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佐藤 琢磨(新潟医療大4年)投手 183/85 左/左 (新潟青陵出身) | |
名前は事前に訊いていたが、指名されるかも怪しかったので、どこかで見られれば良いだろうと油断していた 佐藤 琢磨 。しかし、ドラフト指名後に慌てて彼の投球を探しても、一部映像しか出てこないで投球の詳細がつかめないことに気がついた。そんな中、僅かな映像と残した成績を元に、この選手のレポートを作成してみた。 (投球内容) 新潟青陵時代から、県下では注目されいてた存在だったようです。しかし、制球に課題があり、リーグ戦に登場するようになったのは、3年秋からといった遅咲き。それも、リリーフでの登板が目立ちます。大学での通算成績は 9試合 14回2/3 13安 10四死 22三 防 4.91 常時140キロ~中盤ぐらいは出ていそうな、かなり勢いのあるボールを投げ込んできます。真っすで押せるボールの威力は、左腕としてはドラフト級なのではないかと。実際に確認できなかったのですが、武器はスライダーだと言います。 成績を見る限りは、ボールに威力があり投球回数を遥かに凌ぐ奪三振が奪えています。その一方で、被安打が多く合わされやすい可能性があり、四死球の多さも気になるところ。そのへんの実戦力の粗さが、防御率にも現れています。 (投球フォーム) 投球の詳細がわからないのですが、フォームを分析して今後の可能性について考えてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはさほどではなく静かな入りです。軸足一本で立った時に、膝から上が真っ直ぐ伸びがちで、トの字 のように、直立して立ってしまっているのは気になります。こうなるとバランスを保って立つのが難しく、ツッコミやすいフォームになります。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 前に倒れ込むような感じのフォームのために、お尻はバッテリーライン上に落ちてしまっています。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった球種を投げるのには適しません。そのため、緩急を利かしたり空振りを誘える球種の習得に苦労することが予想されます。 「着地」までの地面の捉えも平凡で、身体を捻り出す時間も並。それだけに曲がりの大きな変化球の習得は厳しく、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことが求められそうです。 <ボールの支配> ☆☆ 2.0 グラブは後ろで解けてしまって、外に逃げようとする遠心力を十分に抑え込めていません。それだけ軸が暴れるので、コントロールが定まり難い傾向にあります。足の甲の地面の捉える時間も短く、浮き上がろうとする力を抑え込めているかは微妙。さらに、「球持ち」もけして良くないので、指先の感覚等にも不安は残ります。かなり球筋が暴れることが、フォームからも想像できます。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻を落とせないフォームではあるのですが、カーブやフォークを多く使ってくるという配球では無さそう。そのため窮屈になる機会も少なく、そこまで肘への負担は気にしなくてもと。また腕の送り出しをみると、かなりサイドに近いスリークォーターであり、肩への負担も無理は感じられません。ただし、かなりの力投派なので、疲労を溜めないように注意したい。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りが平凡で、タイミングが合わせ難いことは無さそう。それでもボールの出どころは隠せているので、しっかり投げミスをしなければ、大丈夫かと。しかし、そのコントロールに甘さがあるからこそ、被安打が少し多めなのではないのでしょうか。 腕は非常に強く振っており、ボールの出どころも隠せているので、勢いで空振りは誘えそう。「球持ち」はそれほど粘れていないように見えるものの、覆いかぶさるようなフォームから打者の手元まで威圧感はあり、投げ終わったあとの地面の蹴り上げも見事です。それだけリリースまで、しっかりエネルギー伝達ができている証なのでしょう。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重異動」では、「着地」と「球持ち」にもう少し粘りが欲しいです。それだけでも、だいぶフォームに粘っこさなど嫌らしさが出てくるのでは? 特に制球力に不安があるフォームであり、故障のリスクや将来的に武器になるような変化球を習得できるかも微妙です。少なくても、かなりの素材型といえるタイプの未完成さが目につきます。 (最後に) 球速云々以上にボールが手元まで来ている感じであり、特に前に倒れ込むようなフォームの上にサイドに近い腕の振りも加味すると、左打者にとっては怖いフォームなのではという気がします。きっちり左打者だけでも抑えられれば、生き残る術にはなると思います。ただし、せっかくリリーフ出てきたのに、ストライクが入らないといったようだと厳しいと思いますが。ちょっと見ただけですが、個人的にはちょっと面白いかなと思える部分もあり、ソフトバンクがこういった選手をどう導くのかは興味があります。しっかり投球を確認できなかったので、評価付けはできないことをご了承くださいませ。 (2021年秋 リーグ戦) |