高須 大雅(明治大3年)投手 192/91 右/右 (静岡高出身) | |
150キロを超えるような速球派でありながら、制球力などに危うさのない 高須 大雅 。秋にリタイアするきっかけとなった肘痛の心配はあるが、その問題をクリアできるのであれば、上位指名は揺らがないだろう。 (投球内容) 春に最優秀防御率を獲得するも、3年秋は僅かに3試合の登板で、12回2/3 6安 1四死 11三 防 1.42 といった成績だった。 ストレート 145キロキロ~150キロ強 ☆☆☆★ 3.5 手首を返すような独特のテイクバックから、適度な勢いと角度を感じさせる真っ直ぐを投げ込んでくる。両サイドに適度に散らすことはできているが、球筋は真ん中~高めのゾーンに集まりやすい。ボールの走りが少しでも鈍ると、少し怖い部分ではある。 変化球 フォーク・スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 多くは、小さく沈むスプリット気味のフォークとのコンビネーション。たまに、緩いカーブやスライダーも使ってくる。チェンジアップとフォークとの見極めが、正直むずかしい。基本的にフォークとのコンビネーションなので、少し先発投手としては単調というか、引き出しは少ないように思える。高校時代よりも、フォーク投手との色彩が強くなりました。 その他 クィックは、1.15~1.20秒 ぐらいと若干遅め。大型でも牽制のターンは鋭く、フィールディングも落ち着いてボールは処理できていた。まだ、それほど細かく駆け引きや、微妙にコースを出し入れするような繊細な投球術は今のところ見られない。 (投球のまとめ) それほど細かいことはできないものの、適度な真っ直ぐの威力に加え、制球力や変化球も水準以上のものを持っている。まだまだ学ばないと行けないことも少なくないが、それはプロに入ってからでも遅くはないのではないのだろうか。とりあえず、安心して見ていられるというのが、この選手の一番の良さなのでは? (投球フォーム) セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。それだけに、先発で自分の「間」でというよりも、ボールの威力や縦の変化を活かした、リリーフ向きの素材なのかもしれません。また、軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸びきって力みが感じられ、少し前に倒れ気味でバランスとしてもイマイチな立ち方にはなってしまっています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足が地面に向けて伸びがちなので、お尻の一塁側への落としは甘くなっている。そのため、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を扱えないことはないものの、その変化は鈍くなってしまうのではないかと。 また「着地」までの地面の捉えも並ぐらいで、身体を捻り出す時間も平均的。したがって、曲がりの大きな変化球というよりも、球速があって小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力を内に留められている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつきやすい。しかし、足の甲での地面の捉えが浮きがちなので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。「球持ち」も並ぐらいで、現状そこまでボールを押し込めてはいない。指先の感覚は平均ぐらいで、大まかに投げ込んでくるといった感じで、繊細なコントロールで勝負する感じはしない。 <故障のリスク> ☆☆ 2.0 お尻の落としが甘い割に、フォークなど縦の変化を多めに使ってくる。そのため窮屈になりやすく、肘などへの負担は少なくないように感じられます。 また、ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がる送り出しなので、肩への負担も少なくは無さそう。特別力投派というほどではないのですが、肩・肘への負担は少なくないフォームだと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは並ぐらいで、ボールの出どころも平均的。そういった意味では、ある程度の角度で芯がズれる可能性はあっても、根本的にタイミングが図り難いフォームでは無さそう。 腕は強く振れているので、打者としては吊られやすい勢いがあります。ただし、ボールの出どころは並ぐらいなので、何処まで縦の変化などを振ってもらえるかは微妙かと。 まだボールに体重が乗ってからリリースを迎えているといったほどには見えないのですが、地面は最後に蹴り上げられています。そういった意味では、「体重移動」に課題があるとは言い切れないのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、極端に悪いところはないものの、好い部分もありません。そういった意味では、フォーム全般にもう少し粘りが欲しい感じはします。故障のリスクが高いのが心配であり、制球を司る動作は高低の制球に不安があります。将来的にも、武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙な感じがします。 (最後に) 実際見ていると、安心して見ていられる制球力と変化球に、水準以上の真っ直ぐを持っています。その一方で、プロを想定した実戦力や今後の伸び代といった意味では、伸ばされる余地は残っているものの、何処まで資質を伸ばして行けるのか? また、最終学年の肘の状態なども気になりますが、現状は上位指名候補の一人ながら、上位が確実かと言われると今後次第といった気がします。上手く最終学年でアピールできれば、1位の12名に入ってくるかもしれませんが。 (2024年 秋季リーグ戦) |
高須 大雅(静岡3年)投手 190/73 右/右 | |
