21ky-18
西原 太一(上武大3年)中堅 182/78 右/右 (宮崎商出身) | |
選抜で結果を残せず春季九州大会に戻ってきた西原太一は、1試合で3本塁打という離れ業を成し遂げた。3年夏の大会では宮崎大会を制したものの、部員が大量にコロナに感染し、出場を辞退するという苦い経験をした。卒業後は上武大に進学し、3年秋のシーズンにホームランを連発。再び注目を集める存在となった。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、右打席から4.2秒前後(左打者換算で3.95秒前後に相当)で到達。このタイムは、ドラフト指名される右打者でも俊足の部類といえる。リーグ戦では、3年春に5盗塁を記録。圧倒的な脚力ではないにしろ、適度に走れる能力があるのは間違いないだろう。 高校時代は、打球への反応に怪しいところもあった。しかし、大学に入ってそういった部分はかなり改善されてきている。大学入学後の公式戦21試合では、失策は記録されていない。特に返球に関しては、低くて強い送球ができる選手。高校時代は、投手としても140キロ台のボールを投げ込んでいた。そういった意味では、守備に関しては平均前後だと思うが、肩に関してはプロに混ざっても強い部類に入るのではないだろうか。6月の大学選手権の時はセンターを守っていたが、怪我などもあったのか? 秋はレフトなどを守っていた。もう少し最終学年では、守備のレベルや肩の強さをじっくり見直したい。 (打撃内容) 3年春のリーグ戦では、9試合で打率.533を記録。秋は打率.379ながら3本塁打を放って魅せた。高校時代は、引っ張り中心のプルヒッターのイメージが強かったが、秋はライトスタンドにもホームランを放っていた。神宮大会を懸けた横浜市長杯でも一発を放っており、秋の公式戦で4本の本塁打を固め打ちしている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的に保持されている。腰の据わり、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスは平均的と言えるだろう。高校時代は、もう少し腰が据わっていて、打席でも強打の雰囲気がプンプンしていたのだが・・・。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下りきったあたりで、足をベース側につま先立ちする。本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。この始動のタイミングでは、プロレベルの投手のスピードに木製バットで対応するのは厳しくなる。打席のスタイルとしては、最初に動き出すタイミングで決まるので、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプなのだろう。高校時代は「早めの仕掛け」を採用していて、追い込まれるとノーステップと言った感じだった。しかし今は、このノーステップ打法を、追い込まれる前から行っている。 <足の運び> ☆☆ 2.0 足をほとんど引き上げずに、真っ直ぐから少しインステップで踏み出してくる。始動から着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められる。真っ直ぐから少しインステップに踏み出して来るので、意識は真ん中近辺~少し外角寄りにありそうだ。 踏み込んだ足元は、早く地面から離れてしまう。すなわち、引っ張り重視のスイングをしている。右方向へのホームランも、どこまで狙って打ったのかは疑問が残る。そのため、逃げてゆく球や低めへの対応を、最終学年では気にしたい。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 打撃の準備である「トップ」の形は、早めに作れている。したがって、速い球には立ち遅れにくい。しかし、バットの振り出しは、決して内からバットが出てくる感じではない。したがって内角のさばきにはバットが出難く、足元も動くので外角の厳しい球も難しい。上手く巻き込めるゾーンは、かなり限られているのではないかと心配になる。スイングの前を大きく取り、思い切り引っ張るスタイルは、高校時代から変わらず良い感じ。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きを十分に我慢できているとは言えないが、軸足を起点にきれいに回転できている。特に、軸足の内ももの筋肉は発達していて、強い打球を生み出す原動力になっている。高校時代から、自分からボールを捕まえにゆく傾向が観られ、身体が突っ込まないように注意したい。 (打撃のまとめ) 打てるタイミング、さばけるゾーンは決まっていて、打率が残りにくいスイングではないだろう。「点」の打撃ではあるが、まともに巻き込めた時には長打に繋がりやすいのだろう。天性の長距離砲ではないが、スイングの前を大きく取れるスイング軌道と、軸足の内ももの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。あとは、対応力をいかに引き上げていけるかが鍵を握っていそうだ。 (最後に) 足・肩などの身体能力が高いのは間違いなさそうだが、対応力を含めた確実性に課題を残している。さばけるコースやタイミングが限られているところを、どこまで広げていけるのか? 25年度に不足している強打の右打ち打者だけに、さらなる上積みがあれば、面白い存在になりうるのではないのだろうか。 (2024年 秋季リーグ戦) |
