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達 孝太(日ハム)投手のルーキー回顧へ







 達 孝太(天理3年)投手 193/88 右/右
 




 「ピリッとしなかった」





 昨秋~選抜にかけて、見違えるほどに成長していた 達 孝太 。しかし、最後の夏の投球は、背番号11を付けていてピリッとしなかった。特に観戦した、大和広陵戦や破れた高田商業戦の内容はそうで、この夏一番の内容を示した 法隆国際戦の模様を確認できなかったのは残念だった。


(投球内容)

 この夏は、3試合に登板して 17回1/3 13安 7四死 24三 6失点 といった内容。法隆国際戦では、9回を3安打・1四死球・13奪三振で完封したように、この試合が夏のベストピッチングだったのは間違い無さそうだ。この試合をチェックできたかどうかで、かなり印象が違っていたのかもしれない。

ストレート 常時140~中盤 ☆☆☆★ 3.5

 長身から投げ下ろす球が、ビシッとミットに突き刺さる魅力は相変わらず。どことなく雰囲気は、藤浪晋太郎の大阪桐蔭時代を彷彿とさせる。球速は、140キロ~中盤ぐらいで、選抜の時に魅せたような140キロ台後半といったほどの勢いはなかった気はします。

 気になったのは、ボールの勢いだけでなくコントロールの部分。全体的にボールが高めに集まり、その球を打ち返されている場面が多かったです。また右打者には外角高めとコースは外角に集められていましたが、左打者に関してはかなりアバウトでストライクゾーンに集めているだけといった感じです。これは、選抜の時の寸評でも指摘した部分で、改善されていませんでした。

変化球 フォーク・スライダーなど ☆☆★ 2.5

 大和広陵戦では、ほとんどが真っ直ぐを投げての投球。時々、チェンジアップのような沈みの浅いフォークボールを交える程度。元来の曲がりながら沈むスライダーも少し見られたものの、うまく制御できていませんでした。選抜の時には、フォークをうまく制御できておらず、日によって変化球の精度にバラツキがあります。秋見た時は良かった記憶はあるものの、まだまだ精度には課題を残していることが伺えます。ただし、フォークがしっかり抜けた時は有効な武器になります。

その他

 選抜の時からの成長は、クィックが1.1秒前後と少し素早く投げ込めるようになっていたこと。適度に牽制を入れてくる選手で、けして大型でも下手ではありません。ランナーを背負っても意に介さないところがあり、冷静さを欠くということはないでしょう。

(投球のまとめ)

 この夏確認した2試合ともピリッとした内容ではなかったので、選抜より評価をあげたいと思わせてくれるものはありませんでした。そういった意味では、評価は据え置きといった感じにはなると思います。そのためフォームを分析して、選抜となにか変わった部分があるのか検証してみます。


(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、足を引ゆったりと高いところまで引き上げてくる。軸足一本で立った時に膝がピンと伸びがちではあるが、バランス良く立てているので、そこはあまり気にしなくても良いのかもと。基本的に、導入部は春と変わっていませんでした。

<広がる可能性> ☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちで、お尻の一塁側への落としには甘さが残る。カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げられないことはないが、身体を捻り出すスペースが充分確保できていないので、どうしても曲がりや落差が鈍くなってしまいがち。この辺は、選抜の時とあまり変わってはいません。

 「着地」までの粘りも平凡で、身体を捻り出す時間もイマイチ。こうなると、変化球の曲がりも中途半端になりやすいので、将来的に武器にできるほどの球を見出だせるのかは微妙なのではないのだろうか。もう少し股関節の柔軟性を養いつつ、下半身の筋力を強化して行ければ良くなるとは思うのですが・・・。まだ大きな身体を、充分には活かしきれてはいません。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは、比較的最後まで身体の近くには抱えられている。そのため外に逃げようとする遠心力はある程度抑え込めており、左右の軸のブレは少ないのではないのだろうか。しかし実際は、両サイドへの投げわけも、左打者に関してはかなりアバウト。

