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山中 尭之(オリックス)外野手のルーキー回顧へ







山中 尭之(22歳・BC茨城)左翼 183/96 右/右 (つくば秀英-共栄大出身) 





「パワーは外人級」 





 強引なまでにフルスイングから繰り出す打球は、まさに助っ人級 といったパワーを感じさせる 山中 尭之 。引っ張り中心の打撃ではあるが、打撃には光るものを持っていた。


走塁面:☆☆ 2.0

 一塁までの駆け抜けタイムは、多少緩めたとはいえ 4.7秒台 。全力で走り抜けたとしても 4.6秒ぐらいだと考えられ、これを左打者に換算しても 4.35秒前後だと想定される。BCリーグでも、61試合で2盗塁と足を売りにする選手ではありません。走力に関しては、プロに混ぜても遅い部類だと言えるでしょう。

守備面:☆☆ 2.0

 レフトでスタメン出場試合の模様を観たのですが、守備範囲も狭く、キャッチングもそれほど上手い選手には見えなかった。肩も返球を見る限りはさほど強く無さそうなので、長打力でアピールできれば左翼もありだと思うが、基本は一塁かDH要員ではないかと考えられる。





(打撃内容)

 今シーズンのBCリーグでの成績は、61試合 223打数 11本 45点 打率.296厘 。まだ粗い部分はあるものの、勝負どころではセンター前や右方向に打ち返すこともあり、思ったよりは脆くはない。しかし基本は、引っ張り中心であり、自分のツボというものを持っており、そこを左中間スタンドに叩き込むことを得意としているようなのだ。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりや全体のバランスとしてはそれなりで、両眼で前を見据える姿勢はしっかりできている。それだけ球筋を錯覚を起こすことなく追えるだけでなく、打席でも高い集中力が感じられる。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離ヒッターやポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を上げてまわしこんで、少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいかと。またアウトステップしていることからも、内角への意識が強そうだ。引っ張った打球が多いのも、そのせいかもしれない。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、アウトステップでも甘めの外角球や高めの球ならば、充分対応できるのではないのだろうか。ただし引っ張りにかかることが多いので、内野ゴロを打ってしまうケースも少なくはなさそうだ。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はない。ただし、力が入りすぎて、ボールを引っ掛けてしまったり打ち損じるケースはそれなりにありそう。またバットの振り出しも、腰が少し開くのが早く遠回りに出てくるので、そのへんで確実性を残っている部分はある。それでもそれも、極端に酷いといったレベルではない。

 それでもバットの先端であるヘッドの下がりは少なく、比較的広い面で捉えてフェアゾーンの飛ぶ可能性は高い。またそれほどフォロースルーを使って運ぶというよりも、腕力で巻き込む感じのスイング。そのためNPBレベルだと、スラッガーというよりも強烈な打球が抜けてゆく感じで、思ったほど高い確率では打球は上がってゆかないかもしれない。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動も大きくはない。また腰は多少早く開くものの、身体の開きはある程度のところで我慢できている。軸足が少し前に傾いてツッコミがちになるので、そのへんは注意したい。軸足の内モモの筋肉が発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 まだ粗い部分もあるので、即一軍で活躍できるといったレベルではないだろう。それこそファームで、プロに必要な技術を習得することも求められそうだ。自分の得意ゾーンを打ち損じないでフルスイングすることも大事だが、追い込まれたらセンターから右方向への打撃に切り替える柔軟性も磨かないと、率は残ってはゆかないだろう。あとは、チームが期待するほどのペースで、ホームランが放つことができるようになるかだろう。


(最後に)

 多少の守備・走塁に目をつぶっても、そのパワフルな打撃に賭けてみたいという育成枠らしいわかりやすいタイプ。フルスイングできる打撃は魅力的で、あとは精度をいかに高めて行けるかではないのだろうか? モノになれるかは微妙だが、イチかバチかに賭けてみたくなる素材だし、そこまで脆さや癖もないので改善も期待できる許容範囲ではないかと思われる。 を付けるまでの評価には至らなかったが、プロの環境や指導でどこまでの選手になれるのか見守ってゆきたい。


(2021年 BCリーグ戦)