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竹山 日向(享栄3年)投手 182/85 右/右 | |
昨年から、東海地区の中でもその成長を最も楽しみにしてきた 竹山 日向 。しかし春季大会では、故障明けのため回復途上の印象だった。この夏は、短い球数ならばエネルギーを爆発できるまでに回復してきている。彼の今後に影響がないと判断されれば、一気に最上位まで昇りつめても不思議ではない存在なのだ。 (投球内容) この夏は、登板した試合では150キロ台を記録。4試合 14回2/3 19安 2四 20三振 4失点 といった内容でした。まだ投げ込み不足だったのか? 球数をある程度投げると、ボールが失速するイメージはありましたが。 ストレート 常時145キロ前後~150キロ ☆☆☆★ 3.5 球威と勢いを兼ね備えた真っすぐは、上位指名意識できるものがあります。細かいコントロールはありませんが、四死球で自滅するような危うさはありません。ただし元々手元でグ~ンと伸びるとかピュッと切れるような空振りを誘える球質ではない上に、ストライクゾーン内でのコントロールがさほどではないので、勢いが鈍り出すと高校生相手でも捉えられてしまう欠点があります。その辺の持続力や繊細さに欠けるところが、上位指名候補の真っ直ぐに比べると物足りないところでしょうか。 変化球 スライダー・カーブ・スプリットなど ☆☆☆ 3.0 昨年はスライダーとのコンビネーションといった感じでしたが、今年は緩いカーブやスプリット気味の沈む球もあるように見えました。しかし根本は変わらず、スライダーでカウントを整え、ボールゾーンに切れ込むスライダーを振らせるのが持ち味だと言えます。少々変化球のときに腕が緩むのが気になるのですが、この辺も故障などの影響があるのかもしれません。 その他 昨年計測した時には1.1秒前後のクィックが、今年は1.0秒を切るようなものに変わっていました。牽制は昨年は軽めのものを入れる程度で、あまり鋭いものは観られないような。それでもガンガン力だけで押すだけでなく、ランナーを背負うとボールを長く持って相手や走者を焦らすような、そういったピッチングもできる選手です。 (投球のまとめ) 現状まだ良い球が持続できない、スタミナの無さを感じます。これはやはり投げ込み不足であり、根本的な体力不足というのとは違うのかもしれません。また少しでもボールの勢いが鈍ると、球質やフォームにコントロールの関係から、ヒットを浴びやすい傾向にあります。これだけのボールがありながら、この夏イニング数を大きく上回る被安打を浴びているので。 現状の状態は良化途上でまだまだ良くなるとみるか、この故障が今後も尾を引くのかの判断で、大きくその評価は変わってくると考えられます。そのへんの事情が私には良くわからないので、可能性ばかりを追求し評価できない材料にはなってしまいます。 (投球フォーム) フォームを分析して、今後の可能性を模索してゆきたいと考えます。セットポジションからゆったりと、足を高い位置まで引き上げます。引き上げた足の軸足に余裕はないのですが、全体のバランスとしては悪く有りません。なんとなくその上げ方は、大魔神・佐々木 主浩(元ベイスターズ)的な余力を感じます。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 あまり引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせていないせいか、お尻の落としとしては甘さを残します。それでもカーブやフォークが投げられないというほどではないと思うので、そこまで悲観しなくても良いかと思います。 しかし「着地」までの地面の捉えは平凡で、身体を捻り出す時間は並ぐらい。こうなると、大きな変化で空振りを誘うというよりは、球速のある小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくことが求められるかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めています。したがって軸はブレ難く、両コーナーへの投げわけはつけやすいですし、実際そうなっています。 足の甲手の地面の捉えがまだ浅いので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。もう少し股関節の柔軟性を養いつつ下半身強化したり、リリースでもボールが押し込めるようになると、高めに集まりやすい球筋も改善できるようになるのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としには甘さはある割に、カーブやスプリットなども投げる機会が多いので、その点で窮屈になって負担になっているのだろうか? しかし極端に落とせていないわけでもないし、握りの浅いスプリットなので負担も少なく、この点はあまり気にしなくても良いようにも思える。 腕の送り出しを観ていても、肩への負担も少なそう。それほど力投派ということもないので、疲労も溜め難いのではないかとも思うのだが ・・・ 。故障の原因が何だったのかにも、よるのかもしれない。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りが平凡な上、ボールの出どころも見やすい傾向にある。そのためボールの威力の割に、打者としては合わせやすい投手なのだろう。 腕はしっかり投げ終わったあと身体に絡んでくるなど悪くないが、変化球を投げるときに緩みがちなのは気になるところ。打者からすれば、変化球が来るのが事前にわかってしまっているかもと。またボールへの体重の乗せもまだ発展途上であり、しっかりウエートを乗せてからリリースできていない。このへんが、球速の割に空振りを奪えない球質に影響しているのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全般に的に全ての動作に粘りが欲しい気がします。制球を司る動作や故障のリスクは悪くない感じですが、将来的に武器になるほどの変化球が修得できるのかが不安材料でしょうか。まだまだ、持っている能力を充分に出し切れていない感じであり、逆に言えば伸び代は大きく残されているとも評価できます。 (最後に) 素材としての余力があり、まだまだプロ入り後に球速・球質・投球内容を良化させてゆくことは充分期待できる素材だと言えます。その一方で、故障が慢性的なものになる危険性や武器になる変化球の修得が苦労することで、伸び悩む危険性も秘めています。そのへんは、普段からずっと観てきた担当スカウトが、どう評価するかで変わってくる選手ではないのでしょうか。そこの問題をクリアさえできれば、ハズレ1位~2位ぐらいで指名されても不思議はないとみています。しかし私には、そのリスクは問題がないと判断するだけの材料を持ち合わせていないので、評価としては少し控えめにさせて頂きたいと思います。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2021年夏 愛知大会) |