 また気になるのは、足の甲の地面への捉えが浅く、浮き上がろうとする力を充分には抑え込めていない。春よりも良くはなっていると思うが、ボールは高めに集まりやすい要因を作っている。またリリースは前で放せているように見えるものの、ボールを押し込む前に放しているので、この辺も低めに球が集まって来ない要因になっている。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さが残る割に、フォークを使う頻度が高いのは気になる部分ではある。そのため窮屈になる機会も多く、肘への負担はそれなりにあるものと考えられる。

 また腕の送り出しには無理は感じられず、角度良く投げている割には肩への負担は少ないのではないのだろうか。しかしながら、結構腕を強く振ったりして、1球1球は力を入れて投げる力投派。球数も多い選手だけに、疲労が溜め難いタイプとは言えないだろう。春よりも力を入れて投げている感じは受けなかったが、根本的な部分はあまり変わっていない。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは並で、けしてタイミングが合わせ難いようには見えない。それでも球筋に角度があるので、相手の打ち損じは誘いやすい。ボールの出どころやや見やすい感じで、コースを突いたはずの球が打ち返されたり、縦の変化を見極められてしまうことも少なくない。

 腕の振りが素晴らしいののだが、ボールの出どころが見やすいので充分にその効果が出難い。しかし、ボールにはしっかり体重を乗せてリリースできているので、打者の手元まで生きた球は投げられている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」が平凡で「開き」がやや早くなっているのが気になる。故障のリスクはさほど高いとは思わないものの、足の甲の地面の捉えやリリースの押し込みが甘くボールがまだ上吊りやすい。また、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかは、今後「着地」までの時間を稼げるようになるかに懸かっている。

 フォームとしては、基本的に選抜時からいじっている感じはしなかった。しかし、全体的に少し「開き」などが早くなっており、選抜よりもパフォーマンスが下がっていたことは、フォームを見ていても伺えるものがあった。


(最後に)

 スペックの高さは疑いようのない選手ではあるものの、まだまだ成長途上であり絶対的なものがあるわけではありません。そこをうまく、プロの指導・環境・本人の意欲で高めて行けるかではないのでしょうか。フォーム的には伸び悩む要素も多いのですが、それを乗り越えて行ける資質はあるようには感じられます。ただし、かなり育成力の高い球団や本人の創意工夫も求められるタイプなので、環境がフィットするかで将来像は大きく変わってきそうです。春よりパフォーマンスは低下していましたが、将来性を期待して評価は据え置きのままにしたいと考えます。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2021年夏 奈良大会)










達 孝太(天理3年)投手 193/85 右/右 
 




 「選抜で一番株をあげた男」





 21年度の選抜大会において、最もその評価を高めたのは、この 達 孝太 。これまでその才能は誰しもが認めるものはあったが、秋の時点ではビシッとしておらず、その才能が開花するのがいつなのか?誰にもわからなかった。しかし、一冬越えて明らかにボールの強さ・勢いが変わってきており、思いのほか早く理想の姿へと近づいてきている。


(投球内容)

 長身投手でありながら、ボールにしっかり力が伝えられるリリースになり、イメージがだいぶ変わってきた。特に、腕の振りにも力強さが出てきて、見違えるほど良くなってきていた

ストレート 常時140キロ台~MAX148キロ ☆☆☆★ 3.5

 右打者の外角にズバッと決まった時の真っすぐの球筋は見事で、思わず打者が手も足も出せなくなる球を投げ込んでくる。球速も力を入れれば、いつでも145キロ前後は投げられるまでにパワーアップ。その一方で、まだ結構甘い球が多かったり、左打者へは球筋が安定しない傾向が観られる。欲しい時にしっかり決まらずに、四球を出すケースも少なくなかった。

変化球 スライダー・フォークなど ☆☆☆★ 3.5

 緒戦の宮崎商業戦では、フォークが抜けず苦しむ場面も観られた。しかし普段は、曲がりながら沈むスライダーや、ストライクゾーンに沈むチェンジアップのようなフォークでカウントを整えることができる。また追い込んでからは、空振りを誘うボールゾーンに切れ込むフォークなども使い分ける器用さがある。変化球の精度・キレも発展途上ではあるが、もっともっと良くなってゆく可能性は秘めている。

