21ky-38
佐久間 拓斗(田村3年)捕手 183/99 右/右 | |
残念ながら、試合の映像すら見つけられなかったのが、この 佐久間 拓斗 。ドラフト後に、福島県内で指名された選手を取り上げる番組で、この選手が動いているところを僅かに確認できた。今回は、その映像を元に、私がわかる範囲でこの選手の全容に近づいてみたい。 (守備・走塁面) 高校では、捕手として出場。しかし、守備力に課題があるようで、現在はサードの練習をしているという。僅かに内野でボールをさばいている映像を確認できたが、体格の割には軽やかに動けていたのは印象的。キャッチング・スローイングの精度はわからないが、けして動きの悪い選手では無さそうだ。まして、遠投105メートルの強肩も武器のようで、肩の強さは問題ないだろう。 50メートル・6秒0 ということで、実際走っているところを観たが、確かに走力も遅くなさそうだ。プロで足を売りにできるような技術があるかはわからないが、肩・走力 という身体能力は、けして低い選手ではなさそうなのだ。 (打撃内容) 試合での映像ではなく、練習での打撃フォームをみてのフォーム分析となります。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かせて構えます。グリップは高めに添え、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢も良く、全体としても良い構えに見えます。 <仕掛け> 遅すぎ カカトを浮かして構え、投手がリリースを迎える直前あたりで動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードで、プロレベルの球を木製バットで打ち返すには遅すぎる気はします。ただし、彼のように人並み外れたパワーの持ち主であれば、このタイミングでも振り遅れを防げるかもしれませんが・・・。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を殆ど上げることなく、小さく真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」がより求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでしょう。 踏み込んだ足は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球には、開きを我慢して付いてゆくことができます。ただし、ほとんど前に重心移動ができていないので、木製バットで何処まで前に飛ばすことができるかには不安が残ります。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補っています。スイング軌道にも大きなロスは感じれず、バットの先端であるヘッドは下がっていません。インパクト後は、大きく前をとって力強く振り切ってきます。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが殆どないので、目線の上下動は少なめ。そのため、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができます。踏み込んだ前の足も我慢できているので、開きも抑えられています。軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定していますし、軸足の内モモの筋肉も強そうで、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) 始動が遅すぎて、打てるポイントが 点 であり、甘い球をいかに逃さないで叩けるかに懸かっています。また重心移動がしっかりできていないので、何処まで打球が前に飛ぶのかは気になります。しかし、スイング軌道には癖がなく、ボールを捉える時の形は良いです。また、それを受け止める下半身もしっかりしています。すなわち、タイミングが合いさえすれば打ち損じの少ないスイングではないのでしょうか。 (最後に) 実際これだけの材料では、ハッキリとはわかりません。ただし現時点では、長距離砲というよりも、強烈な打球で野手の間を抜けてゆく二塁打・三塁打などが多いタイプなのかなといった印象が強いです。肉体のポテンシャル・打撃の形など元になる素材は悪く無さそうなので、あとは木製バットへの対応とプロのスピードに順応できるかに懸かっています。ソフトバンクの育成環境で、その才能が磨かれることを祈っています。今年の指名選手の中でも、最も隠し玉的色彩の強い一人でした。 (2021年秋 練習風景) |