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中村 来生(富山・高岡第一3年)投手 190/76 右/左 | |
190/76 と細身の体格で、まだ投げ込まれるボールは頼りないところもある 中村 来生 。しかし、大型の割に器用さもあり、まだまだ伸びて行ける素材ではないかと考える。 (投球内容) 3年夏には、チームを富山大会の決勝まで導いた。4試合に登板し、 9回1/3 13安 7四 10三 5失 といった内容だった。 ストレート 135~MAX140キロ ☆☆★ 2.5 ドラフト指名される選手に比べると、まだまだ球威・球速の点では物足りません。それでも長身から投げ下ろされるボールには、適度な勢いがあります。むしろ問題は、全体に高め集まりやすい球筋など、細かい制球力の方ではないかと。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ? ☆☆★ 2.5 緩いカーブや、少しカットボールなのか、チェンジアップなのか小さく沈む系のボールもあるように思えます。更に、外に逃げるスライダーなどを振らせる投球が持ち味。打者から空振りを誘うというよりも、基本は打ち損じを誘うタイプの投球であると思われます。 その他 牽制は特に見られませんでしたが、クィックは1.1秒前後と大型でも基準レベル。細かい駆け引きや繊細なコントロールに間を使った投球など、そういった意識や余裕はまだ無いようです。 (投球のまとめ) 現時点では、まだ指名となると物足りません。しかし本当にまだ線も細いですし、発展途上の選手といった気がします。その割に投球に大きな欠点もありませんし、素直に肉付けして行ければ楽しみではと思える部分もあります。本会議では難しいと思いますが、育成ならば何処か興味を示す球団があっても不思議ではありません。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から、その将来性について考えてみます。セットポジションから、勢い良く高く足を引き上げてきます。軸足一本で立った時には、膝には余裕がありバランスはある程度取れています。反動を付けて足を引き上げたり、上下の動きが早いので疲労は溜まりやすいのかなといった印象は受けました。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばしているので、お尻の一塁側への落としは適度に落ちています。そのためカーブやフォークといった、捻り出して投げる球種も無理なく投げられるとは思います。 「着地」までの地面の捉えが並ぐらいで、身体を捻り出す時間が平凡。多彩な球種は投げられる下地はありますが、武器になるほどの曲がりの大きな変化球を修得できるのかは微妙です。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブはなんとか最後まで身体の近くにはあるので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができています。しかし、足の甲での地面の捉えが浮きがちで、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。「球持ち」自体は前で放せているので、リリースが安定して来ると、コントロールもある程度手元で制御できるようになりそうです。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻はある程度落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても無理はありません。カーブは結構使いますが、現時点ではフォークは見られず。窮屈になる機会も少なく、肘への負担は少ないのではないのでしょうか。 腕の送り出しを見ていても、けして無理はありません。そういった意味では、肩への負担は少なそう。ただし、上下動が激しかったり、結構反動を付けて投げたり、腕もやや外旋しながらブンと振ってくるので、その点では負担がないとは言い切れません。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りが平均的な上に、ボールの出どころがやや見やすい傾向にあります。そのため打者から合わされやすく、苦になく振り抜かれる危険性はあります。 腕は結構振れていて勢いがあるのですが、ボールが見やすいので打者は吊られ難いのかもしれません。ボールには適度にウエートを乗せてからリリースできているので、ウエートが増してくれば打者の手元まで勢いや球威が落ちないボールも期待できそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」や「開き」にもう少し我慢が欲しい気がします。足の甲の押し付けの浅さからボールが上吊りやすい課題はありますが、制球の面は改善できそう。将来的にも、多彩な球種でピッチングの幅を広げて、相手に的を絞らせないような投球はできるようになるのではないのでしょうか。 (最後に) 本当にまだまだ発展途上の段階の選手なので、通常のスカウティングであれば本会議で指名するのはどうかと思います。しかし、育成枠でじっくり育ててみたいと思う球団ならば、指名して来る球団があっても不思議ではありません。育成でもアリかナシかと言われたら、私ならアリと応えるでしょう。ただし、本会議で指名するほどの内容ではないと判断して、☆ は付けない評価に留めたいと思います。当然、大学や社会人という選択肢もありだと思います。あとは、本人がどのように進路や将来像を描いているかではないのでしょうか。 (2021年夏 富山大会) |