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毛利 海大(明治大3年)投手 177/77 左/左 (福岡大大濠出身) | |
入団以来、将来を嘱望されてきた左腕、毛利 海大 。3年秋になって安定感が増し、一躍明治の主戦投手へと成長してきた。最終学年の内容次第では、ドラフトでも高い評価を受けるかもしれない実戦派だ。
(投球内容)
この秋は、6試合で3勝1敗、29回1/3を投げ、17安打、9四死球、26三振、防御率1.53(2位)というキャリアハイのシーズンとなった。
ストレート 常時140キロ台前半~中盤 ☆☆☆ 3.0
ドラフト候補としては、驚くような球威や球速ではない。しかし、要所ではコースいっぱいにズバッと決めることができ、打者は手も足も出ずに見送るケースが多い。そういった安定した制球力があるだけに、ストレートの威力がさらにワンランク増してくるようだと、いよいよ上位指名も現実味を帯びてくるのではないだろうか。
変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5
左腕らしい大きなカーブ、小さく横滑りするスライダー、低めで沈むチェンジアップなどを持っている。まだ速球とのコンビネーションといった感じで、絶対的な変化球はないものの、各球種の曲がり自体は悪くない。
その他
クイックは、1.15~1.25秒ぐらいで、それほど速くはありません。牽制も、鋭いものは見られませんでした。マウンドさばきや精神面の不安定さは感じませんでしたが、「間」を意識したり細かい出し入れをするといった投球術はありません。あくまでも、低めやコースにズバッと決める感じの投球です。
(投球のまとめ)
高校時代に比べると、全体的に球速は5キロほど上がってきています。それほど投球に派手さがないのは高校時代と変わりませんが、安定感を身につけ、総合力の高い実戦的な左腕へと成長しました。
(投球フォーム)
セットポジションから、足をゆっくりと高く引き上げます。軸足一本で立ったときには、膝から上がピンと伸びがちで、全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。
<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0
引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側(左投手の場合)への落とし方に甘さが残ります。そういった意味では、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種の曲がりは鈍くなりやすい。
「着地」までの地面の捉え方はそこそこで、身体を捻り出す時間はそれなりです。したがって、武器になるほどの大きな曲がりの変化球を習得できるかは微妙で、決め手不足で伸び悩む危険性があります。
<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができています。したがって軸はブレにくく、両サイドのコントロールは安定しやすいです。また足の甲での地面の捉えが遅いようにも見え、充分に浮き上がろうとする力を抑えられているかは微妙です。「球持ち」自体もそれほど良いとは思わないものの、指先の感覚は比較的良いのではないでしょうか。
<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5
お尻の落としに甘さは残すものの、カーブやフォークを使う頻度は少なく、そこまで窮屈になる機会は少なそうです。腕の送り出しにも無理は感じられず、角度はあっても肩に負担がかかるほどには見えません。それほど力投派でもないので、疲労を溜めやすいということはなさそうです。
<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5
「着地」までの粘りはそこそこですが、ボールの出どころは隠せています。そのため、打者としては、見えないところから出る感じで、球速以上に感じられるのかもしれません。
腕はしっかり振れており、投げ終わったあとも身体に絡んでくる。したがって、フォームに勢いが感じられ、空振りは誘いやすいです。ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできているようで、球速よりも打者手元までボールが来ている感じには見えます。
(フォームのまとめ)
フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たりません。特に、「開き」は抑えられており、「体重移動」がしっかりできています。制球を司る動作は、足の甲の地面への押し付けが遅い分、ボールが上吊りやすいところはありますが、実際の投球を見る限り、そこまで気になるほどではありませんでした。故障のリスクもそこまで高そうではないので、あとは、いかにして武器となる球を見出して行けるかが鍵になりそうです。
(最後に)
高校時代から、凄みがある素材というよりも、総合力には優れているものの、ボールや投球の迫力みたいなものに物足りなさを残していました。それが、少しずつではあるが、球威や球速を増すことで、違和感が薄れつつあります。さらに最終学年で、真っ直ぐの勢いが増すようだと、実戦派のサウスポーとして高く評価されても不思議ではないでしょう。土台はできつつあるので、それをさらに伸ばせるか? あと一歩のところまで、来ているのではないでしょうか。
(2024年 秋季リーグ戦)
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毛利 海大(福岡大大濠3年)投手 178/75 左/左 | |
