21dy-7





ブライト 健太(中日)外野手のルーキー回顧へ







ブライト 健太(上武大4年)中堅 184/84 右/右 (都立葛飾野出身) 
 




 「プレーに華がある」





 
打席でのワクワク感だけでなく、守備でもなんだか人を惹き付けるものを持っている ブライト 健太 。リーグ戦に出場するようになったのは、この春からという遅咲きの大器だった。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの駆け抜けタイムは、右打席から速いときで4.2秒前後。これを左打者に換算すると、3.95秒前後に相当する。プロに混ぜれば、中の上~上の下 ぐらいのタイムであるが、走る姿などをみるとそこまで速くは見えない。それでも今春にリーグ戦では6盗塁を決めたように、ある程度動けるだけの走力があるのは間違いない。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 打球勘はあまり良くないのか? 動きは微妙だが、その後のフォローがしっかりしている。また動き出してからのスピードがあるのか? 守備範囲はかなり広い。地肩自体もまずまずなのだが、スローイングの形があまり良くなく、送球の精度や中継への返球という意味ではどうなのか?と思える部分もある。まだ判断ミスも多そうだが、持っている肉体的資質は高いので、走塁以上に守備で魅せられる選手になれる可能性は感じる。

 現状は、守備も走力も 中の上 ぐらいだと考えられ、圧倒的なレベルには達していない気がする。しかし守備に関しては、もっと良くなってもと思うところがある。





(打撃内容)

 彼の良さは、やはり破壊力のある打撃にあると言えるのではないのだろうか。ちなみにこの春は、14試合 3本 12点 5盗 打率.380厘 。さらに大学選手権では、4試合 2本 5点 打率.615厘 と、大会中にもさらなる成長を感じさせた。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとしては平均的。ただし打席の中では、リラックスして構えられているのは良いところ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く観られる始動です。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を地面から少しだけ浮かし、地面スレスレをなぞるようにしながらベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。アウトステップを採用するように、内角への意識が強いと考えられる。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレて動いてしまうことも少なくない。ただしこれは、引っ張るときにはむしろその方が腰の回転を促すので一概に悪いことばかりではない。問題は、センターから右方向への意識がある時に、しっかり前の足が止まらないと壁が作れず対応しきれない。それでもそちら側への意識がある時は、止まっていることもあるので全く開きが我慢できていないとも彼の場合は言えないのだ。アウトステップを採用していていも、この足元が止まっていれば、甘めの外角球などには対応できるはずなのだ。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。しかし、打撃の準備である「トップ」を作るまでが、バットを引くのが遅れがちなのは少し気になる。そのため、一定レベル以上の球速やキレのある球に対しては、少し戸惑う危険性を感じさせる。

 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトに内から出てくるといったほどではない。それでもバットの先端であるヘッドは下がらないので、ドアスイングのような大きなロスは感じられずまとめられている。スイングの前も大きく取れるし、フォロースルーでは最後高い位置までグリップが引き上げtられており、打球に角度をつけて飛ばすことができている。けして肉体のポテンシャルだけで長打を打っている選手のそれとは、明らかに違っている。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は大きくは動かない。身体の開きを我慢できていないことも多く、打ち損じをすることもまだ少なくない。軸足の内モモに特別強さは感じられないものの、ハーフ故に天性の上体の強さと軸足の安定感を持っている。自分からボールを追いそうになるのを、軸足で上手く我慢できている

(打撃のまとめ)

 ボールを当てる技術にはまだ粗さが感じられ、プロの球に対応するのには少し時間がかかりそう。それでもボール球を見極め眼の良さと、それを我慢できる精神力がある。またハーフ選手や外国人などに良く観られる、上半身の力だけで打っているというスイングではけしてない。しっかり前を大きく取り、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶことができている。こういったハーフ選手は、私が観てきた中であまり記憶がない。打球が速いとか、スイングが凄いという以上に、ボールに角度をつけて飛ばせる技術を持っているところを高く評価したい。


(最後に)

 まだ走攻守全てにおいて、発展途上の選手だと思います。それだけ伸び代も残していると思いますし、逆に積み上げてきたものが少ない分、バランスを崩すと脆い可能性があります。そのへんは、今回の大学選手権で得た経験が、プラスと運ぶのかマイナスに働いてしまうのか秋のシーズンに見極めてみたいところ。それでも技術で打っているところと、ボール球を我慢できる「眼」の良さなどもあり、資質+技術+精神面 の部分でも好感が持てる素材です。一塁までも、最後まで走力を緩めない姿勢も良いですし、ドラフトに向けぐんぐん評価を高めてゆく可能性がある選手ではないのでしょうか。現時点でも、上位指名を意識できる素材だと判断しました。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2021年 大学選手権)