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村山 亮介(ロッテ)捕手のルーキー回顧へ







 村山 亮介(幕張総合3年)捕手 186/108 右/右
 




「打撃は良さそう」





 「打てる捕手」として期待される 村山 亮介 。その打撃レベルとディフェンス力について、考えてみることにした。


(ディフェンス面)

 超大型の捕手だけに、的が大きく投手としては安心して投げやすいのではないのでしょうか。投手への返球を座ったままするのは、テンポの面では普段の返球が乱れない限りは良いと思います。しかし、ランナーを背負った場面でもそうなので、万が一返球が乱れたりとか、じっくり時間をかけながらという意味ではおそらくプロでは直されるのではないかと。それでも、内野ゴロの際にはしっかりバックアップには走っていますので、プレースタイルが雑といったほどではないように思えます。

 大型故に、打球への反応やフットワークという意味では、やや鈍い印象は受けました。キャッチングなどは、ミットの出し方は悪くないように見えました。またスローイングは、やや上半身主導で力任せの印象。塁間1.9秒台と言われる送球はプロに混ぜてしまうと少し見劣るかもしれません。さほどじっくり見られず細かい部分はわからないところもあるのですが、ちょっとみた感じではプロの捕手としては辛いかなといった気はしました。それでも「打てる捕手」としての稀少価値から獲った選手でしょうから、これをプロの指導によって許容範囲まで持って来られるかが鍵になりそうです。





(打撃内容)

 パワフルな打撃が持ち味で、高校通算38本塁打を誇る強打者。しかし、強引に引っ張るだけというよりも、無理なくセンター前に打ち返すな技量があります。3年夏は1試合で終わったのですが、チームの3番打者として3打数1安打という内容でした。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いて、グリップは下げ気味に構えます。腰の据わり具合・全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢なども良く、特に力みなく構えられているところが良いところかと。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強いポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識は強そうです。また踏み込んだ足元も、インパクト祭に止まってブレません。アウトステップでも、甘めの外角球や高めの球ならば無理なく打ち返すことができそうです。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。バットの振り出しも、内角の球に対しては、肘をうまくたたんでさばけています。アウトステップを採用するのは、得意な内角球をより打ちたいという意識の現れなのでは? また外角球に対しても、インパクトまでロスは感じられずヘッドの下がりも感じられません。スイングの弧を大きく取りつつ、思いっきり振り抜いて来るスタイル。うまく巻き込めた時に長打は飛ぶのかもしれませんが、センターから右方向へは軽打といったタイプではないのかもしれません。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 目線の上下動もそれなりで、目線の上下動も激しくは無さそう。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定していますし、強烈な打球を放つように軸足自体にも力強さが感じられます。

(打撃のまとめ)

 パワフルな打撃をする選手なのですが、打席では力みなくセンターから右方向にも力みなく打ち返す技術があります。スイング軌道にも癖がなく、それを支える下半身もしっかり止めることができています。高いレベルの野球への順応には最初戸惑うかもしれませんが、技術的な部分ではあまりいじらなくて済むのではないかと。まだそれほど打球に角度が付けられそうな感じはしませんが、それもプロの環境で馴れてゆく中で変わってゆくかもしれません。こと打つことに関しては、一定の水準にあると観て良さそうです。


(最後に)

 ディフェンス面に関しては、ちょっとプロの捕手としてはどうなのかな?という物足りなさは感じます。しかし、打撃面に関しては、「打てる捕手」という素養は感じられる選手。ディフェンス面を許容範囲に留められれば、その期待に応えるだけの存在になっても不思議ではありません。けして動ける選手では無さそうなので、よほど打撃で突出しない限りは、やはり捕手として打撃をアピールするのが得策なのではないのでしょうか。個人的には、思ったよりも良い選手だったなといった印象です。ただ、 を付けられるほどかと言われれば疑問で、あくまでも可能性に賭けての指名といった育成枠が妥当だったと評価します。


(2021年夏 千葉大会)