長谷川威展（金沢学院大４年）投手　１７８／８１　左／左　（花咲徳栄出身）

「微妙ではある」

　小さめなテイクバックから、ピュッと投げ込んでくる変則左腕の　長谷川威展　。左のリリーフ候補として面白い存在ではあるが、指名があるかと言われる微妙な選手ではないかとみている。大学日本代表候補の松山合宿にも選出された、実力者でもあるのだが・・・。

（投球内容）

チームでの起用を観ていても、先発ではなくリリーフでの登板が多いようだ。

ストレート　１４０キロ前後？　☆☆★　2.5

　小さめなテイクバックから、ピュッと投げ込まれる。ただし、そういったフォームのギャップでタイミングを狂わすタイプにしては、ボールの質はキレというよりも球威があるタイプに思える。そのため１４０キロ前後の球速でも、ボールには一定の強さが感じられ見劣りはしない。それでも気になるのが、結構ボールが暴れてコマンドという意味ではどうだろうか？という細かいコントロールの部分だろうか。

変化球　スライダー・チェンジアップ　☆☆☆　3.0

　むしろ投げる頻度で言えば、スライダーの方が多いと言える。ストレートが暴れても試合をある程度作れるのは、この球でしっかりカウントを整えることができている。右打者にも左打者にもある程度チェンジアップを使えるが、キレ・精度という意味ではスライダーに比べると劣る内容。現状は、スライダー投手との印象を受けた。

その他

　クィックは、１．０５～１．１５秒ぐらいとまずまずで、フィールディングの反応も悪くなかった。牽制は確認できなかったが、動作自体は機敏な選手なので、上手いのではないかと想像させる。特に細かい駆け引きやボールになる球を振らせるのが上手いとか、そういった投球術はあまり感じられない。あくまでも、勢いと打ち難さで勝負するタイプ。

（投球のまとめ）

　球威・球速が平凡な部分は、フォームが変則で打ち難いのと左腕ということを考えれば、さほど気にする部分では無さそう。むしろ、変化球の決め手や制球力に粗さがあり、その点で総合力としてどうなのだろう？　という不安の方が残った。

（成績から考える）

　この秋の２試合ほどの模様を確認したのだが、短いイニングでの登板だっただけに、過去はどうだったのか？　この春までの通算成績から考えてみたい。４年春（春のリーグ戦は中止に）までの通算成績は

２２試合　４０回　１６安　１１四死　４８三　防　０．２３

といった内容に。

1，被安打は投球回数の70％以下　◎

　被安打率は、地方リーグということで７０％以下を目安に。それでも、４０％　なので、充分過ぎるぐらい基準を満たしている。やはり小さめなテイクバックから、少し腕を下げて出てくるフォームは、想像以上に合わせ難いということか？

2，四死球は、投球回数の１／３以下　○

　四死球率は、27.5％。基準である投球回数の１／３（33.3％）以下に抑えることができ、基準を満たしてます。ストレートのバラツキはありますが、しっかりスライダーでカウントを整えられることで、無駄な四球を抑えることができているのかもしれません。それでも、プロレベルを想定したり、相手打者のレベルが上ってプレッシャーが懸かったときに、このような投球ができるかは微妙です。

3，奪三振は、１イニングあたり０．９個以上　◎

　１イニングあたりの奪三振率は、１．２個とはるかに投球回数を上回ります。何かこれはといった絶対的な球種があるようには見えませんが、真っ直ぐやスライダーなどで空振りが奪えているということなのでしょう。プロレベルの打者相手には不安が残りますが、チェンジアップなどをさらに磨けばそれも払拭できるかもしれません。

４、防御率は０点台　◎

　地方リーグ、それもリリーフならば０点台の防御率を望みたい。そういった意味でも、通算でも　防　０．２３　と文句なしの実績を残している。

（成績からわかること）

　地方リーグの選手ということで、厳しいファクターを設けてみた。それでも充分にクリアできるぐらいの、圧倒的な数字を残してきている。それでも不安であれば、やはり全国レベルである福井工大との試合で、どんなパフォーマンスを魅せているのか注目して見るのが良いのではないのだろうか。数字の上からは、実際の投球以上に圧倒的だった。

（最後に）

　ではドラフト指名となると、どのぐらいの位置づけになるのだろうか？　私が見る限り、おそらく育成で指名があるかないかぐらいではないかと見ている。ただし、適度に実戦的なので、割合モノになるのであれば３年以内に一軍で結果を残したいタイプなのかなと思える。上手くゆけば一年目から支配下を勝ち取り、一軍の舞台でも活躍できるかもしれない。それだけに、育成ならば充分にありの選手なのではないのだろうか。

（２０２１年　秋季リーグ戦）