21dy-15
中山 誠吾(白鴎大4年)遊撃 190/99 右/左 (青藍泰斗出身) | |
190センチ台・100キロ近い体重で、規格外のスケールを持つ 中山 誠吾 。確かに、緩急には脆い一面はあるものの、攻守にスケール感溢れる大型内野手なのだ。 (守備・走塁面) 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。ただし、超大型でも動き出しも良く、動作に緩慢さは感じない。そのため、遊撃手としても、広い守備範囲を誇る。確かに細かいステップを刻んだり鮮やかなグラブさばきをするわけではないが、非常に地肩が強く、小さなモーションからでも球筋ブレないスローイングができていた。さすがに源田などがいるチーム柄・ショートというポジションを担って行けるかは別にしても、プロでセカンドなりサードなど、他の内野ポジションを担っても全然不思議ではない。けして守備が、下手な選手ではないので。 (打撃内容) リーグ戦ではまともに出場するようになってからは、3割に届いたことがないという脆さがあるのは確か。それでも当たった時の打球は桁違いで、精度さえ上がればといった気にさせてくれる迫力満点のスイングが目を引く。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添える強打者スタイル。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなり。打席では、集中力を感じさせる構えとなっている。逆に、少しリラックスを心がけた方がいいかもしれない。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈んだ底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。しかし、実際観ていると緩急への脆さが感じられます。またインステップして来るように、外角への意識が強いタイプです。ただし彼の場合は、内角が苦手だからというよりも、むしろ内角へのさばきの自信から、外角球をしっかり捉えるためにインステップしているタイプに見えます。 踏み込んだ前の足は、しっかり止まってブレません。そのため、低めや外角球への「開き」を我慢してついて行けます。特に低めの球をすくうのは、かなり得意としています。ただしその自信が、ボールになる落ちる球に対しバットが止まらない原因にもなっている気がします。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 構え~ボールを呼び込む段階で、バットの先端が投手側にかなり倒れ込んで、なかなか打撃の「トップ」が決まらず遅れがちになるのは気になります。振り出し自体は、インサイドアウトに出てくるタイプなので、内角の球に対してはキレイにバットが振り抜けます。 インパクトの際にも、バットの先端が下がっていないので、広い面ではボールを捉えられているとは思います。あとは、やはりタイミングや立ち遅れるの問題なのではないかと。スイングの後半も、大きなフォローで捉えた打球を後押しできています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが小さく、目線の上下動は小さい。そのため、錯覚を起こし難くボールを追うことができている。身体の「開き」も我慢できているが、少し軸足の足元が持て余し気味になっているところを、うまく使えるようになればなと思う部分はあります。この辺は、インステップが強いので、その弊害かもしれません。 (打撃のまとめ) スイング軌道に癖がないのは良いのだが、バットが投手側に倒れすぎることで、始動のタイミングの割に全体的に動作が遅れがちになって余裕がなくなっている気がします。また本質的には、あまり打球に角度がつく捉え方ではないので、身体の強さとフォロースルーで打球を飛ばしている印象。この辺を多少変えれば、もっとオーバー・フェンスも増えるかもしれません。現状は、強烈な球足で抜けてゆく、二塁打が多いタイプの強打者なのかもしれません。あとは、ボール球を我慢できる、見極めがポイントになってくるかもしれません。 (最後に) 捉えた打球の一つ一つは、本当に惚れ惚れするようなスケールを感じます。遊撃の守備も、思った以上に良かったです。そのためプロでは、ショートとは言わないまでも、二塁や三塁などでの可能性を感じさせます。現状の精度の低さ・脆さは確かにあるのですが、西武という野手を育てるには最高の環境で、この才能がどのぐらい伸びるのか見届けてみたいと思わせるものはあります。うまく導けば、日本人の範疇には収まらないような、凄い打者になれるかもしれません。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2021年 横浜市長杯) |