西原 太一(宮崎商3年)右翼 181/78 右/右 | |
選抜の舞台では、ドラフト上位候補と目される 逹 孝太 の前に抑え込まれた 西原 太一 。しかし、春季九州大会では、その鬱憤を晴らすが如く、左中間スタンドに3本のホームランを叩き込み存在感を示した。一体西原とは、どのような選手なのか? (守備・走塁面) 一塁までの駆け抜けタイムは、右打者ながら 4.15秒前後。これを左打者に換算すると、3.9秒前後に相当しプロでも上位クラスの脚力となる。しかし、新チーム結成後の秋の成績では、49試合で3盗塁。確かに走力は高いが、盗塁をバシバシ仕掛けて来るプレースタイルではないようだ。 右翼手としても、打球への勘が素晴らしいとかキャッチングに優れているかは正直よくわからなかった。しかし、ライトからの返球は低くて強い。訊くところjによると、投手としても140キロ台を記録するという。それだけに地肩が強いのは、ほぼ間違いないだろう。しかし秋の成績をみてみると、49試合で8失策は外野手としては多すぎるのは気になるところではある。 肩・走力と、身体能力の高さは間違いない。しかし、盗塁技術や守備力といった意味では、まだまだ課題の多い素材型なのかもしれない。 (打撃内容) 選抜の舞台でも、逹 孝太(天理)から、レフトに大きなファールを放つなど強打者の片鱗は魅せていた。とにかく、思いっきり引っ張るプルヒッターの傾向が強い。チームでは5番を担い、秋の時点では高校通算14本塁打。打率は.311厘ということで、対応力には粗さを残していることが伺われる。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 ほぼスクエアスタンスで構えているのだが、若干クロス気味に立っている。グリップの高さは平均的で、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらい。腰の据わり具合はどっしりしており、全体のバランスとしては悪くない。打席でも、いかにも強打者という匂いと目を惹く体格の持ち主だ。 <仕掛け> 早め 普段は、投手の重心が下る時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視したスタイルをとっているが、追い込まれるとノーステップに切り替えてくる。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を軽く上げて、ベース側に踏み込むインステップ。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも対応しやすい。ベース側に踏み出すように、外角への意識は強いようだ。 踏み込んだ前の足は、しっかり止まっているという感じではない。「開き」がけして早いわけではないが、引っ張りへの意識が強いので、踏み込んだ足が地面から離れるのは早い。そのため現時点では、逃げてゆく球や低めの球は苦手にしているのではないのだろうか。特に幾分身体は、一二塁間側に向いて構えているのに引っ張りにかかるので、ボールを引っ掛けやすい。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」のところにグリップを持ってきているので、速い球に立ち遅れる心配は薄い。しかしその分、リストワークには力みが生じやすく、柔軟な打撃はし難い。 バットの振り出しは、可もなく不可もなし。インパクトの際にもヘッドは下がっておらず、広い面でボールを捉えられている。やや甘めの外角球を、思いっきり引っ叩きかっ飛ばす。そういったインパクトの強さに、積極性が感じられる。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げ自体は小さいが、少し自分からボールに近づいてしまい前に出されることが多い。身体の「開き」は極端ではないが、足元が我慢はできていないので、やはり外角へ逃げてゆく球や低めの球は引っ掛けやすい。軸足の形も大きくは崩れてはいないが、引っ張り重視の打者としては軸回転でキレイにまわっているというほどではないように見える。 (打撃のまとめ) 特にスイング軌道などに癖はなく、思いっきりの良さと飛距離には目を瞠るものがある。技術的にはまだまだ粗さを感じさせるが、今はそういったスイングができるところを評価したい。 (最後に) ドラフト候補としては、対応力という意味ではやや弱い印象はある。それでもわかりやすいフルスイングと飛距離誇り、高い身体能力も兼ね備えている。これから夏に向け、何処まで確実性を示せて行けるかが課題だが、夏まで追いかけてみたいと思わせてくれるロマン溢れる素材だった。 蔵の評価:追跡級! (2021年 春季九州大会) |