その他

 クィックは、1.15~1.25秒ぐらいと平均的で、けしてクィックが上手い選手ではない。しかし走者を背負ってからも冷静で、鋭い牽制などを入れて刺すことができる。特にランナーを背負ってからの、粘り強い投球が今大会は光った。

(投球のまとめ)

 ボールが、一冬越えて明らかに強く・勢いのあるものに変わってきた。それだけでなく、ランナーを出しても冷静に対処でき、粘り強い投球も印象的だった。素材だけでなく、そういった精神面の強さも評価できるポイントではないのだろうか。


(投球フォーム)

 ノーワインドアップから足を引き上げる勢いや高さはそれなりで、軸足一本で立った時のバランスもYの字も悪くなかった。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちで、お尻の一塁側への落としには甘さが残る。カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げられないことはないが、身体を捻り出すスペースが充分確保できていないので、どうしても曲がりや落差が鈍くなってしまいがち。

 「着地」までの粘りも平凡で、身体を捻り出す時間も並ぐらい。こうなると、変化球の曲がりも中途半端になりやすいので、将来的に武器にできるほどの球を見出だせるのかは微妙なのではないのだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは、比較的最後まで身体の近くには抱えられている。そのため外に逃げようとする遠心力はある程度抑え込めており、左右の軸のブレは少ないのではないのだろうか。

 むしろ気になるのは、足の甲の地面への捉えが浮いてしまっていて、浮き上がろうとする力を抑え込めていない。そのためボールが、高めに抜けたり集まりがちなのだと考えられる。それでも「球持ち」が良いので、ある程度はボールを押し込むことはできているのだが。今後、もう少しリリースが安定してくると、球筋もある程度は定まって来るのではないかとは思うのだが・・・。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さが残る割に、フォークを使う頻度が高いのは気になる部分ではある。そのため、窮屈になる機会も多く、肘への負担はそれなりにあるものと考えている。

また腕の送り出しには無理は感じられず、角度良く投げている割には肩への負担は少ないのではないのだろうか。しかしながら、結構腕を強く振ったりして、1球1球は力を入れて投げる力投派。球数も多い選手だけに、疲労が溜め難いタイプとは言えないだろう。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは並で、けしてタイミングが合わせ難いようには見えない。しかし、上背と角度があるので、どうしても高校生ぐらいの経験値だと、この球筋に対し打ち損じが多くなってしまいがち。ボールの出どころも並ぐらいで、ボールが見やすいとも見難いとも言えない。ただし、フォークは見極められて、振ってもらえないことは多い。

 腕の振りが素晴らしいので、打者は勢いで思わず空振りをしてしまうことが多い。ただし、上記に記した通り、それはフォークではなくストレートであることが多いようだ。またボールにはしっかり体重が乗りきるまでリリースが我慢できており、打者の手元まで生きた球が投げられるようになってきた。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大要素である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」は良いものの、「着地」までの粘りとボールの出どころを司る「開き」は並ぐらいといった印象。このへんは、まだまだ下半身の強化と股関節の柔軟性を養ってゆけば良くなってゆくのではないのだろうか。

 制球を司る動作は、足の甲が浮いてしまうことでボールが上吊りやすいこと。故障のリスクは、お尻の落としが甘い割に縦の変化への依存が高い部分は気になるところではある。また将来的に、武器にできるほどの変化球を習得できるのかは微妙で、伸び悩む可能性も否定できない。良い部分と悪い部分が混在しており、どっちの面が前面に出てくるかで、将来像は大きく変わってきそうだ。


(最後に)

 見違えるほどボールの質が変わってきたことで、有力な上位指名を意識できる素材になってきた。しかし投手としては、まだまだ未熟な部分が残る発展途上の選手。あまり入れ込むと、逆に怖いなと思える部分も散見する。現時点では、ハズレ1位~2位ぐらいには消えてしまうのかなと思える部分もあり、さらに夏の大会で成長した姿を魅せられれば、文句なしの1位候補の評価になっても不思議ではない。今後の上積みも充分見込める素材だとは思うが、不安な部分も感じられるので、個人的な評価は春の時点では少し控え目に留めることにしたい。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2021年 選抜大会)