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大津 綾也(北海3年)捕手のルーキー回顧へ







大津 綾也(北海3年)捕手 172/66 右/右 
 




 「ワンバウンド処理は全国随一」





 ストライクゾーンからボールゾーンに切れ込む球を振らせるのを得意とする、ドラフト上位候補の 木村 大成(北海3年)左腕。そんな中、女房である 大津 綾也 は、左投手のワンバウンドして逃げてゆくという最も難しいボールの処理を、ことごとく前で止める技術には逸脱だった。全国的に見ても、ワンバウンド処理の能力は、今年の捕手全体をみてもNO.1ではないかと思われる。


(ディフェンス面)

 リズム感のあるボールまわしを見ていると、いかにもセンスを感じさせる捕手です。普段のキャッチングも悪くないですし、司令塔らしく周りへの指示もしっかりできます。フットワーク・リズム感・キャッチング・司令塔としての役割に関して、高校生としては最上位クラスのディフェンス力だと言えるでしょう。

 また選抜組でも屈指の 1.7秒台後半~1.8秒台中盤でまとめる送球能力も一級品です。特にタイムだけが速いのではなく、捕ってから投げるまでの動作に無駄がなく、送球も安定しています。この送球能力は、プロに入れてもチームで上位レベルになるのではないのでしょうか。また低めのボール球を振らせるのが持ち味の木村の投球においても、高めの球を使って高低を意識したインサイドワークが光りました。また低めの変化球を振って来ないとみるや、ゾーンを上げてストライクゾーンに変化球を投げ込むことで、相手の動揺を誘ったインテリジェンスも逸脱です。こういったディフェンスセンスは、選抜組でも異彩を放っていた 川上 陸斗(福岡大大濠3年)捕手と双璧をなす存在ではないかと評価します。ディフェンス面では、間違いなくプロ級だと言えるでしょう。





(打撃内容)

 その反面、打撃の印象が薄いのは確かです。夏の甲子園では、センター前に一本はじき返すのみで終わりました。夏の南北海道大会では、チームの3番打者として 1本 5点 打率.381厘 と、箸にも棒にもといったほどではありませんが、ドラフト候補としては弱いことは否めません。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合はそれなりで、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは並ぐらいだろうか。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がりきって、前に重心移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、ボールをできるだけ引きつけてから動き出すので、長距離打者や生粋の二番打者に多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆ 2.0

 足を軽く浮かし、その場に踏み込みます。始動~着地までの「間」は短く、狙い球を絞ってその球を逃さないことが求められます。真軸足に対し、真っ直ぐの位置に踏み込みます。したがって、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでしょう。

 気になるのは、その場で足を浮かし降ろす形なので、重心が前に移ってゆかないこと。また降ろした足元も、ステップが狭めでバランスが悪く、インパクトに際に止まらず動いてしまいます。こうなると逃げてゆく球や低めの球に対しても、開きを我慢できません。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのも、バット引くのが遅れがちで速い球に立ち遅れています。バットのスイング軌道は、上からミートポイントまで、ロスなくインパクトできています。またバットの先端であるヘッドも下がらないでスイングできているので、ボールがフェアゾーンに飛びやすいところは良いところ。特に、スイングの弧が大きいとかフォロースルーを活かすとかそういったことはありません。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げ自体は小さいので、目線の上下動は静か。しかし、身体の開きが充分我慢できていないのは気になる材料。しかし、軸足の形は大きくは崩れません。引っ張って巻き込む際には、軸回転ではスイングはできています。

(打撃のまとめ)

 始動やトップを作るのが遅く、速い球への対応に苦労しそう。また後ろ~前への体重移動がままならないだけでなく、足元も止まっていないので「開き」が我慢できません。そういった下半身の使い方に課題があります。その一方で、スイング軌道やヘッドの立ったスイングができるので、上半身の使い方に癖がないのは明るい材料かと。特にボールを捉える能力、スイングの鋭さやパワーなどには、特別なものは感じられませんでしたが。


(最後に)

 ディフェンス力が素晴らしい反面、打撃に関してはドラフト候補としても劣ります。それだけに、プロ入り後打撃で苦労するのではないかと考えます。そのためドラフト指名されるとしても、育成枠であるかないかではないのでしょうか。打撃さえ改善できれば面白いと思いますが、果たしてどうなのでしょうか? 個人的には、打力のない選手は評価できないので、 を付けるまでには至りませんでした。ただし捕手としては、今年のドラフト候補でも1,2を争うぐらい個人的には好きなタイプの捕手でした。


(2021年夏 甲子園)