21kp-1
森木 大智(高知1年)投手 184/86 右/右 | |
2021年世代を引っ張る存在である 森木 大智 は、確かにモノの違いを感じさせる大器。秋こそ背番号3を付けて登板は控えていたが、1年夏の高知大会では早くも背番号1を付けて片鱗を魅せていた。 (投球内容) 物凄い剛球を投げ込むという感じではないが、確かな球速と変化球を織り交ぜてくる本格派。 ストレート 常時145キロ前後 ☆☆☆★ 3.5 1年の夏の時点で、コンスタントに145キロ前後を連発できるスピード能力は高い。ボールの勢い・球威も悪くなくないものの、まだ球筋はバラついていて、けして完成されているといった感じではない。またこの時点では、全国レベルの強豪校に対し、力でねじ伏せられるといった絶対的な領域にまでは到達していない感じだった。 変化球 カーブ・スライダー・スプリットなど ☆☆☆ 3.0 110キロ台のカーブに、120キロ台のスライダー。それにスプリットのような、縦に沈む変化球も持っている。あまりスライダーは使って来ない感じで、110キロ台のカーブでカウントを整えて来る。縦の変化も落差はあったものの、使う頻度は現時点では少ない。そのため、この球を投げておけば大丈夫といった絶対的な変化球は見当たらない。 その他 クィックは1.05秒前後でまずまずで、牽制も鋭い。フィールディングの動きも良く、秋は背番号3で打者として活躍。野球センスやマウンドさばきの良さは感じられたが、それほど「間」を使っての投球や微妙な出し入れをするような巧みな投球術は観られなかった。 (投球のまとめ) 確かに1年生としては破格の内容だし、素材としても完成されているといった感じでもない。それだけ伸び代も残されていて、非常に大事に育てられている印象がある。しかし現時点の能力だと、全国の強豪校レベルを圧倒するほどの力はなく、それはすなわち、全国レベルの強豪校である明徳を圧倒して甲子園に出てこられるかと言われると、そこまでの力はないように思われる。恐らく起用が本格化するのは、2年秋の新チーム以降であり、彼の真価が問われるのはその後だとうことではないのだろうか。 (投球フォーム) セットポジションから、スッと足を勢いよく高く引き上げてきます。軸足一本で立った時にも膝に余計な力みが感じられず、バランス良く立てているのは投手としての筋の良さを感じさせます。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻は適度に一塁側に落とせてはいるものの、まだ甘さは残している感じがする。そのためカーブやフォークを投げるのに無理は感じられないが、キレや落差という意味では絶対的なものがないのも頷けてしまう。 また「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間も並。これも、今後武器になるほどの変化球を習得できるのかと言われると微妙といった感じがする。そのためにも、もう少し地面を捉えるまでの時間を稼ぎたい。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込むことができている。したがって軸はブレ難く、両サイドへの投げ分けもしやすいのではないのだろうか。足の甲でも地面を捉えており、浮き上がろうとする力を抑え込めている。「球持ち」も悪くなく、低めに集められる土台はできている。あとは下が安定してリリースが定まって来ると、コントロールも定まって来るのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻は適度に落とせているので、カーブやスプリットなどは使って来るものの負担は少ないと考えられる。そのためよほど多投しなければ、肘への負担は少ないのではないのだろうか。 腕の送り出しを観ていても、けして無理は感じられない。そのため肩への負担も少なそうだし、それほど力投派でもないので疲労も溜め難いのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並ぐらい。そういった意味では、特に合わされやすいわけではないが苦になるほどのフォームでもない。 腕は強く振れていて勢いがあるので、空振りは適度に誘いやすい。しかしボールにしっかり体重を乗せてからリリースできているかと言われれば、まだそこまでは我慢できていない。そのため球速はあるものの、打者を圧倒するような凄みのあるボールは投げられていない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たらない。ただしどの動作も平均的であり、フォーム全体にもっと粘りが出てきて欲しい。故障のリスクは少なめで、制球を司る動作も悪くない。しかし武器になるほどの変化球を習得できるかと言われれば、現状はフォームが改善されて来ないと厳しいのではないのだろうか。 (最後に) 現状は、1年生としては破格なものの、ドラフト候補としては絶対的なレベルにはないといった感じがする。また筋力的にも技術的にも発展途上の段階であり、更に良くなって行ける余地は残されている。逆にこのまま最終学年でもあまり変わらないようだと、素材は好いもののドラフトで上位指名確実かと言われれば微妙だろうということ。いかに来夏までに、凄みを増して来るのか? そこに、全ては懸かっている。 (2019年夏 高知大会) |