21ky-4





阪口 樂(日ハム)外野手のルーキー回顧へ







阪口 樂(岐阜第一3年)投手兼一塁手 187/90 右/左 
 




「プレッシャーに潰された」 





 下級生までの活躍では、1位指名になるかもしれないと期待されていたほどの 阪口 樂 。まさに、左中間スタンドに大きな飛球を飛ばす姿は、あの 大谷 翔平 を彷彿とさせる。しかし、最終学年では、そのボールテージの高さに気負けしたのか? 春季東海大会・そして最後の夏と完全に打撃を崩し結果を残せないまま終えてしまった。


(守備・走塁面)

 残念ながら、アウトになる時も三振かフライの打球が多く一塁までの到達タイムが計測できなかった。ただし、プレースタイルを見る限り、足を売りにするような感じはしてこない。足が速くないのかまではわからないが、走力への意識は高校の時点では高くはない。

 最終学年は、エースとしてマウンドに上がる機会が多く、守備でのプレーを見る機会が殆どなかった。守備位置としては、一塁か右翼あたりを守る。投手としては、130キロ台中盤~140キロ台前半ぐらいと、驚くような球威・球速はないものの、地肩はそれなりに強いと観て良いだろう。むしろ野手が投手をやっているという感じではなく、普通に適度にまとまった良い投手だったという感じで、そういった器用さ野球センスは素直に評価して良いのではないのだろうか。本人はプロ入り後サードとして頑張りたいとのコメントもしており、そういったポジションをこなすだけのセンスはあるのかもしれません。

 いずれにしても、守備・走塁に関しては、よくわからない部分が多い。そして、プロでしっかりその辺を一から学ばないと行けないことも多いのだろうということ。


(打撃内容)

 春季東海大会の時に生で観ていたのですが、全くタイミングが合っておらず内容も極めて悪かったです。投手としては、想像以上に頑張ってはいたのですが ・・・ 。そしてその内容のまま、最後の夏も迎えてしまった感じです。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いてカカトを浮かしつつ、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつバランス良く立てていて、両眼で前を見据える姿勢も良いです。懐も深く力みも感じられないので、構えとしては強打者としての雰囲気を持っています。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手のリリース直前に動き出す、「遅すぎる仕掛け」を採用。これだと、日本人の筋力やヘッドスピードなどを考えると、なかなかプロレベルの球を木製バットで対応するのは難しい。幾分始動を早めて、動作全体に余裕をもたせたい。

<足の運び> ☆☆★ 2.5

 一度ベース側につま先立ちしたあと、小さくアウトステップしてくる。始動~着地までの「間」がないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を打ち損じしないだけの「鋭さ」が求められる。ベースから少し離れた方向に踏み出すことからも、内角への意識が若干強いのかなといった印象。これは長い手足ために懐のさばきが窮屈なので、内角を打ちたいというよりも、そういった球に対する対処を考えてなのではないのだろうか。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にカカトをめり込ませてなんとか踏ん張ります。しかし、腰の開きが早いので、十分には抑え込めていない印象があります。したがって最終学年では、外角の球を叩くにも力が入らずスイングが波打っていました。

<リストワーク> ☆☆★ 2.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で力みはないのですが、始動全体が遅いので全体的に立ち遅れてしまっています。バットの振り出しも、けしてインサイドアウトにキレイに抜けて来るタイプではなく、インパクトまで少し遠回りに出てきます。

 ヘッドの下がりはそこまで悪くないのですが、スイングの弧を大きくとっているとかフォロースルーを使ってボールを運んでいるわけではなく、天性の資質だけでボールを飛ばしている感じがします。それでもあれだけの打球を飛ばせてしまうのですから、非凡な才能があるとは考えられますが、まだまだ再現性が低いとしか言いようがありません。

<軸> ☆☆★ 2.5

 足の上げ下げが殆どないので、目線の上下動が小さいのは良いところ。腰が早くしまっていて我慢できていないので、どうしても逃げてゆく球や低めの球に対応しきれません。また軸足自体もしっかり地面から伸びていないので、、腰砕けのスイングになったり、しっかりボールが叩けない状態になっていました。

(打撃内容)

 持っている資質は高いのでしょうが、今の打ち方では全然打てなかったのも納得です。スイングの形は昨夏より悪くなっており、内容が伴わなかったのも当然でしょう。そういった意味では、スイングをプロで一から作ってゆくことになりそうで、時間はかかるものと考えられます。


(最後に)

 それでも、打席に入る時には足場をしっかり馴らしてから入るなど、それなりにプレーへのこだわりは感じられます。そのため、けして意識が低いとか不真面目な選手では無さそうです。実際彼が囲み取材をしていたのを横で訊いていたことがあるのですが、イケイケの強打者らしくは感じられず、むしろ投手っぽいマインドの選手なのかなと。そのへんも、最終学年に不調に入って脱しられなかった一つの要因だったのかもしれません。

 それでも持っている野手としての才能・ボールを飛ばす飛距離は圧巻なので、時間はかかっても資質を引き出すのが上手い日ハムならば、将来の中心打者へと変貌するかもという期待は膨らみます。4位という順位ならば、どっちに転ぶかわかりませんが、その可能性に賭けてみても良いのではないのでしょうか。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2021年夏 岐阜大会)










阪口 樂(岐阜第一2年)投手兼一塁手 187/90 右/左 





 「まさにオオタニ~サン」





 スラッとした長身体型から、外角のストレートを空高く打ち上げてホームランする姿は、メジャーリーガー・大谷 翔平(エンゼルス)の打球をみているような 阪口 樂 。この選手の秘めたる潜在能力は、一体何処にあるのか?