球速としては、130キロ台中盤程度で平凡なサウスポーに見える 毛利 海大 。しかし、球筋が低めに集まり、外角一杯への微妙な出し入れできる制球力は、今大会出場したサウスポーでも屈指のものがあったのではないのだろうか。 (投球内容) セットポジションから、非常にオーソドックスなフォームから投げ込んでくる好投手。 ストレート 常時130キロ~MAX140キロ ☆☆★ 2.5 常時135キロ前後の速球は、左腕でもドラフト候補としては平凡です。ボール自体も、物凄くキレがあるとかフォームが打ち難いとかそういった特徴はありません。あくまでも、ボールを低めや外角にしっかり集められるところに、この投手の良さがあります。 緒戦の大崎戦こそ9回を投げ4安打と打たれませんでしたが、具志川商戦や東海大相模戦では投球回数を上回るヒットを打たれていました。そのへんの球威・球速・キレという意味では、やや物足りなさが残ったのも確かです。 変化球 カーブ・スライダー・ツーシーム・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 左腕らしい、大きく緩いカーブを積極的に使ってきます。その他にもスライダーやツーシーム的に小さく逃げる球もあり、さらにチェンジアップのような沈む球も織り交ぜます。絶対的な球種はまだないのですが、変化球でカウントを整え的を絞らせないということはできているのではないのでしょうか。将来的には、チェンジアップの落差は良いので精度を高められれば面白いと思います。 その他 クィックは、1.15秒前後と平均的。牽制も、それほど鋭いものは観られませんでした。マウンドさばきや精神面の不安定さは感じませんでしたが、それほど間を意識したりとかそうった投球術はではないように見えました。あくまでも、低めやコースに淡々と投げ込むタイプかと。 (投球のまとめ) ボールが膝下に集められるという制球力が自慢で、私の格言でもある「コントロールの良い左腕は買い」というならば、充分に魅力的hな素材には見えます。ただしボール自体は平凡なので、高校からプロに入るためには、夏までにもうワンランク真っ直ぐを磨いてきて欲しい気はしました。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみましょう。セットポジションから高い位置まで足を引き上げ、軸足一本で立った時に膝に力みが感じられないのは良いところ。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を地面に伸ばしがちなので、お尻の三塁側(左投手の場合は)の落としに甘さが残ります。それでも、カーブやフォークといった球種が投げられないほどではないと考えます。 また「着地」までの地面の捉えもそれなりで、身体を捻り出す時間もそこそこ確保。武器にするほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、多彩な球種を操れる土台や器用さは併せ持っていそうでした。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込めている。そのため軸がブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。また足の甲での地面の捉えも深く、浮き上がろうとする力を抑え込めている。したがって、球筋が低めに集まりやすい。「球持ち」自体はまだ並ではあるものの、指先の感覚自体は悪く無さそうだった。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としに甘さは残すものの、極端ではないので悲観するほどではないだろう。ただし、カーブを結構使ってくるので、肘への負担が少ないとは言い切れない。しかし、腕の送り出しには無理は感じられず、結構上から投げている割に肩への負担は少なそう。けして力投派でもないので、疲労を溜めやすいということも無さそうだ。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りもそこそこで、ボールの出どころも隠せている。オーソドックスなフォームで怖さや嫌らしさは感じられないが、けして合わされやすいというほどでは無さそうだ。 腕はしっかり振れ、速球と変化球の見極めは難しそう。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできており、打者の手元までの勢いは落ちず、球速以上にはボールが来ている印象を残す。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全てに大きな欠点はないかわりに、特別優れているといったほどでもない。このへんは、身体の鍛錬と柔軟性を養うことで、まだまだ粘り強いフォームに変えてゆくことは期待できそう。 制球を司る動作に優れ、故障のリスクも低め。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙だが、多彩な球種を操れるだけの土台と器用さは持ち合わせていそうだ。 (最後に) いくらサウスポーとはいえ、まだボールやフォームに凄みや嫌らしさなど訴えかけてくるものが物足りないのは確か。そのへんが、夏に向けて出てくるようだと、高校からのプロ入りの話が出ても不思議ではない。ただし現状の投球を見る限りは、大学経由なのかな?といった印象は強い。それでもこれだけコントロールの良い左腕は稀なので、夏までその成長度合いを見定めてからでも、評価するのは遅くないのではないかと考えている。 蔵の評価:追跡級! (2021年 選抜大会) |