190センチの大型右腕として注目されてきた 高須 大雅 。正直ひょろっとした長身投手で、もっとビシッとしていない頼りない投手だと思っていた。確かにまだ発展途上の選手との印象は受けるが、将来はかなり明るい好素材だと感じる。 (投球内容) 190センチの長身ながら、実にバランスの取れたフォームから投げ込んできます。もっと素材型なのかと思ったら、いろいろなところで、水準に達していると思わせてくれる選手だった。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX144キロ ☆☆☆ 3.0 球威・球速という意味では、確かにまだ物足りないところはあります。それでも両サイドにしっかり投げ分けられるコントロールもあれば、指にかかった時のボールはビシッとしていて見栄えはします。観戦した春季大会の掛川西戦では、5回2/3イニングで10奪三振と三振も多く奪えていました。 変化球 ☆☆★ 2.5 右打者に対しては、横滑りスライダー。左打者に対しては、チェンジアップだかフォークを使ってきます。これらの球に絶対的なキレはないのですが、その球をコースに投げるコントロールはある程度あるように感じました。またたまに、緩いカーブなども使ってきます。現状上のレベルで打者を仕留められるほどの変化球はないように思えますが、変化球でカウントを整えられる。その球が甘いゾーンにあまり来ないということに関しては、レベルに達しているのではないのでしょうか。 その他 牽制は大型でもターンが鋭く、クィックも1.1秒前後と基準レベル。フィールディングも落ち着いて処理できており、思いのほか動作が緩慢ではなかった。まだ打撃能力もそれなりにあり、かなり器用な選手なのだとわかった。 (投球のまとめ) 現状まだまだ発展途上であることは否めないが、土台である基礎がしっかりしている上に、運動神経や器用さもあり、素直に肉付けしたら化けするかもと思わせてくれる好素材だった。その一方で、成長痛の腰痛を抱えているようで、掛川西戦では突如中盤に失速。そう考えると、本当に身体がしっかりするまでは、プロ入りはしないかもしれないといった気もします。本人の希望が何処にあるかはわかりませんが、もしプロ志望であるならば指名リストに名前を連ねる球団は出てくると思いますし、私自身も面白い素材ではあると感じました。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、足を高い位置まで引き上げます。軸足一本で立った時に、膝がピンと伸びて切ってしま力みが生じているのは気になるところ。それでも、比較的バランスは取れて立ててはいます。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 軸足一本で立ったあとに、前に少し身体が倒れる感じで重心を沈むませてゆきます。そのため、お尻は完全にバッテリーライン上に残ってしまいます。すなわち身体を捻り出すスペースは確保できないので、カーブやフォークのような捻り出して投げる球種には適しません。 また「着地」までの地面の捉えも、アッサリしていて淡白です。どういうことかと言えば、身体を捻り出す時間が足りません。そのため曲がりの大きな変化球修得が厳しく、将来的に決め手に欠ける危険性が生じます。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 その一方で、最後までグラブは身体の近くに抱えられています。故に外に逃げようとする遠心力を、内に留めることができています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすい傾向にあります。 足の甲での地面の捉えもできているように見え、浮き上がろうとする力を抑え込めています。したがってボールが高めに集まりやすいのを防げますが、まだボールを押し込めるほどリリースはできていないので、低めに集まるとか抜け球がないとは言えません。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻が落とせていないだけに、カーブやフォークなどを投げると窮屈になってしまう。カーブは滅多に投げませんし、縦の変化がフォークでなくチェンジアップぐらいであれば、窮屈になる機会は少なそうです。そうであれば、肘への負担は大きくはないとみています。 腕の送り出しを見ても、スリークォーターぐらいなので肩への負担も少なそう。けして力投派でもないので、疲労も溜め難いのでは? ただし、成長痛の腰痛を抱えているようなので、腰への負担等心配です。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りがないので、「イチ・ニ・サン」でタイミングが合わされやすいです。ただし、人並み外れた長身のため角度があり、ボールの出どころも隠せています。しっかりコースに投げ分けられていれば、痛手は喰らい難いのではないのでしょうか。 長い腕は身体に絡んで来るので、あとは腕を振る強さを磨きたいところ。また「球持ち」がまだ我慢できていないので、ボールに体重を乗せきる前にリリースを迎えてしまっています。このへんの「体重移動」が良くなってくるようだと、ボールの質や勢いも変わってきそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、「開き」以外の部分にはまだ改善の余地が大きいということ。良く言えば、伸び代が多く残されているということになります。制球を司る動作は安定しており、故障のリスクもそこまで高くない。あとは、いかにしてピッチングの幅を広げたり、武器になる変化球を修得できるのか?といった部分が、最大のテーマになるのではないのでしょうか。 (最後に) 大型でも不器用でもなければ、土台となるフォームも悪くありません。そういった部分では、今後の取り組み次第ではまだまだ伸びて行けるだろうというイメージは湧いてきます。ただし、プロに入るタイミングとしては、けして「旬」ではないようにも思えます。その能力を伸ばすのが、アマの環境なのか? プロの環境なのか? どちらが本人にとって良いのかは、本人が決めれば良いことではないのでしょうか。個人的には、高校からプロ入りしても良いし、それだけの能力も備わりつつあるということで、☆ をあえて付けてみたいと評価してみました。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2021年 春季静岡大会) |