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中村 健人(広島)外野手のルーキー回顧へ






中村 健人(24歳・トヨタ自動車)中堅 182/88 右/右 (中京大中京-慶応大出身) 
 




 「再びドラフト戦線で」





 慶大3年秋には5本塁打を放ち、一躍ドラフト候補として注目された 中村 健人 。その後は社会人トヨタ自動車に進み、再び指名解禁の年を迎えた。強打の右打ち外野手として、再びスカウト達から熱い視線を浴びている。現状の彼の立ち位置を、改めて考えてみる。


走塁面:☆☆★ 2.5

 一塁までの塁間は、右打席から早いときで4.4秒を切ってきます。これを左打者換算にすると、4.15秒ぐらいに相当。ドラフト指名されるような左打者の一塁到達タイムは、4.1秒ぐらいが平均。そのため走力としては 中~中の下 ぐらいではないのでしょうか。またプレースタイル的にも、盗塁を積極的にとか走塁を売りにする選手ではありません。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 むしろ大学時代は、平凡かなと思っていた守備は想像以上に良かったです。打球への落下点までの入りや目測に狂いがなく、トヨタで中堅を任されている理由もわかります。けして守備範囲が凄く広いわけではないのでしょうが、捕れる範囲のボールはしっかりさばけます。肩もそれなりに強いので、プロに混ぜても見劣りしません。送球に関しては、中の上~上の下 ぐらいのレベルにはあるのではないのでしょうか。強打者の割に、しっかり守れるという点は大いなる強味かと。


(打撃内容)

 都市対抗の東海予選の模様を2試合ほど観ましたが、トヨタの4番を任されていたものの、確実性という意味では物足りないものが。それでも当たり千金の一発を放つなど、試合の流れを左右する破壊力は秘めているようです。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップは高めに添えつつ、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢はまずまずで、全体のバランスとしてもそれなりといった感じがします。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈み込んだ底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足をしっかり上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこのはずなのですが、上げた足を早く地面におろしてしまうので、始動のタイミングの割には「間」が取れていないように思えます。そのため打てるタイミングは  というよりも  に近く、甘い球を逃さず叩く というスタイルの打者ではないかと。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいというタイプだとは思うのですが。

 踏み込んだ前の足は、しっかりと地面を捉えて離しません。したがって外に逃げてゆく球や低めの球にも、しっかりついて行くことができます。むしろステップが狭めなので、腰の回転を促すのには良いものの、内角のさばきは窮屈に感じます。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、ボールを呼び込む時に力みは感じられません。ただし「トップ」を作るのが遅れないようには、日頃から注意していた方が良さそうです。バットの振り出しをみていると、インパクトまでやや遠回りに出てきます。外の球をさばくには遠心力が効いて飛ばせるのですが、内角寄りの球には素直にバットが出難いのかなと。それでもどちらかというと、甘めの外角球を思いっきり引っ張ったくのを好むタイプなのかと。

 インパクトの際には、バットの先端であるヘッドはそれほど下がってはいません。またフォロースルーを使ってボールを運ぶというよりは、最後までしっかり振り抜いて、腕っぷししの強さと思いっきり巻き込むと長打が生まれるタイプではないのでしょうか。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 頭の動きを観ていると、自分からボールに向かっていってしまうところがあるので、身体がツッコまないように注意したい。身体の開きは我慢でき、軸足にも強さは感じられます。しかし足元が窮屈なので、内角のさばきや打撃の幅が狭い印象を受けてしまいます。

(打撃のまとめ)

 打てるタイミングが限られる上に、コースも真ん中~外角寄りに適した打ち方といった気がします。その分打てる球は、かなり限られているのではないかという心配があります。今後「間」というのものをしっかり作っていったり、スイング軌道を内からも出せるようになることが課題ではないのでしょうか。しっかり捉えられれば破壊力はありますが、確実性という意味では苦労しそうです。


(最後に)

 打撃だけならば、正直確実性に課題があり推せません。ただし、強打者でありながら守りの部分では安心して観てられるレベルにあり、我慢して起用できる選手ではないかと思います。その間に、プロの指導者と共に課題に取り組めば良くなるかもという期待が持てます。そういった意味では、打撃だけならば  をつけるのはやめようと思ったのですが、守備面で我慢が効きそうだということと、可能性に期待して指名リストに名前を残して見ようかなと考えます。イメージ的には、ベイスターズで活躍した 小池 正晃 タイプではないのでしょうか。


蔵の評価: (下位指名級)


(2021年 都市対抗予選)