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山本 恵大(ソフトバンク)外野手のルーキー回顧へ







 山本 恵大(明星大4年)右翼 183/87 右/左 (国士舘出身)
 




 「高めの球に強そう」





 身体能力の高さと長打力が売りだという 山本 恵大 。特に試合を観ていると、高めの球を長打する場面が目立つ。果たして、どのような選手なのか? この春の武蔵大との入れ替え戦の模様を3試合ほど確認してみた。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.2~4.3秒ぐらいでした。ただし、このタイムは、かなり一塁までの勢いを緩めてのもの。そのため、全力で駆け抜けたところを3試合の中では確認できませんでした。恐らく本気で駆け抜ければ、4.0秒前後は記録しそうな脚力はあると思われます。しかし、チームの4番打者せいなのか、そういった走塁が観られなかったところをみると、走塁への意識は速くてもそれほど高くないのではと。

 右翼手としての動きは悪くなく見えましたし、国士舘時代は野村 大樹(早実-ソフトバンク)の打球をダイビングキャッチして好捕する場面もあり球際にも強そうです。ただし、打球勘や目測がどこまで良いのかまでは正確には掴めませんでした。肩に関しては、かなり強そうには見えましたが。

 守備や走塁に関してはハッキリ言えませんが、肩・足はそれなりにはありそう。ただし、売りにできるほどのレベルかとか、守備が上手いのかとか盗塁技術があるのかまでは確信は持てませんでした。





(打撃内容)

 どの方向にも打球を飛ばせる幅はあるのですが、緩急に脆い印象を観ていて感じました。冒頭にも書いたように、高めの球を長打するのが上手い感じはします。スカウトも、かなり長打力に期待してのコメントが目立ちます。入れ替え戦でも、ライトスタンドにホームランを放っていました。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えられています。腰の据わり、全体のバランスとしては並ですが、両眼で前を見据える姿勢は悪くなありません。錯覚を起こすことなく球筋を追えると思うのですが、少し打席では固く感じられる部分はあります。

<仕掛け> 遅すぎ

 一度ベース側につま先立ちして、リリース直前に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、プロのスピード・キレに対応するのは厳しいかなと感じる部分はあります。動作はこれでも良いのですが、気持ち始動を早めても動作に余裕をもたせた方が良いのかと。

<足の運び> ☆☆ 2.0

 小さくステップして、ベース側に踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞りその球を逃さないだけの「鋭さ」が求められます。またインステップして来るように、外角への意識が強いのではないのでしょうか。

 気になるのは、ステップが狭く強い上半身の振りに下半身が支え来れず足元が動いてしまいます。そのため逃げてゆく球や、低めの球に対し「開き」が我慢できず脆くなっています。外角球でもさばけるのは、甘めのコースの球や高めのゾーンの球なのではないのでしょうか?

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、この部分では力みは感じられません。スイング軌道は、インサイドアウトでも遠回りに出てくるわけでもなく可も不可もなしといった感じ。インパクトの際にも、特にヘッドが下がって打ち損じが多いわけでもなさそうです。

 内角の球に対しては、インステップでも脇も閉じられ無理なく振り抜けています。大きな弧を描いて、ある程度フォロースルーも使えるので、上手く巻き込めた時には打球が飛んでゆきます。その一方で外角の球に対しては、下半身が支えきれないので払うようなスイングになっているのは気になります。これでも流してスタンドインできるのであれば、この選手の資質の高いのでしょう。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。足元が動きがちなので、どうしても踏ん張り切れずにスイングしているのは気になります。軸足の形は地面から真っ直ぐ伸びて安定しているのですが、強打者タイプにしては軸足の内モモの筋肉は並で、その点では物足りません。

(打撃のまとめ)

 ステップも狭めで、強い上半身の振りに下半身が支えきれず動いてしまうので、どうしても脆い部分は否めません。それでもスイング軌道には癖はないですし、引っ張って巻き込めた時のスイングは見事です。また払うような外角の捌きでもスタンドインさせてしまうというリストの強さには目を見張るものはあります。


(最後に)

 走力・肩 はそれなりにありそうですが、守備や走塁技術がどのレベルにあるのかは掴めませんでした。また打撃も資質には面白いものは持っていますが、かなり脆く確実性は低いのではないかと。そういった意味では、今年の指名選手でもあった 梶原 昂希(神奈川大-DeNA6位)外野手に割合近いタイプなのかなといった気がしています。ある意味、二人の今後がどうなってゆくのか、密かに比較しながら観てゆきたいところ。ただ見た感じでは、素材に可能性は秘めているものの、 を付けるまでには至りませんでした。あくまでも育成枠での指名は妥当で、その才能を伸ばせるかに懸かっているように感じました。


(2021年春 首都入れ替え戦)