21ky-30





立石 正広(創価大4年)二塁 180/87 右/右 (高川学園出身) 
 




 「今年の目玉」





 今年のリーグ戦初戦、第一打席で放った打球は、どこまで飛んだかわからないほどの圧倒的な一撃だった。この瞬間、2025年のドラフトの目玉が 立石 正広 であると、強く確信した。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 右打席から一塁への到達タイムは、速いときで約4.2秒。左打者に換算すると約3.95秒に相当し、ドラフト候補としては 中の上 クラスの脚力と評価できる。プロで足を武器に活躍するレベルではないが、スラッガーとしては異例の基準以上のスピードを誇る。4年春のリーグ戦では12試合で3盗塁、3年春には5盗塁を記録。適度に盗塁を仕掛ける積極性が光り、走塁で試合の流れを引き寄せる場面も見られる。


守備面:
☆☆☆ 3.0

 昨年まではサードを守っていたが、今春からセカンドに挑戦。守備範囲が広いわけでも、グラブさばきが際立って巧みでもないが、体の大きさに比してセカンドを無難にこなしている。特に、
ボールを丁寧に扱う意識が感じられ、基本に忠実なプレーが印象的だ。一方で、無駄な動作や動きが見られ、二塁守備はまだ発展途上。ただし、三塁での下がり癖を考慮すると、個人的には二塁の方が適性が高いと感じる。現状、セカンドでも許容範囲の守備力を持ち、プロでの成長余地も十分だ。





打撃分析

 以下では、立石の打撃を技術面と実績から詳細に分析する。彼の打撃は、
圧倒的なパワーと天性の長距離打者としての資質を物語っている。

打撃実績

 今春のリーグ戦では、
12試合で5本塁打、16打点、打率.400と、圧倒的な成績を残した。しかし、大学選手権では内野安打1本に終わり、初戦敗退。平塚合宿での日本代表選考でもタイミングが合わない場面が目立ち、好不調の波が課題として浮き彫りになった。それでも、日本代表候補に選出されるポテンシャルの高さは誰もが認めるところだ。

技術分析

項目
評価
コメント
構え
☆☆☆★ 3.5
 
 右打席で前足を軽く引き、かかとを浮かせて構える(構え:バットを握る姿勢)。グリップの高さは平均的、腰の据わりは浅めだが、両眼で前を見据える姿勢は安定感がある。昨年よりリラックスした構えに進化し、奥行きのある打席での存在感が増した。

仕掛け
平均
 
 投手の重心が沈み切ったタイミングで始動する「平均的な仕掛け」(仕掛け:スイングの開始タイミング)。確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや勝負強い打者に多く見られる。秋から変わらず、安定したタイミングを維持。


足の運び
☆☆☆★ 3.5
 
 足を上げ、ベースから軽く離れたアウトステップ(アウトステップ:外側に踏み出す動作)で踏み込む。始動から着地までの時間はあるが、タイミングの図り方には課題を残す。内角の意識が強く、踏み込んだ足元はブレないので、逃げる球や低めにも対応可能。


リストワーク
☆☆☆ 3.0

 打撃準備の「トップ」(トップ:スイング前のバットの位置)は自然体で、力まずボールを呼び込める。バットの振り出しは腰がやや早く逃げ、遠回りになるが、強靭なヘッドスピードで軌道のロスを補う。スイングの弧やフォロースルー(フォロースルー:スイング後のバットの動き)を活かすより、パワーで飛ばすタイプ。内角が窮屈なため、アウトステップすることで懐のスペースを確保している。


☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少ない。腰の開きは早いが、足元が動かず我慢でき、開きを抑えられる。ただし、大学選手権の時などは、軸足の形が崩れツッコミがちだった。そのためボールを呼び込めず、三振や凡打が増えた。好不調の波の原因は、この軸足の不安定さに現れている。




打撃のまとめ

 技術的には昨秋から大きな変化はないが、
ファールでも桁違いの飛距離を生み出すパワーは、今年のドラフト候補の中で圧倒的に際立っている。調子が悪くても一定の割合でホームランを放つ天性の長距離打者としての資質は、理屈を超越した存在感だ。軸足の安定感を磨けば、さらに安定した打撃が期待できる。


