21dp-5





桐敷 拓馬(阪神)投手のルーキー回顧へ







桐敷 拓馬(新潟医療福祉大4年)投手 178/90 左/左 (本庄東出身) 
 




 「春より速くなっている」





 春みた時の 桐敷 拓馬 の投球は、常時140キロを越えてきたものの、最速で140キロ台中盤ぐらいというイメージだった。しかしこの秋は、コンスタントに145キロ前後は出ている感じで、力を入れた時の球は140キロ台後半をコンスタントに叩き出せるまでになっている。春先よりも、ワンランク球速やボールの勢いを増してきているのではないのだろうか。


(投球内容)


ストレート 常時145キロ前後 ☆☆☆☆ 4.0

 立ち上がりを中心に、真っ直ぐが全体的に高いのは気になります。それでも、両サイドに投げ分けられるコントロールはあります。そのため要所では、コースに決まった真っ直ぐがズバッと決まり、打者の見逃しを誘うことも少なく有りません。

変化球 スライダー・ツーシーム・フォーク・カット? ☆☆☆☆ 4.0

 春先は、少しカット気味な球でカウントを整えていたように見えました。むしろ今は、真っ直ぐに力を増したせいか? 速球を両サイドに散らしているように見えます。特に左打者には、外に流れてゆくスライダーを振らせ、右打者にはフォークだかツーシームのような小さく沈む球を結構使ってきます。真っ直ぐだけでなく、変化球の質・キレも良いのが、この投手の強味ではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

 下級生までは、だいぶリリーフ的色彩が強かったのですが、最終学年では先発でもある程度試合が作れるような幅が出てきたように感じられます。特に強弱を付けるのがうまくなったというよりも、体が強くなり先発でもボールの威力が落ちなくなったのが大きいかと。それでもまだ、秋の上武大戦で勝利できなかったように、本当に強いところと戦うと抑えきれない部分は残ります。それでも上武の各打者も、かなりボールの威力では圧倒される場面も少なくありませんでした。


(投球フォーム)

 オフシーズンの寸評でもフォーム分析をしたのですが、昨年から何か変化があったのか再度見直してみましょう。セットポジションから、勢い良く足を引き上げます。こういった最初から高いエネルギー捻出をして来る投手は、リリーフタイプに多く見られるフォームです。軸足一本で立った時に、軸足の膝がピンと真上に伸びて直立してしまっています。こういった投手は、バランスが取り難く、制球を乱すケースが多いので気をつけたいところではあります。

<広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻の三塁側(左投手の場合は)の落としも悪くないので、体を捻り出すスペースを確保。カーブやフォークを投げるのにも無理がなく、結構フォークを使ってくることが多く見えるので適したフォームではないのでしょうか。

 「着地」までの地面の捉えも粘れており、体を捻り出す時間を確保できています。キレや曲がりの大きな変化球の習得も期待できるので、彼が速球だけでなく変化球に優れているのも頷けます。

<ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで内に抱えられていて、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そのため、軸はブレ難く両サイドのコントロールはつけやすい。足の甲での地面の捉えも良く、ボールが上吊るのを防いでいる。まだボールの押し込みが甘いの中、立ち上がりを中心にボールが高めに集まるのは気になるのだが。これも力まないで投げられるようになれば、制球も安定して来るのではないのだろうか。

<故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になることは少なそう。そういった意味では、肘への負担は少ないのではないかと考えている。また腕の送り出しを見ても、肩への負担も少なそう。多少力投派なので疲労を溜めやすいのは気になるが、タフな起用に耐えられそうな丈夫さとフォームではある。

<実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りも作れていて、ボールの出どころも隠せている。そういった意味では、打者としては合わせ難いのではないのだろうか。腕も適度に振れており、打者としては吊られやすいはず。ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで強い球が投げられている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全ての部分で高い次元でまとめられている。故障のリスクも少なく、制球を司る動作の土台も悪くない。まして、武器になる変化球の習得も期待でき、どんどん投球の幅を広げて行けるのではないのだろうか。

 昨年から大きくは変わっていないが、より下半身を使い粘り強くなっている点。ウエートも増して、ボールに強さと速さが磨かれている点も評価できる。


(最後に)

 伊藤 将司(JR東日本-阪神)のように、一年目からガンガン先発入りしてゆくというよりも、即戦力としてはリリーフではないかとみている。それも一年目から、かなりリリーフとしては、一軍でも活躍して戦力になるのではないのだろうか。チームの中でも、貴重な存在になりうるのではないかと期待している。個人的には、今年の候補の中でも、リリーフとしてはかなりオススメの一人です。また数年後には、先輩の笠原祥太郎(中日)のように先発への転向も可能かもしれない。春から評価付けは変わらないものの、ワンランク内容は上がっているとみて良いだろう。3位でこの選手が獲得できたことは、かなり美味しい指名になりそうだ。


