21dy-20
川村 啓真(国学院大4年)右翼 173/83 右/左 (日本文理出身) | |
思いっきりの良いフルスイングが持ち味で、4年春のシーズンには 3本塁打・10打点・打率.417厘で首位打者も獲得した 川村 啓真 。しかし、この秋は、打率.157厘 と絶不調で最後のシーズンを終えてしまった。彼の良さは、安定感よりも爆発力にあるのではないかと思うのだ。 走塁面:☆☆☆ 3.0 日本文理時代から、左打席から 4.05秒前後で一塁まで駆け抜けるなど 中の上 ぐらいの脚力がありました。ただし大学に進んでからは、さらに体つきが立派になったことを考えると、走力はドラフト指名選手の中では 並~それ以下ぐらい になってしまったのかなといった印象を受けています。4年間のリーグ戦でも、盗塁は僅かに3個。時にはセーフティバントを試みたりもしますが、基本走力でアピールするほどではなくなっていると考えられます。 守備面:☆☆☆ 3.0 右翼手としての守備も、打球勘や落下点までの入りを見ていると、可も不可もなしといった感じには見えます。肩も 中の上 ぐらいはあるかもしれませんが、そこまで際立つ強肩ではないと思います。プロではライト及びレフトあたりを担うと思いますが、けして守備でアピールするほどでもありません。 守備・走塁に関しては、プロに混ぜると 平均~中の下ぐらいで、無難にはこなせるようになっても、売りとするまでは厳しいのでは。 (打撃内容) まともに捉えた時の飛距離は圧巻ですが、まだまだ精度が高いとは言えません。そのムラが良い方に向かえば、爆発的な活躍も期待できるのですが。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合や全体のバランスとしてはそれなりだが、両眼では前をしっかり見据えられている。また打席でもリラックスできており、力みなく自然体で立てているところは良いところ。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下がりきってから、前に重心移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、ボールギリギリまでひきつけてから叩くタイプが多く、天性の長距離砲から生粋の二番打者に多く見られる。普通に組めばチームの4番を任されるほどの選手だが、あえて「2番打者最強説」を地でゆく打順の組み方をしたがゆえの二番での起用となっている。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を上げて、ほぼ真っ直ぐに踏み出してきます。始動~着地までの「間」は短めなので、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」が求められます。そのため、打てるタイミングは広いとは言えないでしょう。むしろ真っ直ぐ踏み出す傾向が強いので、内角でも外角でもさばきたいタイプ。 踏み込んだ前の足が、しっかり止まらずブレてしまうことが多かったこの秋。ようやく神宮大会に入ってきて、インパクトの際にもしっかり止まることも増えてきました。きっと春に比べ、上半身の振りの強さに対し、下半身が支えきれずバランスを崩していたことに原因があるのではないのでしょうか。現在でもまだ、完全に復調したとは言い切れません。これだと逃げてゆく球や低めの球に対し、開きが我慢できずついて行けないことが少なくないはずです。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、インサイドアウトでなく寝せて振り出して来るので、内角はバットが出にくいのかなといった印象が。外角の球に対しては、大きなロスはなくインパクトできている。 ただし、上記に記したようにスイング軌道は悪くなくても、支える下半身がブレてしまって得意のはずの外角がしっかり叩けない状況が続いていたのでは? それでもスイングの弧は大きく思いっきって最後まで振り切ってくる。基本的にそれほど打球に角度を付けて飛ばす感じのスイングではないので、現状本塁打は引っ張って巻き込んだ時が多いのではないのだろうか? <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げはそれなりにあって、目線の上下動は並ぐらい。身体の開きが我慢できていないことが多く、軸足の形も崩れがち。調子のムラは、かなり激しいタイプなのではないのでしょうか。ただし、内もも筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) 上半身と下半身のバランスが崩れており、元々タイミングやさばけるコースが限られている打ち方なので、狂いだすと修正に時間がかかるタイプなのではないかと。それでもバットが振れる、スイング軌道に癖がない、捉えた時の破壊力は見事 という、西武らしいスカウティングではないのだろうか。 (最後に) 守備・走塁に関しては平凡だが、許容範囲にそれをまとめられるかだろう。彼の売りは、断然爆発力のある打撃にあり、西武という環境がフィットすれば、彼も一軍で存在感を示せるまでになっても不思議ではありません。育成4位でなんとかプロ入りを果たしたが、良い状態の時ならば充分に一軍を意識できるだけの打力の持ち主ではないのだろうか。そのため西武が、彼をどのように導くのか興味深い。ただし評価としては、育成枠あたりで様子を見るのは妥当な判断だった気がする。 (2021年 秋季リーグ戦) |