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岩田 幸宏(ヤクルト)外野手のルーキー回顧へ







岩田 幸宏(24歳・信濃グランセローズ)右翼 178/77 左/左 (東洋大姫路-ミキハウス出身) 





 「三拍子揃った好選手」




 良くドラフト界隈で聞かれる言葉であるが、実際プロレベルを想定して、そう呼べる選手は少ない。そんな中、数少ないそう呼べる選手なのが、この 岩田 幸宏 ではないのだろうか。


走塁面:☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの塁間を、左打席から3.9秒台で駆け抜けます。BCリーグでは、63試合で29盗塁と走力を全面に出したプレースタイルです。足を武器にする選手なのは間違いないのですが、NPBレベルで即走力を売りにできるまでのレベルなのかは微妙だとはみています。それでも、将来足を売りにできる可能性を秘めた選手なのは間違いないでしょう。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 この俊足を生かした、広い守備範囲も魅力。球際にも強く、ギリギリの体勢で好捕する姿が目立ちます。また、肩も想像以上に強く、プロに混ぜても 中の上~上の下 クラスは充分にありそう。捕るまでに、次のプレーを想定して捕球できているところも良いところではないのでしょうか。

 守備・走塁に関しては、充分プロの素材といった気がします。この素材を活かしながら、攻守で売りにできるレベルまで引き上げられるかが今後の課題だとみています。





(打撃内容)

 BCリーグに参加した昨年も今年も、打率3割5分以上のハイアベレージを残しまています。長打を放つというよりは、投手に球をはじき返す感じの、単打の多い巧打者といったイメージ。それでも俊足を活かし、二塁打・三塁打は少なくありません。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 スクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスはまずまずで、両眼ではしっかり前を見据えて構えられている。全体的にベタ~とした構えなので、そのへんで動作の一瞬の遅れに繋がらないのか気になる部分はあります。

 具体的にいえば、両足をベタと地面を捉え過ぎていたりとか、あまり体を動かして構えるとか、そういった動作が観られないということがそういった印象を受けてしまう要因かもしれません。

<仕掛け> 早め

 それでも、投手の重心が沈み始める時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出すことで、いろいろなスピードの変化には対応しやすく、アベレージヒッターに多く観られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く上げて、少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも緩急には対応しやすいはず。ベース側に軽くインステップして来るように、意識は若干外角寄りにあるのかもしれません。

 気になるのは、左打者がインステップすると最初の一歩目が遅れるということ。これが、アベレージヒッターにとっては率を残し難い要因になりかねません。そういった意味では、アウトステップとは言わないまでも、真っ直ぐ踏み出すぐらいが良いのではないかと個人的には考えています。それでも踏み込んだ足元はインパクト際に動かないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができています。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」は早めに作れているのですが、バットを振り出す時に少し投手側にバットが倒れるので、そのへんが少しバットの出を鈍らせるているように見えます。それでもスイング軌道自体に大きなロスは感じませんし、外角の球に対しても、うまくヘッドを立ててフェアゾーンに拾えている感じがします。基本的には、コース逆らわず右に左へとはじき返すスイングだと思います。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足にも安定感と粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉える能力と技術的には、比較的高いものを持っています。プロのスピードに慣れ、それに力負けしないスイングが身につけられればと思います。そのため、一年ぐらいあればプロでも順応して行けるのではないのでしょうか。少しひ弱に感じさせる部分を、改善できればといった気がします。


(最後に)

 走力・地肩などもプロでも充分やれるものがありますし、打撃センス・技術もしっかりしています。そういった意味では、2年目ぐらいには支配下を勝ち取っても不思議ではない選手でみています。プレーへの意識も高いように見受けられるので、今後が楽しみ。打撃のイメージは、石井 琢朗(元ベイスターズ)に近いタイプかと。育成枠の指名でしたが、本会議級の選手として評価したいところです。


蔵の評価: (下位指名級)


(2021年 BCリーグ戦)