最後に

 立石正広は、圧倒的な飛ばし屋でありながら、セカンドを無難に守り、基準を上回る脚力を併せ持つ稀有な存在だ。右打ちと左打ちの違いはあるが、阪神の 佐藤輝明 に近いタイプと言える。プロの速球や変化球への対応には苦労するかもしれないが、その規格外のパワーとポテンシャルで、いずれは観客を沸かせるホームランバッターとして球界を代表する存在になってゆくだろう。


蔵の評価:
☆☆☆☆☆(目玉級)


(2025年 平塚合宿)







立石 正広(創価大3年)三塁 180/85 右/右 (高川学園出身) 





 「今や目玉候補」





 高川学園時代に、センターバックスクリーン飛ばす打球を見て、そのリストの強さに驚かされた 立石 正広 。今や、25年度のドラフトの目玉になりうる存在ではないのだろうか。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.25秒前後で到達。これを、左打者に換算すると 4.0秒相当になり、タイム的にはドラフト候補としては 中の上 クラスだと言える。リーグ戦でも3年春のシーズンには5盗塁を決めるなど、プロで足を売りにできるほどかは微妙にしても、
動ける走力を持っていることは大きい。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 試合前のノックなどを見ていると、無難といった感じ。それほど垢抜けて上手い感じもしなければ、大きなミスをしそうな危うさも感じない。ただし、三塁手としては、
少々下がって捕る傾向が強く、その点ではどうなのだろう?と思う部分は残る。

 高川学園時代から、あまり送球を見ていても肩が強いようには見えない。もちろん、それほどミスをしないのだから、無理して強い送球をしていないだけなのかもしれない。もう少し守備に関しては、一年間かけて見極めて行きたいポイントではある。場合によっては、二塁あたりも担えるのではないかという話も耳にするのほどだ。






(打撃内容)

 この秋のリーグ戦では、
打率.244厘 0本 2点 と苦しんで心配された。しかし、3年秋の神宮大会では、4試合で、2本 6点 3盗 打率.667厘 と、遺憾なく存在感を示せた大会となった。

<構え> 
☆☆☆★ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとしては、並ぐらいの印象を受けた。少し構えから感じられたのは、
懐が深くなく奥行きが感じられなかったのは気になる材料だった。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったあたり動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。高校時代は、「遅すぎる仕掛け」ぐらいだったので、かなり始動のタイミングは早めた印象があります。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの
「間」が短く見え、その点で間合いを図るという意味ではどうなのかな?と思う部分はあります。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのかと。高校時代から、この「間」が上手く取れている感じがしなかったのは、気になる部分ではありました。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際には
カカトをめり込ませて我慢。逃げてゆく球や低めの球に強そうには見えなかったものの、打球はセンターから右方向にも飛ばすことができます。特に、神宮大会の佛教大戦で魅せたような、想像以上に伸びてゆく打球が印象的でした。高川学園時代のバックスクリーンへの打球の伸びも凄かったですが。そういった打球の伸びといったものが、この選手の大いなる特徴なのかもしれません。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。けしてスイングは、内から出てくるようなインサイドアウトのスイング軌道ではありません。多少ロスのある軌道でも、
強靭なヘッドスピードでロスとは感じさないものを持っています。

 インパクトの際にも、それほどヘッドが立ってといった接地面の多いスイングではありません。
バットの下にボールを潜らせ、角度を付けて飛ばすタイプの打者ではないのでしょうか。そのため、それほどスイングの弧が大きいというよりも、むしろコンパクトで、フォロースルーを活かして、ボールを遠くに運びます。この辺が、打球への伸びに大きく影響しているのではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆★ 3.0

 足の上げ下げも静かで、
目線の上下動は小さい。身体の開きも、なんとか我慢できている。軸足の内腿の筋肉は発達していて強そうだが、少し前に傾きがちなので、身体が突っ込みには注意したい。そして、少し足元が窮屈に感じられる

(打撃のまとめ)

