21ky-20
小島 大河(明治大3年)捕手 179/83 右/左 (東海大相模出身) | |
高校時代の寸評でも、近藤 健介(ソフトバンク)に似ていると書いた 小島 大河 。とにかく、その対応力の高い打撃は、捕手というポジションを抜きにしても、今年の大学生トップクラスの打者なのだ。 (ディフェンス面) 丁寧にというよりも、結構気持ちの勝ったタイプの捕手のようには感じます。それでも低く重心を落として構えることからも、投手への低めに的をつけやすさを考慮した構えができる選手です。高校時代から、上からボールを捕ることが多いミットの出し方は気になるのですが、それでも53試合の公式戦で失策は0個なので、そこまで問題ではないのかもしれません。普段は、ミットもブレませんし、ワンバウンドするような球には、素早く下からグラブを出して反応できる。そういったフットワークの良さは光ります。 スローイングは、1.8秒台中盤~1.9秒台前半ぐらいで、地肩・送球という意味ではドラフト候補としては平均的なレベルか。それでも、捕ってからが素早く、以前よりも安定して走者の滑り込んでくるあたりに、集められるようになった印象です。リードに関しては、かなり内角を使う、強気の配球が持ち味です。根拠があってやっているのであれば、それはそれで良いとは思います。ただし、普段から内角が多い配球だとしたら、プロとしては長くは活躍できないかもしれません。 ディフェンスに関しては、A級の素材ではありません。ただし、プロに入る許容範囲のレベルにはあり、「打てる捕手」ということがプロで可能であれば、アリなのかなとは思います。近藤健介同様に、非凡な打力を活かし、数年後にはコンバートされてしまうかもしれませんが。 (打撃内容) 六大学通算打率は .337 で、広角に打ち返す中距離ヒッターといったイメージです。膝を柔らかく使い、低めの球にも上手く対応できます。国際試合でも高打率を残し、ハーレム大会ではMVPに選出されました。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 左打席から、前の足を引いてグリップを高めに添えて構えます。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもまずまずです。特に凄みや嫌らしさは感じませんが、無駄のない形が作れています。高校時代は、もう少し後ろ足に体重を預けた構えだったとメモしてあります。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミング。まさに、彼の打撃スタイルとも合致しています。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を大きく引き上げて、ベースから離れ方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でも、スピードの変化にはそれなりに対応できます。アウトステップを採用するように、意識は内角寄りにあるのかもしれません。 踏み込んだ足元は、インパクトの際にもブレずに止まっています。そのため、アウトステップでも甘めの外角球や低めの球には充分に対応できると考えられます。高校時代から、タイミングが狂って早めに地面を捉えてしまっても、つま先を最後まで閉じてギリギリまで壁を崩さないで対応できる粘りがありました。この壁を崩さない我慢強さは、非凡だと評価していました。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めるところは良いところ。あとは、バットを引くのが遅れないように注意したい。高校時代は、あらかじめ「トップ」に近い位置に添えていたので、リストワークの遊びを損ないやすい打ち方でした。それを、柔軟にリストが使える形に変えています。 バットの振り出しも、インサイドアウトで内からしっかりバットが出てくるタイプ。そのため、インパクトまでロスが少ないのが素晴らしいです。以前は、インサイドアウトよりも、少しロスがあってもバットのしなりを活かしたスイングでした。そういった意味では、以前よりもロスの少ないスイングに変わっています。 ヘッドも下がらないので、低めの球も上手く残して流したり、センター前に打ち返せます。それでいて、スイングも最後までしっかり振り抜けています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが大きいので、そこまで目線が動かないわけではありません。身体の開きはギリギリまで我慢でき、軸足にも粘りが感じられ、内モモの筋肉も適度に発達しているように見えました。それだけ、強烈な打球を生み出せる原動力になっています。 (打撃のまとめ) 物凄くタイミングの取り方が上手いとは思わないのですが、膝を柔軟に使え、それでいて開きをギリギリまで我慢し、スイング軌道も理想的という、彼ならではの非凡な部分が幾つか存在します。そういった意味では、プロでも打撃で存在感を示せる才能の選手だと思います。 (最後に) 気になる点を挙げれば、あまり足が速くはないこと。そう考えた時に、コンバートは少々ネックになるポイントです。むしろ、元々内野手だった選手なので、外野よりも三塁や二塁を考えた方がいいタイプかもしれません。それでも、これだけ「打てる捕手」は貴重な上に、捕手としての能力も低くはないので、できる限り捕手で勝負して行って欲しいと思います。そのため、今年のアマチュアの中でも、屈指の捕手といった位置づけではないでしょうか。 (2024年 秋季リーグ戦) |
