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末包 昇大(広島)外野手のルーキー回顧へ






末包 昇大(25歳・大阪ガス)右翼 188/110 右/右 (高松商-東洋大出身) 





 「パワフルだよね」





 日本人離れした巨体から、強烈な打球を連発する 末包 昇大 。高松商時代は、強打の三塁手として活躍。しかし、東洋大ではレギュラーに定着できなかった。社会人に入ってからも、才能が本当の意味で開花したのは、3年目の今年からといった遅咲きの強打者だ。


走塁面:☆☆★ 2.5

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.5秒前後。これを左打者に換算すると、4.25秒前後に相当する。体格の割には動けるし、最後まで一所懸命走る姿には好感。ただしこのタイム、プロに混ぜると 中の下 ぐらいであり、プロで足でアピールするということはないのではないのだろうか。ただし、日本選手権でも2盗塁を決めたり、時々は走ってくることはありそうだ。

守備面:☆☆☆ 3.0

 打球への反応や落下点までの入りをみると、平均的なのかなといった感じ。東洋大時代はセンターを守ることもあったそうだが、走力があるわけではないので、プロでは守備範囲の関係からもライトかレフトあたりになるのではないのだろうか。肩もかなり強そうに見えたが、返球の形が悪いのか? 送球の精度などはあまり良さそうには見えなかった。


(打撃内容)

 腕っぷしが強くて打球は強烈ですが、意外に打球上がらないタイプかもといった印象も受けました。また、センターから右方向に打ち返す器用さも兼ね備えています。ただし、あまりこの手のタイプは、引っ張っても引っ掛けてゴロになりやすいのかもしれません。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 ほぼスクエアなのですが、若干足を引いてカカトを浮かして構えます。後ろ足に体重をかけつつ、腰の据わり・全体のバランスはもう一つ。それでも、両眼でしっかり前を見据えるということはできており、錯覚を起こすことなく球筋を追うことはできています。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターが多く採用する始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのかと。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもなんとかブレずに我慢しています。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことができるのではないのでしょうか。ただし、引っ張りにかかってショートゴロを連発する場面が都市対抗では見られました。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。バットの振り出しは、インサイド・アウトではないものの、大きなロスは感じられない。特にインパクト後の前のスイングを大きくとり、フォロースルーも使ってボールを遠くに運んできます。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 頭の位置はそれなりといった感じで、身体の開きも我慢できている。ただし、軸足の安定感はさほどではないので、その点は少し気になった。調子の波は、意外に大きなタイプなのかもしれない。

(打撃のまとめ)

 大きな身体で粗っぽいイメージを抱きがちですが、スイング軌道に癖はなく、強い上半身を受け止めることができている下半身など、技術的にも悪く有りませんでした。センターから右方向に打ち返すことも多く、そういった打撃ができるようになったことが、成績が良くなった要因なのかもしれません。ただし、そういった打撃ができることで、本人や周りが期待する長打が意外に出にくくなっている危険性はあります。


(最後に)

 肩も強いですし、走力もそこまで遅くない。キャッチングなども悪く無さそうなので、プロではレフトあたりならば、打撃重視のNPBならば上手い部類に入れるかもしれません。守備を許容範囲に留めつつ自慢のパワフルな打撃でアピールできれば、面白い存在になりうるのではないかと。ただし合わせられる器用さがある一方で、周りが求めるほど本塁打が出るかどうかは微妙なのかなといった印象を受けました。それでも打撃で、存在感を示せる可能性がある選手を6位で指名できたのであれば、充分ありの指名ではないかと考えます。


蔵の評価: (下位指名級)


(2021年 都市対抗)