 あまり上手く「間」が取れていなそうなのと、動作全体を見ていると、破壊力はあっても確実性が高そうなスイングには見えないところをどう見るか? それでも高いレベル相手に結果を残し続けて行けるのか見守っていたいところだが、
プレッシャーで打撃を狂わし低迷する最終学年になっても不思議ではないという恐れは感じられた。


(最後に)

 走力に関しては、中の上 クラスはありそうで、三塁の守備も無難なレベルにはありそう。打撃も、
飛ばすことに関しては素晴らしい才能の持ち主である。その一方で、技術的には危うい上に成り立っているスイングだとも思っている。そういった危うい部分を、資質の高さで学生相手ならば圧倒して行けるのか? 見極めて行く一年としたい。いずれにしても、秋のドラフトで1位指名は揺らぐことは無さそうだ。


(2024年秋 神宮大会)


 








 立石 正広(高川学園3年)三塁 178/75 右/右
 




 「リストが強い」





 
名前こそ事前には訊いていたが、センターバックスクリーン方向に伸びてゆく打球を観て魅了されてしまった 立石 正広 。個人的には、甲子園組の野手の中でも、良く知らなかったという意味では最もサプライズな存在だった。


(守備・走塁面)

 残念なが、甲子園での二試合では、一塁までの到達タイムは計測できず。山口県大会の5試合で1盗塁と、それほど走力でガンガンアピールしているくるプレースタイルでは無さそう。動きを観ている限りは、ドラフト候補として平均的な走力ぐらいはあるのかなというふうには感じられた。

 三塁手としても、神戸国際大付属戦では無難にボールを処理していたのをみたが、小松大谷戦ではやや危なっかしく、肩もあまり強くは見えなかった。それでも県大会では、5試合で1失策ぐらいなので極端には悪くはないのだろう。いかんせん2試合を観ても打球が飛んでくる機会は少なく、サンプルが少なすぎた。走力と守備に関しては、県大会の模様も観て詳細を詰めて、この部分を差し替えられればと思っている。

 ただし、魅力的な打撃に比べると、走力・守備力は、中~中の下 ぐらいの印象で正直物足りない印象は持っています。


(打撃内容)

 小松大谷戦では、軽く払ったようなスイングでもセンターバックスクリーンに飛び込む特大の一発を。続く打席でも、センター横のフェンス直撃の長打を放つなど、そのリストの強さに驚愕しました。こんな打者がいたなんていう衝撃を受けましたが、続く神戸国際大では無安打に抑えられました。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃ったスクエアスタンスですが、前の足のカカトを浮かし少しベース側に置きます。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとそれなりに良く、打席でも高い集中力が感じられます。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下るときに一度動き出し地面を着き、再度投手がリリースを迎える直前に本格的に動き出すという「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、このタイミングでの始動では遅すぎる気はします。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を小さくステップして、真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間」が取れないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。また真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのではないかと。

 踏み込んだ足元も、インパクトの際にはブレずに我慢できます。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことが可能だと考えられます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動は遅いのですが速い球に立ち遅れ難いのでは? バットの振り出しに大きなロスは感じられず、インパクトまで持って来られます。けしてスイングの弧が大きいわけではないものの、フォロースルーを活かしてボールを遠くに運ぶことができている。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線は大きく動きません。身体の開きも我慢できていますし、軸足の形も大きく崩れません。ただし、足元が窮屈な印象を受け、さばけるコースは限られているかもしれません。

(打撃のまとめ)

 始動が遅すぎるので、打てる球は限られていると考えられます。スイング自体に悪いクセはないのですが、足元も窮屈でその点も気になります。それでもしっかり捉えた打球は、フォロースルーを活かしてグングン伸びてゆくのは魅力的です。


(最後に)

 小松大谷戦では、ちょっと良いところが出すぎたのかなと思いました。そのため、神戸国際大付属の徹底マークの前に結果を残すことができませんでした。また守備も危なっかしいところがあり、その点でも不安が残ります。プロ志望ならば、育成あたりなら面白いかなとも緒戦を見たときに思ったのですが、進学希望とのこと。大学の4年間で、もう少し攻守の精度を高めてからでも遅くはないのかなと感じます。それでも非常に楽しみなアーチスト候補なので、今後も気にして観て行きたい選手でした。


(2021年夏 甲子園)