21ky-10





大塚 瑠晏(東海大3年)遊撃 169/71 右/左 (東海大相模出身)





 「相変わらず動きは抜群に良い」




(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から3.9~4.1秒前後で駆け抜け、これはプロの基準でも
俊足の部類に入る。ただし、大学に入ってからは、47試合で2盗塁ほどと、高校時代ほど走力でアピールする機会は減っている。

 
打球への一歩目の反応、捕球までのスピード感、捕ってから投げるまでの素早さは高校時代から定評があり、今もその動き良さは健在である。しかし、抜群の動きを見せる一方で、スローイングは時々浮いたりして不安定なところも垣間見せる。3年時も公式戦24試合で3失策しており、守備範囲は広くてもミスをしない正確無比なタイプとは、少し違うように思える。





(打撃内容)

 2年春からリーグ戦に出場し、通算打率は.293 。これまでに、目立った打撃成績は残せていない。高校時代は、少し無駄な動きが多かったが、
ボールを捉えるミートポイントには確かなものがあった。また、秋の城西大戦の模様を確認したが、1試合で右中間への2本塁打を放つように、身体の割にパンチ力のあるところを見せていた。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えバットを寝かせて構えている。腰を深く沈めすぎているので、全体のバランスとしては並だが、両眼で前を見据える姿勢はできている。そのため、錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができる。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈み込んだ底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングだ。

 高校時代は「早めの仕掛け」だったのだが、幾分始動のタイミングを遅らせているのかもしれない。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げて回し込み、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が高そうだ。

 左打者がインステップすると、どうしても最初の一歩目が遅れるので率が残りにくい。強打が売りの選手でないのであれば、最低でも真っ直ぐ踏み出すぐらいの方が、率は残りやすいように思える。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にブレない。そのため、逃げる球や低めの球にも食らいつくことができる。高校時代は、真っ直ぐ踏み出していたものの、今はインステップする傾向が強いようだ。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力まずボールを呼び込めている。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトに出てくるタイプではないものの、外の球に対してはロスなくインパクトできている。インパクトの際にもヘッドが下がっていないので、広い面でボールが捉えられる。それだけ、フェアゾーンにボールが飛びやすい。
高校時代は、ややヘッドが下り気味なスイングだったが、その点は改善されていた

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げの割に、目線の上下動は少ない。身体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられる。ただし、軸足の形は崩れがちなので、調子の波は激しいタイプなのかもしれない。身体が突っ込まないように、注意したいところだ。

(打撃のまとめ)

 高校時代は、大きな動作をするために始動が早かった印象だが、今は動作の大きさは変わらないのに始動自体は若干遅くなっている。それだけに、ちょっと忙しく見える感じもして、その辺りは確実性という意味ではどうだろうか? いずれにしても、
うまくタイミングを合わせるというよりも、強く叩くことに主眼を置いたスイングだと言えそうだ。


(最後に)

 インステップしたり、始動が若干遅くなったことで、確実性という意味ではどうなのだろうか?という思いはある。また、走力の割に盗塁を試みなくなっていたり、守備でも動きは健在の割に送球に不安を感じる部分もある。高校時代の圧倒的な動きの良さに、少し粗が目立つようになってきた。この辺りを、最終学年に改善して行けるのか注目したい。しかし、それでも守備型のショートとしては、今年の候補の中でも屈指の存在ではないだろうか。


(2024年 秋季リーグ戦)


 








大塚 瑠晏(東海大相模3年)遊撃 168/66 右/左 





 「身体能力が高い」





 168/66 と身体こそ小さいが、強肩・俊足の身体能力はまさにプロ級の 大塚 瑠晏 。選抜では、急性胃腸炎 で僅か2試合の出場に留まったものの、それでも余りあるほどの存在感をスカウトに見せつけたのではないのだろうか。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの駆け抜けは、左打席から3.9秒台とプロでも俊足レベル。チームでは1,2番を任されることが多く、新チーム以後の41試合で盗塁は22個。積極的な姿勢を見せるが、技術的には粗く走塁技術はこれからといった感じがする。

守備面:☆☆☆☆★ 4.5

 一歩目の反応、捕球までのスピード、捕ってから投げるまでの素早さと揃っており、昨年あたりは多少スローイングがという部分もあったが、送球の乱れも減ってきた気がする。地肩自体も基準以上のものがあり、プロでもショートして勝負して行ける素材ではないのだろうか。今年は、あまり守備で唸らせてくれる選手が少ないだけに、将来に向けて上手いショートが欲しい球団には、喉から手が出るほどの素材ではないのだろうか。


(打撃内容)

 身体の割に大きなアクションをする選手との印象を持っており、まだまだ無駄な動きも多いような気がする。それでも、選抜の打席内容を観ている限り、高い確率でミートポイントではボールを捉えることができていた。けして突出した打力の持ち主ではないが、高校からプロを意識できる素材ではあるだろう。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰は深く据わり、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらいだろうか。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。そのため、対応力を重視したアベレージヒッターの傾向が強い。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げてから、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れていますが、タイミングを上手く合わすというよりも、大きく足を引き上げて踏み込むために早めに動き出している気がします。すなわち、タイミングよりも強く振るためかと。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ前の足もしっかり止まっており、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、力みがないところは良いところ。ただし、バットを引くのが遅れないようには注意したい。バットの振り出しにも問題はないと思うので、外角の球を叩くにもインパクトまでロスはないように感じる。

 少し気になるのは、若干バットの先端であるヘッドが下り気味で、打ち損じはまだ多いのかなということ。インパクト後も、スイングの弧は大きめで、強い打球を飛ばす原動力になっている。秋よりは、ボール呼び込むまで腕の動きが少なくなり、余計なアクションは減ってきた気がする。あとは、気持ちヘッドを立てる意識が持てると、拾えるボールも増えてくる気はする(ただし、バットがしっかり振り抜けることを重視すること)。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは大きい割には、目線の上下動は激しくはない。身体の開きも我慢できており、軸足にも強さと粘りが感じられる。

(打撃のまとめ)

 タイミングのとり方が平凡なのと、足の上げが大きい過ぎたりして無駄な動きは見られる。打撃に関してはまだA級の素材だとは言えないが、昨年の 土田 龍空(近江)遊撃と比べると、打撃に弱さというほどのものは感じられず、将来的にはある程度は打てるようになるのではないのだろうか。


(最後に)

 小柄な選手らしく、小回りも効いて、それでいてひ弱さもそれほど感じません。ただし気になったのは、急性胃腸炎を起こしたように、意外に気持ちが繊細・あるいは高いパフォーマンスに対し身体がついて行けない体質かもしれないという不安は正直受けました。小柄な選手で多くの運動量を求められる役割だと、自分の気持ちに身体が悲鳴をあげてしまう選手が時々いますので。そういった部分で、小柄でも心身の強さはどうなのか? その辺は外から見ているだけでは伺いしれないのですが、獲得を視野に入れるならば見極めて行きたいポイントではないのでしょうか。

 走力・打力という観点では、昨年の 土田 龍空 よりも上を行ける素材であり、その点も加味すると、高校でプロ入りを表明すれば2,3位ぐらい消えても不思議ではないと考えます。森 敬斗(桐蔭学園-DeNA)ほどの圧倒的な肩の強さや爆発力・精神的に強さは感じられませんが、遊撃手としての適性・守備力は遥かに高い選手ではないかと評価します。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2021年 選抜大会)