21ky-42
三代 祥貴(大分商3年)三塁 180/90 右/右 | |
大分の高校野球を盛り上げてきた三代兄弟の末っ子であるという 三代 祥貴 。特に、右方向への打球が伸びる、右の強打者である。 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの塁間は、右打席から速い時で4.5秒前後で駆け抜ける。これを左打者に換算すると、4.25秒前後に相当し、これはドラフト指名選手として速い方ではない。また、過去の公式戦において盗塁を決めたことはなく、現時点ではそれほど走塁を売りにする選手には見えなかった。一塁までに際どい当たりでは全力で走り、ヘッドスライディングを見せるガッツマン。ただし、走っている姿をみると、足が速いようには見えなかった。 守備面:☆☆☆ 3.0 打球への反応が良いのか? 広い守備範囲を誇ります。そしてダイビングして飛び込み、アウトにするような場面も見られます。むしろ心配なのは、送球の方。あまりスローイングの形も良くないせいか? 肩は悪くないと思いますが、送球の精度はかなり低い。1年秋・2年秋までは左翼を守っており、将来的には外野にコンバートされるのではないのだろうか? (打撃内容) 恵まれた体格から、右方向への打球が伸びることに特徴があります。甘い球を打ち損じすることも多いのですが、最後の夏は 11打数4安打と結果を残しますが、打点が0で終わったのは4番打者としては物足りなかったところです。 <構え> ☆☆★ 2.5 前の足を若干ベース側に置いてカカトを浮かし、少し後ろ足に重心を預けてクロス気味に構えます。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合は悪くないものの、全体のバランスや両眼で前を見据える姿勢には癖があります。センターカメラからみても背番号が読み取れるように、センターから右方向への意識が強いのではないのでしょうか? 逆にこの形から引っ張りにかかると、ゴロになるケースが多くなります。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が沈みきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。ボールをできるだけ引きつけてから動き出すので、生粋の二番打者か天性の長距離打者に多く見られる始動のタイミング。彼の場合は、恐らく後者であるだろうということ。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 足をほとんど引き上げず、地面をなぞるように回し込み真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を決めてその球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプなのだろう。 気になるのは、インパクトの際に足元が止まらず動いてしまうこと。引っ張って巻き込むときは良いが、これだと逃げてゆく球や低めの球への対処は厳しくなる。外角の球でも、甘めの球や高めの球しかさばき難いのではないのだろうか。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 バットを引くのは遅くないのですが、そこからしっかり「トップ」の形に入るまでには少し時間がかかって余裕がありません。バットの振り出しも、極端ではないもののやや遠回り。インパクトの際にも少しバットの先端であるヘッドが下り気味なので、ファールになって打ち損じが多い感じです。スイング軌道を修正する以上に、幾分バットの先端を少しだけ立てる感覚でもフェアゾーンに飛ぶ確率は増えそうです。 インパクト後のスイングの弧は大きく取れており、フォロースルーも使えて打球を遠くに運びます。ポイントが少し後ろにあり右方向への打球が伸びるのは、この動作によるところが大きいのでは? <軸> ☆☆★ 2.5 足の上げ下げ小さいので、目線のブレは少なめ。踏み込んだ足元が止まらないので「開き」が抑えきれていないのと、軸足は前に傾き過ぎなので、前にツッコミやすいので注意したい。 (打撃のまとめ) 上半身のスイング軌道だけでなく、トップを作るのが遅れるのは気になるところ。また下半身も受け止める足元が動いてしまったり、軸足の形が崩れて不安定になっているなど、自慢の打撃にも改善点は多そうだ。ただし、始動の遅さやフォロースルーの形などを見ると、ホームラン打者になれる可能性を秘めている。軸足の内モモが強く安定して来ると、ゆるさがなくなりキッチリホームランできる場面も増えるのではないのだろうか? (最後に) 右方向に大きな打球を飛ばせるという魅力はあるものの、守備・走力でのアドバンテージは少なく、打撃でも確実性が粗い選手。それだからこその、育成でも12番目の指名であったとも言えるのではないのでしょうか。その辺の問題を改善できるとみての指名でしょうから、少し長い目で観て行きたい大型野手といった気がします。☆ は付けられませんが、4~5年後にどんな強打者になっているのか見届けて行きたい一人でした。 (2021年夏 大分大会) |