蔵の評価:☆☆☆(上位指名級)


(2021年 秋季リーグ戦)








桐敷 拓馬(新潟医療福祉大4年)投手 178/84 左/左 (本庄東出身) 





「順調だった」 





 今年は大学生の当たり年で、全国的にもいろいろな選手が注目されている。そんな中でも、順調に春のシーズンを投げきった一人としてあげられるのが、この 桐敷 拓馬 ではないのだろうか。この春の内容は、大学入学してからのキャリアハイといえるほどのものだった。


(投球内容)

 これまでは、どちらかというとリリーフ向きなのかなと思う部分があった。しかしこの春の投球を見ていると、かなり球種が多彩になり先発投手らしくなってきたのではないのだろうか。

ストレート 140キロ~140キロ台中盤 ☆☆☆★ 3.5

 球速的にはドラフト候補としては平均的で、下級生の頃とさほど変わっていないかもしれません。しかし変化球の割合が増えることで、よりストレートの勢い・威力が増したように感じました。けして細かいコントロールがあるわけではないのですが、適度にボールは両サイドに散っており、返ってそれが的を絞り難くしています。勝負どころでストレートで押せるたけの力強さや、空振りを奪える勢いも感じられます。少なくても球速表示以上には、打者は速く感じられているのではないのでしょうか。

変化球 スライダー・ツーシーム・フォーク・カット? ☆☆☆☆ 4.0

 しっかり曲がってくるスライダーだけでなく、かなりカットボールのような小さく変化するボールを主体に使っているように見えました。また以前から右打者外角に逃げるツーシーム的なボールは有効ですし、今は右打者の内角に食い込みながら沈む球があります。これはカットボールが低めに切れ込んでいるのかな?と思ったのですが、フォークもあるようなので低めに切れ込む球はフォークなのかもしれません。この投手の投球を見ていると、ストレートの力強さだけでなく、変化球でも三振を奪っているケースが多い。そして、以前よりも多彩になり、投球の幅がかなり広がってきているように感じられる。

(投球のまとめ)

 投球テンポも良く、マウンドさばきも堂々としています。勝負できるストレートがあるだけでなく、カウントを整えられる変化球、三振を奪える決め手もあると言えます。昨年よりもピッチングの幅も広げており、上位指名を意識できるところまで来ているのではないのでしょうか。

(成績から考える)

 オフシーズンに作成した寸評ではフォーム分析をしているので、今回は残した成績から考えてみましょう。ちなみにこの春は

6試合 5勝1敗 55回1/3 36安 10四死 71三 防 1.79(2位)

1,被安打は投球回数の80%以下 ◎

 被安打率は、65.1% と充分に合格点。通算だと 71.4% であることから、より多彩な球種で的を絞らせ難くしている印象は間違っていなかったのかもしれない。

2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ◎

 四死球率は18.1%であり、投球回数に対し1/5以下になっている。通算では、32.5% であり、かなり春はコントロールが改善されていたことが伺われる。アバウトだった危なっかしさは、だいぶ陰を潜めつつある。

3,奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ◎

 1イニングあたりの奪三振は、1.28個 と完全に投球回数を上回っている。通算では1.29個 と殆ど三振の数は変わっていなかった。以前から、三振が奪えるサウスポーといった投球は健在だった。

4,防御率は 1点台 ○

 この春の防御率は、初の1点台に突入。それも、リーグ2位の好成績だった。通算でも2点台だったことを考えると、安定感という意味でもワンランク成長してきたことは間違いない。上武大戦で打ち込まれたのは痛かったが、よりレベルの高い相手でも通用する投球を身につけたい。

(成績からわかること)

 実際の投球で見た印象と同じく、成績の上でも良くなっていることがわかる。大きな欠点もないことからも、リリーフならばプロでも1年目からある程度通用するぐらいのところまでは来ているのではないのだろうか。


(最後に)

 大学の先輩である 笠原 祥太郎(中日)左腕と比べても、ボールのインパクトでは 桐敷 の方が上ではないかと思えてくる。どちらかというとリリーフタイプのイメージが強かったが、そのへんはだいぶこの春改善されてきた。プロで即戦力となると、まだリリーフからかもしれないが、数年後にはローテーション投手に成長しても不思議ではない。ドラフトにおいても3位前後ぐらいかなと思っていたが、この春の投球を見ると秋も順調ならば2位・3位ぐらいは充分狙えるところまで来ているのではないのだろうか。秋の投球は、ぜひ生で確認してみたい。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2021年 春季リーグ戦) 