小島 大河(東海大相模3年)捕手 178/75 右/左 | |
選抜を制した東海大相模打線の中でも、打撃センスではNO.1ではないかと思われる 小島 大河 。左打ちの巧打の捕手ということで、横浜高校時代の 近藤 健介(日ハム)を彷彿とさせる選手だった。 (ディフェンス面) 選抜では背番号4を付けて捕手を守っていたが、春季神奈川大会では2を付けてマスクを被っていた。元々ニ遊間を守る内野手だけに、フットワークなど動きは軽い。普段は座ったまま返球し、投手のリズムを重視したスタイル。それでも走者がいる時は、しっかり立って投手に返す。ボールを捕球するときも、ミットがブレないのは好感。ただし、低めの球に対し、上からかぶせにゆくことも多く、その点はまだまだ経験不足を感じさせる部分はある。それでも、ワンバウンドする球には下からミットが出ていたし、無難にいろいろなことをこなし、チームを選抜優勝に導いた。 スローイングもまだバラツキはあるものの、1.85~1.9秒台前半で、送球も合格レベル。捕ってからも素早く、二塁ベース前でもボールが垂れることはない。元々相模には正捕手がいるものの、怪我で代わりを担っている形。それでも、持ち前の野球センスで見事代役を務めているといった選手なのだろう。勉強しないと行けないことは多いと思うが、捕手として基本的なものは持ち合わせている。ディエンスだけでドラフト候補として見るのは厳しいのだが、「打てる捕手」という打撃も絡めてみると、ありなのではないかと思わせてくれるものがある。 (打撃内容) 選抜大会では、19打数4安打と打撃でのアピールは弱かった。しかし、普段は相模の中心選手として4割以上の打率をマークして、打撃センスの高さを見せつけている。また一塁までの駆け抜けは、4.2秒前後ということで、左打者としてはさほど速くはない。非凡な打撃センスはあるが、スカウトにアピールするとすれば捕手としてだろう。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左打席で前の足を引いて、グリップの高さは平均的で捕手側に引いて構えられている。腰の据わりは浅く、後ろ足に重心を預けた形。全体のバランスとしては並ぐらいだが、両眼で前を見据える姿勢はまずまずといった感じだろうか。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者などに多く観られる始動となっている。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。打球も、右に左にセンターへと幅広く打ち返してくる。 踏み込んだ前の足は、しっかり止まって動かない。特にタイミングが狂って早めに地面を捉えてしまっても、つま先を最後まで閉じてギリギリまで壁を崩さないで対応できる粘りがある。この壁を崩さない我慢強さは、非凡だといえよう。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 あらかじめ捕手方向にグリップを添えており、「トップ」の位置からバットを振り出して来る。通常こういった形だと、速い球に立ち遅れない反面、リストワークに遊びがなく柔軟性に欠けるバッティングになる。しかし彼の場合、リストワークには柔軟性がなくても、膝の使い方に柔らかさがあり、低めの球には非凡な才能を見せる。 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトで最短距離で振り抜くといったタイプではない。外の球にも力負けしないように、バットのしなりを生かして遠心力を使ったスイングになっており、これは木製バット向きではないのだろうか。それでも軌道に大きなロスはなく、インパクトの際にもヘッドが下がっていないので広い面でボールを捉えることができている。それだけ打球が、フェアゾーンに飛びやすい。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げはあり、多少自分からボールを追って目線が動いてしまうところはある。ただし彼の場合は、動きの中でボールを捉えるタイプなので、あまりその辺は無くさない方がタイミングが計れるのかもしれない。 また身体の開きはギリギリまで我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて突っ込むことはない。ボールを追っかけてしまう打者にありがちな、身体がツッコミやすいという欠点は、彼の場合にはないのかもしれない。 (打撃のまとめ) ギリギリまで壁をキープできる非凡さがあり、膝の柔らかさを生かした低めへの対応は素晴らしい。技術的にも大きな欠点はなく、上のレベルでも違和感なく通用するタイプではないのだろうか。 (最後に) 近藤健介の場合も、U-18 の日本代表で正捕手を務めたのが指名の大きな原動力になったと考えられる。この小島も、ディフェンス的には微妙。打撃センスはあっても、俊足であるとか長打があるタイプではないので、高校からプロというインパクトには欠ける印象はある。それでも彼が指名されるとすれば、やはり「打てる捕手」としてのアピールだろう。この打撃センスを評価しつつ、捕手として許容範囲にあると評価する球団があれば、高校からの指名があっても不思議ではない。ただし、本人が高校からプロという強い意志を持っているかは不明なのだが・・・。個人的には、彼の打撃の可能性が何処にあるのか? 捕手として上のレベルでもやって行けるのか? そのへんを夏まで追いかけて見極めて行きたい。 蔵の評価:追跡級! (2021年 春季神奈川大会) |