竹山 日向(享栄2年)投手 181/83 右/右 | |
今年の東海地区でも、個人的に期待しているのが、この 竹山 日向 。今年の享栄には140キロ台を連発できる投手が複数いるのだが、その中でも最もスケールを感じさせてくれるのがこの投手だ。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込みます。骨太な体格から、ゆったりとしたモーションから投げ込んでくる本格派。 ストレート 140~MAX147キロ ☆☆☆ 3.0 空振りを誘うようなグ~ンと手元まで伸びるとか、身体の近くでピュッと切れるような球ではありません。球威があって、相手のバットを押し戻すようにして詰まらせるのが特徴です。良く言えば力がある、悪く言えば球質がもう一つとも言えなくはありません。というのは、結構コントロールがアバウトで、高めに甘く浮いた球を打たれるケースが多いから。そういった部分が、素材は良いけれど圧倒的ではない要因ではないかと。 変化球 スライダーなど ☆☆★ 2.5 大きく横に曲がるスライダーを多く混ぜてきて、この球でカウントを整えられます。他にもフォークがあるようですが、投球を確認する限りよくわかりませんでした。恐らく現時点では、頼れる変化球はスライダーのみではないのでしょうか。 その他 クィックは1.1秒前後とまずまずで、牽制は軽めのものしか確認できませんでした。ランナーを出塁させると、じっくりボールを持って、打者や走者を焦らします。普段からゆったり「間」を意識して投げるなど、けして力だけでねじ伏せているわけでは無さそうです。 (投球のまとめ) ゆったりとした投球には、素材としての奥行きだけでなく投手としてのセンスも感じさせます。ただ現状は、コントロールがアバウトだったり、変化球がスライダー中心で、幅が狭い感じはします。そのへんが、一冬越えてどう改善されるかで、高校からのプロ入りの有無が変わってくるのではないのでしょうか。そういった今後の可能性について、フォームを分析して考えて行きます。 (投球フォーム) セットポジションから、静かに足を高い位置まで引き上げてきます。軸足一本で立った時には、膝に力みは感じられずバランス良く立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足をピンと伸ばし切らず重心を下げてくるので、お尻はバッテリーライン上に落ちてしまっています。そのため身体を捻り出すスペースは確保されず、カーブやフォークといった球種には適さないか、無理のある形になるのではないかと心配にはなります。 「着地」までの粘りはそれなりで、身体を捻り出す時間はそこそこ。スライダーやチェンジアップに、高速で小さな変化を中心に、ピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。しかしながら、空振りを誘うような決め手のある変化球を習得できるかは微妙ですが。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは内に最後まで抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。故に、両サイドへの投げ分けは安定しやすいのでは? また足の甲でも地面を捉えられているように見えるのですが、ボールは全体的に高めに浮きやすいのは気になります。それは、リリースのときにボールがまだまだ押し込めていないのかもしれません。一冬越えて、リリースも安定して来ると変わってくることが期待できます。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻が落とせないので、持ち球がフォークというのは気になります。捻り出すスペースが確保できずにフォークなどを投げてしまうと、窮屈になって肘などへの負担が大きいから。しかし投球を見る限りは、フォークの割合は少なそう。今後フォークボーラーなどになった時には、かなり身体のケアには注意したいところ。 腕の送り出しも、ボールを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が下がるような投げ方なので、肩への負担も感じます。けして力投派ではないので疲労は溜め難いとは思いますが、肩・肘へのケアには特に注意して欲しいフォームです。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りはそれなりで、けして合わされやすいフォームではありません。ましてボールの出どころも隠せているので、打者としては見えないところから、ドスーンと来る感じで振り遅れやすい。あとは、コントロールミスをしなければ痛手喰らい難いのではと。 腕は強く振れており勢いはあるので、良い変化球を習得できれば空振りも誘いやすいのでは? ボールにも適度に体重を乗せてからリリースできており、重い球は投げられている。しいて言えば、投げ終わったあとに一塁側に重心が流れる。これは、ステップが狭く強い上半身の振りに下半身が負けてしまい、エネルギーをダイレクトに伝えきれていないから。このへんが修正されると、もっと打者の手元まで来るような感じのボールが投げられるのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち「開き」「体重移動」では、「体重移動」に改善の余地が残され球質に影響している。制球を司る動作はリリースが安定してくれば改善されそうで、あとは球種を増やしピッチングの幅を広げたり、負担の大きなフォームといかに向き合って行けるかではないのだろうか。 (最後に) すでに最速で147キロを記録するまでになっており、一冬越えた成長次第では150キロ台の大台も最終学年では期待できるであろう。投手としてのセンスも悪くないし、肉体的な余力に馬力も感じさせる好素材。今後の成長次第では、いっきに上位候補に浮上してきてもおかしくはない。果たしてどのような形で、春季大会に登場して来るのか? その日は、もうすぐそこにきている。 (2020年 秋季愛知大会) |