瀧本将生（市立松戸３年）投手　１８０／７７　右／右

「よくなりそうな雰囲気はある」

　まだ球速こそ１３０キロ台の球が殆どだが、これから良くなりそうな雰囲気がする　瀧本将生　。それでも現時点でこれだけ投げられる高校生は他にいくらでもいるわけで、何がソフトバンクのスカウトのおメガネにかなったのだろうか？

（投球内容）

　均整の取れた体格から投げ込んでくる、右の本格派といった感じです。まだ身体がビシッとしていないので、身体ができた時に、どのぐらいのボールが投げられるかではないのでしょうか。

ストレート　１３０キロ～130キロ台後半ぐらい　☆☆　2.0

　普段は、130キロ～中盤ぐらいといった感じで、球威・球速という意味では物足りません。要所で力を入れて投げ込む時の球が、１３５キロを越えてきているようには見えます。それほどコントロールは荒れ荒れではなく、四死球で自滅するような粗っぽいタイプではありません。右打者外角のクロスの方向に、ボールを集めることはできています。

変化球　カット・スライダー・チェンジアップなど　☆☆☆　3.0

　カットボール気味の球で、カウントを整えることが多い感じ。縦に沈みながら曲がるスライダーを振らせるのが、この投手の武器持ち味。　その他にもチェンジアップ気味に沈む球があり、特に左打者を中心に使ってくる。この球は低めに集められるものの、現時点では空振りは奪えていなかった。

その他

　牽制は平均的で、クィックは、１．０５秒前後とまずまず。フィールディングの動きも、けして悪くはない。

（投球のまとめ）

　現時点での真っすぐは、プロとしてはかなり見劣ります。しかしこの投手は、身体ができた時に、どのぐらいのボールを投げられるかに懸かっているわけで、それほど気にしなくても良さそうです。土台となる投球も悪くないですし、変化球のレベルも低くない。荒れ荒れの素材ではなく、肉体がまだ成長途上なだけといった感じはします。

（投球フォーム）

　今度は、フォームの観点から可能性について考えてみましょう。足を勢いよく高い位置まで引き上げ、軸足一本で立った時のバランスは良いです。

＜広がる可能性＞　☆☆☆☆　4.0

　引き上げた足を、比較的高い位置でピンと伸ばせています。そのため、お尻は比較的一塁側に落とせており、身体を捻り出すスペースを確保。カーブやフォークといった球種を投げるのにも、無理は感じられません。現状そういった球は観られないのですが、投げられる下地は持っています。

　「着地」までの地面の捉えも適度に粘れており、身体を捻り出す時間を確保。将来的に、武器になるような大きな曲がりの変化球を習得できる可能性は感じます。

＜ボールの支配＞　☆☆☆　3.0

　グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。したがって軸はブレ難く、両サイドへの投げわけは安定しやすいのでは？

　足の甲の地面の捉えが浅いので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。また「球持ち」もまだ浅く、ボールを押し込めていないので、低めに集まり難いのがこれからの課題でしょうか。

＜故障のリスク＞　☆☆★　2.5

　お尻は落とせるフォームなので、カーブやフォークなどの捻り出して投げる球種でも肘への負担は少なそう。その一方で、ボールを持っている肩が上がり、グラブを抱えている方の肩は下がるので、かなり腕の送り出しには無理が感じられます。角度はつけられますが、肩への負担は大きいとみています。けして力投派というほどではないので、疲労を溜めやすくはないと思うのですが。

＜実戦的な術＞　☆☆☆★　3.5

　「着地」までの粘りも作れているし、ボールの出どころも隠せています。さらに球筋にも角度があるでしょうから、打者としては芯で捉え難いタイプなのかもしれません。

　腕も投げ終わったあと身体に絡んでくるなど、打者としては勢いで吊られやすさはありそう。あとはリリースがまだ早く、ボールにしっかりウエートを乗っけてから投げられていないので、この辺が変わって来ると球速のみならずボールの質も格段に変わってきそうです。

（フォームのまとめ）

　フォームの４大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」に課題を残します。ここが改善されると、グッと実戦的なフォームに変わってくると思われます。ボールが上吊りやすいところや、肩への負担が大きいそうなフォームは気になります。それでも、将来的に武器になるような変化球の習得が期待できるのは明るい材料かと。

（最後に）

　化けるかどうかはわかりませんが、面白い素材ではあるように感じました。このへんは一か八かといった気もしますが、身体ができてきた時に、どんなボールを魅せてくれるのか興味深く待ちたいと思わせてくれるものは持っています。☆　をつけるほどの確信は得られませんでしたが、ソフトバンクらしい指名ではなかったのでしょうか。

（２０２１年　千葉大会）