがあるわけではないが、大きく制球を乱すといったことは無さそうだ。

<故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としには甘さはあるものの、それほどカーブやフォークへの依存度はおおくない。そのため窮屈になる機会も少ないし、そもそも極端に窮屈な感じもしない。そういった意味では、肘への負担はそこまでなーバスにならなくても良さそうだ。

 腕の送り出しを見ていても、肩に負担がかかるようには見えない。普段は力を抜いて投げている感じで、疲労も溜め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的、体の「開き」も並ぐらい。特に打者が苦になるほどではないが、極端に合わされやすいといったほどではない。

 腕は適度に振れており、打者は吊られる勢いはありそう。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできており、エネルギー効率が悪いようには見えなかった。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」を見ていても、極端に悪い部分は見当たらない。その変わり、とても優れているといったほどでもないようには見える。故障のリスクは低そうで、制球も大崩れするような投げ方では無さそう。将来的に武器にするほどの変化球を身につけられるかは疑問だが、多彩な球種で的を絞らせない投球は可能ではないのだろうか。


(最後に)

 けしてスケールやポテンシャルで圧倒するタイプではないが、適度なまとまりと総合力で勝負する実戦派といった感じがする。まだまだ細部に甘さは残すので、その辺を最終学年いかに詰めて行けるかではないのだろうか。イメージ的には、染田 賢作(同大-ベイスターズ自由枠)を彷彿とさせる選手だが、自由枠でプロ入りした染田ほどの評価を得られるだろうか? 


(2021年 秋季リーグ戦)