(守備・走塁)

 投手としては、最速143キロ。しかし、投球を観ていると変化球の割合が多く、ストレートも130キロ台という感じで将来性では断然野手。投手として、ある程度肩が強いことは間違いないと思うが、守備勘がどの程度かは正直わからない。それも投げないときは一塁を守っており、将来的に野手に専念させたらどうなるのかは見えて来ない。

 また走力に関しても、計測するよう機会がなかったのでよくわからなかった。走力があるないに関わらず、あまり足を売りにするようなプレースタイルには見えないのだがどうなのだろう? 





(打撃内容)

 流した打球はを空高く舞い上がる感じならば、引っ張った打球はライナーでスタンドまで突き刺さる感じ。2年秋の東海大会こそ無安打に終わったが、柔らかいバッティングで脆さは感じられなかった。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップは下げ気味にリラックスして構えています。腰の据わりはさほどではないものの、背筋を伸ばしつつ両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなりといった感じです。力み無く、自然体に構えられているのは良いのではないのでしょうか。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちし、本格的に始動するのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、木製バットでプロの球をさばくのには始動が遅すぎるのではないかと心配になります。それでも、150キロ台をその日連発していた 加藤翼(帝京可児)のストレートをスタンドインしたように、速い球に対応するのが苦手なわけでは無さそうです。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足をほとんど上げずに、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が取れないので、狙い球を絞りその球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのではないのでしょうか。

 またステップが狭めなので、引っ張って巻き込むのには腰の回転を促して良いのでしょう。しかし、ボールを長く見るということではどうでしょうか? それでも踏み込んだ前の足は、インパクトの際になんとくブレずに我慢。外角の球や逃げてゆく球に対しても、開きを我慢して対処することはできそうです。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは早めに作れており、速い球に立ち遅れず始動の遅さを補っていました。ただし、「トップ」自体はきっちり作れて振り出すわけではないので、タイミングが上手く取れているのかは微妙な気はしました。振り出しは、外角の球にもある程度振り下ろすような感じのスイングで、ボールの下を叩くので打球に角度が付くのだと考えられます。そのことにより、払うようなスイングでも空高く舞い上がるのではないかと。

 けしてスイングの弧を大きく取っているとか、フォロースルーを上手く使って打球を運んでいるわけではないように感じます。逆に引っ張った打球は、広い面でボールを捉えているのでライナー性で飛んで行きます。さほど力感のあるスイングではないのですが、あれだけの飛距離を出せるのは、ポテンシャルのなせる技なのでしょう。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げがほとんどないので、目線の上下動がほとんどないのは非凡です。それだけ、錯覚を起こすなか球筋を追えるので。また身体の開きもなんとか我慢できているのですが、ステップが狭いせいか? 足元が窮屈に見えて打撃に幅をあまり感じられません。軸足の居場所がないので形もいびつになっており、きっちりしたスイングがし難いのではないかと。

(打撃のまとめ)

 始動が遅すぎたり、「トップ」をしっかり作れないで振り出すので、タイミングが図るのはあまり上手くないように感じます。下半身はなんとか開かずに我慢はできているものの、ステップが狭いことで長くボールが観られません。それでもバットの振り出しにはロスがなく、ボールに角度をつけて飛ばすテクニックは天性のものがあります。現状は、打てる球と打てない球がハッキリしている可能性があります。現時点ではまだまだ技術だとは思いますが、それでもある程度結果を残せてしまうのは、この選手の潜在能力の高さなのではないのでしょうか。


(最後に)

 守備・走塁・打撃に関しても、実際どの領域に現在あり、何処らへんまで到達しそうなのかは正直まだ全然見えてきません。ただ今言えることは、かなりの能力を秘めているのではないかということ。しかし技術に裏打ちされているというよりは、感覚的なものでやっているのではないかと感じます。それ故に、それが崩れた時に修正するのには時間がかかるタイプかもしれません。現時点では、この世代の中で突き抜けた才能は持っているかもしれないけれど、関西でハイレベルな相手に揉まれてきた 前川(智弁学園)や徳丸(智弁和歌山)のような、洗練されたものはないように感じます。そこを魅力と感じるのか、まだ経験不足とみるかは、この一年の彼のプレーを観てゆく中で判断して行けたらと思っています。いずれにしても、全国で5本の指には入るであろう、強打者であるのは間違いないのではないのでしょうから、ぜひ一度生でみてみたい選手です。


(2020年夏 岐阜大会)