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加藤 晴空(ソフトバンク)捕手のルーキー回顧へ







加藤 晴空(東明館3年)捕手 174/77 右/左 





 「野球センスに優れている」





 チームでも捕手ながら1番打者を務め、球数を多く投げさせたり、セーフティバントで揺さぶったりと、野球センスが光る 加藤 晴空 。物凄く肩が強いとか、打撃が凄いというよりも、そういった常に相手に嫌がられることを意識してプレーをすることができる選手なのだ。


(ディフェンス面)

 しっかり、周りに指示の出せる司令塔。投手にミットを示し、そのグラブを地面に下げないで捕球します。またランナーがいれば、しっかり立って返球するなど雑なところは観られません。特にキャッチングなどが上手いとかいう感じはしませんでしたが、ボールまわしにリズムがありフットワークにも身軽さを感じます。ただし、ボールを上から掴みにいったりする時もあり、一瞬の反応が鋭いとか、そういったとっさの判断力に特別なものは感じられませんでした。

 二塁までの送球タイムは、計測したときで2.0秒前後と平凡。地肩も特別強い感じはしませんでしたが、捕ってから投げるまでの動作に無駄はありませんでした。また、投手としてもマウンドに上がることがあり、甲子園でも130キロ台後半を記録。これをみると、地肩はそこそこ強いのかなとは思うところも。リードに関しても、プロでこれからいかに磨かれるかではないかと感じます。確かに野球選手としてのセンスは感じれますが、捕手としては特別なものは感じませんでした。将来的には、内野手などにコンバートされるのかもしれません。





(打撃内容)

 上記に記したように、一番打者として相手に嫌がられるプレーを心がけます。強打者というよりは、柔らかいバッティングをする好打者との印象。甲子園では2打数0安打、夏の佐賀大会でも、17打数3安打と打撃でアピールする選手でも無さそうでした。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かしつま先立ち。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、腰の据わりや両眼で前を見据える姿勢に全体のバランスもまずまずといった構えになっています。

<仕掛け> 遅すぎ

 追い込まれる前でも、投手のリリース直前に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、木製バットでプロレベルのボールを打ち返すのは困難な気はします。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を小さくステップさせて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は短く、狙い球を絞ってその球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。それでも踏み込んだ足元はブレず、逃げてゆく球や低めの球にもついて行くことができます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのまでは自然体で、力み無くボールを呼び込めるところは良いところ。始動が遅いので、バットを引くのが遅れないように注意したい。素晴らしいのは、振り出しからインパクトまでのスイング軌道にロスがないこと。また内角の球に対しても、開くことなく上手くボールをさばけていて、リストを柔らかく使えるところは魅力です。

 インパクトの際にもヘッドは下がっていませんし、スイングが鋭いとか力強いということはないものの、合わせるのは上手いのではないかと感じました。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動が動かなく錯覚が起こり難くて良いのでは。身体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 始動の遅さからも、プロレベルの球威や球速には戸惑うかもしれません。しかし、若干始動を早めて動作に余裕を持たせられれば、スイング軌道は理想的ですし、ボールを捉える柔らかさも感じます。軸もしっかりしていますし、打撃にエネルギーを傾けたら、もっと元来は打てる選手なのかもしれません。


(最後に)

 肩が凄いとか打撃が凄いとか、そういった肉体的なポテンシャルに優れた選手ではありません。むしろ見た目には現れ難い、相手を揺さぶるとか嫌がられるのはどうなのかなど、考えてプレーをする野球センスや思考力を評価すべき選手ではないのでしょうか。打撃の結果は出ていませんが、始動の問題をクリアできると、意外に率は残せるようになるかという期待もあります。捕手として大成するかは微妙ですが、セーフティバント時には塁間4.0秒を切る俊足でもあり、上手くピースにハマるようになるかもしれませんね。育成枠ならではの、面白い指名ではありました。


(2021年夏 佐賀大会)