桐敷 拓馬(新潟医療福祉大3年)投手 178/84 左/左 (本庄東出身) 
 




 「意外に実戦派」





 
 笠原祥太郎(中日)を輩出した新潟医療大において、またしてもプロを意識できるサウスポーが出てきた。その男の名前は、桐敷 拓馬 。地方リーグの逸材によくありがちな荒れ荒れの馬力型というよりも、マウンドさばきに優れた実力を兼ね備えたサウスポーだ。


(投球内容)

 中背のガッチリした体格から、コンスタントに140キロ台を記録する力強いボールを投げ込んでくる。リーグ通算では21試合に登板しているが、通算勝ち星は4勝と、まだ実績的には物足りない。

ストレート 常時140~140キロ台中盤 
☆☆☆ 3.0

 球速的にはドラフト候補としては平均的だが、球速以上にボールは来ている印象がある。また両サイドに散らすことができ、四死球はさほど出すタイプには見えなかった。しかし3年秋の成績を見る限り、35回1/3イニングで14四死球と、四死球率は 39.6% とやや多い。四死球率の目安は、投球回数の1/3以下であり、アマチュアの成績としてもアバウトな数字にはなっている。

 被安打は26本であり、被安打率は 73.6% であり、これは完全に基準を満たしている。被安打の目安は、80%以下だけにボールの威力は水準以上であるのは間違いないだろう。

変化球 スライダー・チェンジアップなど? 
☆☆☆★ 3.5

 スライダーでカウントを整えつつ、ボールゾーンに沈むチェンジアップやフォークなどで空振りを誘うのを得意としている。35回1/3イニングで48奪三振を奪っているように、投球回数を遥かに上回れる三振が奪えている。左腕ながら、左打者よりも右打者外角に沈む球を振らせるのが上手く得意としているのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 投球テンポが良く、マウンドさばきも堂々としている。140キロ台のストレートの威力も水準レベルあり、チェックした試合では制球力や変化球のレベルも悪くなかった。どちらかというと、先発よりリリーフタイプには見えたが、大学からのプロ入りを意識できる素材ではないのだろうか。春のリーグ戦次第では、充分に指名クラスに入ってきても不思議ではない。





(投球フォーム)

 では、フォームの観点から今後の可能性について模索してみたい。セットポジションから高い位置まで足を引き上げ、軸足一本で立った時にも膝には余裕はないものの適度にバランス良く立てている。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻も適度に三塁側(左投手の場合は)に落とすことができ、身体を捻り出すスペースを確保。カーブやフォークといった球種を投げるのにも、無理は感じられません。

 「着地」までの地面の捉えもそこそこで、身体を捻り出す時間もそれなりといった感じ。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、多彩な球種を操れる土台はあります。実際の投球でも、右打者の外角低めにチェンジアップだかフォークを振らせるのが上手く、この球が決め球にはなっています。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブも最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。足の甲での地面の捉えも良く、浮き上がろうとする力も抑えられている。そのため高めには集まり難いはずだが、時々抜ける球があるので、リリース時のボールの押し込みが甘いのかもしれない。それでも「球持ち」も、けして早すぎる感じはしない。力まないでも投げられる時は、そんなに制球を乱さないのではないのだろうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻も適度に落とすことができ、カーブやフォークなどを投げても窮屈にはなり難いのではないのだろうか。また腕の送り出しを見ても、肩への負担も少なそう。多少力投派のところはあるものの、肩・肘への負担が少なそうを考えると、それほどナーバスになることはなさそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの適度な粘りは作れていて、打者としては合わせやすいということは無さそう。またボールの出どころも隠せているので、ボールが見えてきて一瞬で到達するような差し込まれやすいフォームではないのだろうか。

 腕も強く振れており、打者からは勢いがあって空振りを誘いやすい。ボールにも適度に体重を乗せてリリースできており、打者の手元までの勢いや球威も悪くない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たらないし、全般的にレベルが高い。制球を司る動作も故障のリスクも少なそうだし、多彩な球種を操るだけの土台を持っている。決め手の部分でも、右打者外角の低めの球を振らせる術も確立できており、技術的には高いものを持っている。


(最後に)

 ある程度の馬力や勢いがありながら、フォーム技術や変化球レベル、それにハートの部分も良さそうだ。先発としてはまだどうかわからないが、短いイニングならば即戦力になれても不思議ではないとみている。ぜひ最終学年では、全国の舞台や大学日本代表など、高いレベルで存在感を示して欲しい選手である。


(2020年 春季オープン戦)