福島　蓮（八戸西３年）投手　１８９／７２　右／右

「アリかもしれない」

　選抜で見た時は、まだ線が細く大学や社会人を経由したら凄く良くなるかもねという見方をしていた　福島　蓮　。しかしこの夏改めて見てみると、ストレートの速さはそこまで変わっていなかったが、フォークやスライダーなど変化球のキレや落差が素晴らしい。高校生でこれだけ縦の変化をしっかり落とせる選手は珍しく、高校からのプロ入りもありかもしれないと思うようになってきた。

（投球内容）

　手足の長いスラッとした投手体型で、まだまだ身体の芯の力が足りないように感じます。

ストレート　☆☆★　2.5

　長身から投げ下ろす角度は感じさせる球ですが、球威・球速という意味では発展途上。選抜の時は１３５キロ前後といった感じでしたが、最後の夏は速い球ならば１４０キロ台前半は出る勢いも出てきました。まだ細かいコントロールもなく、高めに集まる傾向が強いのは気になります。ただし、縦の変化球を武器にしているので、高めはストレート、低めにフォークといった高低のコンビネーションはありだと言えるのではないのでしょうか。

変化球　フォーク・スライダー・カーブなど　☆☆☆★　3.5

　この投手が素晴らしいのは、変化球のレベルが高いこと。かなりの確率で落差のあるフォークが投げられるので、この球で空振りが奪えます。スライダーでもカウントをしっかり整えられますし、縦割れの緩いカーブも扱えています。高校生で、これだけ良い変化球を投げられる選手は貴重です。

（投球のまとめ）

　まだ身体もビシッとしていないので、ストレートには物足りなさが残ります。それでも春よりも勢いが出てきましたし、変化球がしっかり出来ているところは高く評価できます。コントロール・投球術・投球以外など鍛えないと行けない部分は多々あると思いますが、ただの大きなだけの選手とは違うと見ます。

（投球フォーム）

　今度は、フォームの観点から可能性を考えてみましょう。セットポジションから、足を勢い良く高い位置まで引き上げてきます。軸足一本で立った時に膝に余裕があり力みが感じられず、バランス良く立てています。

＜広がる可能性＞　☆☆☆★　3.5

　お尻は適度に一塁側に落とせており、身体を捻り出すスペースはある程度確保できています。そのためカーブで緩急を付けたり、フォークのような縦の変化を投げるのにも無理は感じられません。

　「着地」までの地面への捉えも、適度に前にステップさせ身体を捻り出す時間もそれなりに確保できています。多彩な球種を身に付けられるだけでなく、さらに股関節の柔軟性を養いつつ下半身を強化して粘りが作れれば、武器になるほどの変化球を修得できても不思議ではありません。

＜ボールの支配＞　☆☆☆　3.0

　グラブは内にしっかり抱えられているといったほどではないのですが、身体の近くには最後までとどまっています。これにより外に逃げようする遠心力を、ある程度内に留めることができていると考えます。そのため軸のブレはある程度抑えられ、両サイドへのコントロールは大まかついているのではないかと。

　足の甲の地面の捉えもできているはいるのですが、その時間が短すぎる。したがって充分に浮き上がろうとする力を、抑えこむことができていません。リリース時のボールの押し込みも相まって、力を入れたボールが全体的に高くなってしまっているのではないのでしょうか。

＜故障のリスク＞　☆☆☆★　3.5

　お尻は適度に落とせているので、カーブやフォークなどへの負担も少ないとは考えられます。それでもフォークなどを多く投げると、肘への負担はけして少なくはありません。そのへんは、日頃から配球や身体のケアなどに充分注意して欲しいところ。

　また腕の送り出しも、極端ではないのですがグラブを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が下がり気味になっており、腕の送り出しの際に肩への負担が少なからず感じられます。それほど気にするほどではないと思うのですが、肘同様に肩へのケアも気をつけて欲しいところです。現状まだ大きな身体を持て余し気味なところがあるので、そこまで力投派といった消耗の激しいフォームではないと考えられますが。

＜実戦的な術＞　☆☆☆　3.0

　「着地」までの粘りはそれなりで、ボールの出どころも並ぐらい。特に合わせ難いというほどではないと思いますが、長身からの角度もあり芯で捉えられ難く、打ち損じを誘うこともあろうかとは思います。ただしこのぐらいの真っ直ぐの威力だと、コントロールミスをすることでの痛打は避けられないというのも否定できないでしょう。

　腕も投げ終わったあと身体にはある程度絡んできますが、まだ腕の振りに強さ・鋭さはさほど感じられません。また体重を乗せてからのリリースできていないので、打者の手元までグッと来るほどの球威・勢いには物足りないものがあることも事実です。

（フォームのまとめ）

　フォームの４大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全てに関しては発展途上であり動作全体に粘りが欲しいといった感じがします。そこが伸び代と見ることはできるのですが、あとはそれを伸ばすだけの本人のセンス・努力できる才能があるのかといったところがポイントかと。肩・肘への負担はそこまで高くないのですが注意する必要があるのと、ボールが高めに集まりやすいのは改善が必要かと。それでも、これだけ大型でも良い変化球を投げられる技術・センスを持ち合わせいることが、この選手の最大の強味ではないのでしょうか。

（最後に）

　現状はまだまだ成長途上の投手であり、内容的には育成指名であるかないかぐらいだと観ています。しかし、良い変化球を身につけられる下地を持っており、これにボールの強さ・制球力などがついてきたら、大化けも期待できる素材ではないかとみます。けして「旬」ではまだないのですが、あえてこういう選手ならば高校からプロに混ぜても良いのではないかと判断し、☆　を付けることにしました。

蔵の評価：☆　（下位指名級）

（２０２１年夏　青森大会）