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鈴木 勇斗(阪神)投手のルーキー回顧へ







鈴木 勇斗(創価大4年)投手 174/83 左/左 (鹿屋中央出身) 
 




 「悪いところが出た」





 この秋の横浜市長杯では、神奈川大打線にじっくり見られたり、審判のストライクカウントも厳しく、本当の制球力を持ち合わせていない 鈴木 勇斗 にとっては、厳しい投球となった。しかしこれは、より狭いストライクゾーンであるプロの世界では、同様に起こりうることではないかと危惧する。


(投球内容)

 同じ昨年の横浜市長杯で華々しく存在感を示した鈴木だったが、実は昨秋も今秋もリーグ戦の成績としては殆ど同じような内容ではあった。

3年秋 4勝1敗 47回   27安 24四死 50 防 1.72
4年秋 4勝2敗 50回2/3  27安 26四死 48 防 1.24


ストレート 常時140~後半 ☆☆☆★ 3.5

 昨秋の市長杯では、常時145キロ前後~150キロ台を記録したのに比べると、常時5キロ程度遅くなって力で押しきれない苦しい投球となっていた。ただし、この春も球速的にはこのぐらいであり、今年の内容としては春・秋こんな感じだったのではないかと。ボールを両サイドに散っているものの、決まって欲しいところで決まらずに球数をいたずらに費やしたり、無駄な四死球を繰り返す。ただし、この粗い制球力は昨秋もほぼ同様だったので、違いは甘く入った球が打ち返されなかったり打ち返されたかのボールの力の差ではなかったのだろうか? 

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ ☆☆★ 2.5

 横滑りするスライダーとのコンビネーションが基本で、この球でしっかりストライクが取れないと厳しくなります。ただし、この球のキレ・曲がりは平凡で、あくまでも速球との球速差でカウントを整えるためのもの。他に緩いカーブもあり、この球の方がむしろ決まるとアクセントになります。他にもチェンジアップがあるのですが、左投手にしてはチェンジアップの精度・ブレーキがもう一つで、あまり右打者に使えていないのも投球を苦しくする要因ではないかと。プロでは、この右打者への変化球を磨くことが最大の課題になりそうだ。

その他

 見分けの難しい牽制を入れてきて、左投手としてはスタートは切りにくいかと。クィックは、1.1秒台後半と春よりも少し時間をかけて投げるようになっていたのは偶然か? フォールディングの動き・ベースカバーは若干怪しくも見えなくはないものの、許容範囲といったところだろうか?

(投球のまとめ)

 昨秋よりもスト^レートの球速・勢いが平凡になったことで力で押し込めなくなっていたのと、本当のコントロールや武器になるほどの変化球の無さで、執拗に球数が多くなってしまっていた。ただし、この傾向は春も同様だったことを考えると、プロ入り後昨秋のような勢いを取り戻しつつ、課題に向き合う必要がありそう。また力むと身体がツッコミやすいので、そのへんは注意したい。


(投球フォーム)

 昨秋に比べ、フォームに狂いが出ていたのか比べてみたい。セットポジションから足を引き上げる勢いや高さはあり、フォームの入りからみるとリリーフタイプなのかもしれません。実際の投球を見ている限りは、両方の適性はあるように感じられましたが。また、軸足一本で立った時に膝には力みは感じられないのは良いが、少し独特の立ち方をしている。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 お尻はしっかり三塁側(左投手の場合は)に落ちており、身体を捻り出すスペースを確保。そういった意味では、カーブで緩急を付けたり、フォークのような縦の変化球を投げても無理のないフォームになっています。昨秋よりも、お尻はしっかり三塁側に沈むようにはなっていました。

 「着地」までの地面の捉えもそこそこで、身体を捻り出す時間もそれなりに確保。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、多彩な球種を操れる下地はあるのではないかと。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは、元来それほど悪くないのでは?

 気になるのは、足の甲の地面の捉えが浅かったり短かったすること。この点が浮き上がろうとする力を充分抑え込めず、リリースでの球離れも早く、力を入れて投げると制御できずに高めに抜けたりして制球を乱す要因になっているのではないのでしょうか。足の甲の抑えはあと少しのところまで来ているので、さらに股関節の柔軟性を養いつつ下半身の強化できれば、もっと重心が沈んで粘れるようになり、あとはリリースの押し込み次第で改善はできそうには見えます。

<故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0

 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても無理はありません。カーブは結構使ってきますが、フォーク系のボールは見られないので、肘への負担はそれほどでもと。

 腕の送り出しを見ても、肩への負担は少なそう。昨年は明らかにボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がる傾向が見られましたが、そこは緩和されて負担は少なくなっていました。むしろ昨年よりも角度を付けなくなったことが、ボールの勢いや威力に陰を落とすという悪い方に作用した可能性はあります。ただし、負担という観点では、昨年のフォームより今のフォームの方がとは思いますが。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りはそこそこで、それほど嫌らしさはありません。しかし、ボールの出どころは隠せているので、甘く入らなければ痛手は喰らい難いのではと。

 球持ちが浅いことで、身体に巻き付くような粘っこさがなく全体に淡白な印象。また球離れが早いことで、充分にウェートが乗せきる前にリリースしてしまっている可能性があります。それでもボールの球威という点では悪くないので、さらにリリースが我慢できるようになると、グッと打者の手元まで来る感じになってきそうです。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」に課題が残ります。特に、この投手の場合は、このリリースの部分をいかに改善できるかがポイントではないのでしょうか。故障のリスクが緩和したのは明るい材料なのですが、諸刃の剣で角度が薄れたこともボールの威力に影響しているかもしれません。制球は高めに抜けたり集まりやすい部分に課題があり、将来的に武器になる変化球をいかに見出して行けるかと、投げっぷりの割に技術に粗さを残します。


(最後に)

 投手育成に定評がある阪神だけに、うまく導くことができれば投げっぷりの良さに加えボールの威力もあって面白い存在にはなれると思います。ただし、本当の制球力が無い、武器になる球がないことで投球が汲々になる恐れもあり、プロでどっちに転ぶかには不安が残ります。そういった意味では、ワンランク評価を下げた形で最終評価とさせて頂きたいと思います。阪神の育成力によって、良い面が全面に出ると良いのですが ・・・。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2021年 横浜市長杯)





鈴木 勇斗(創価大4年)投手 173/84 左/左 (鹿屋中央出身) 
 




 「順調さは欠いたが」





 この春の 鈴木 勇斗 は、僅か3試合に登板したのみで、部内でコロナが発生したためにリーグ戦から離脱。自身も、防御率 3.32 と本調子とは程遠い状態でシーズンを終えた。しかし、3月に行われた亜細亜大や上武大戦の投球を見る限りは、秋にみたボールの勢いも感じられ、順調に調整できているように見えたのだが・・・。


(投球内容)

 中背の体格ながらガッチリとしており、地に足の付いた投球ができます。強気に速球で押すだけでなく、変化球も交えたピッチングができていました。

ストレート 140キロ台~後半 ☆☆☆★ 3.5

 秋の横浜市長杯の時は、コンスタントに145キロ~150キロ台前半のボールを投げ込んでいました。しかしこの春は、常時140キロ台~後半といった感じでも、力強さは健在でした。しかしシーズンに入ると、最速で140キロ台前半ぐらいと明らかにボールの勢いに陰りが見えたようです。そのへんは、コロナなどで活動が自粛され、充分な練習が積めなかった可能性があります。

 特にこの選手は、両サイドへのコントロールには優れています。しかし昨秋もそうだったのですが、ストレートで仕留めにゆこうと力を入れると、ボールが高めに浮いたりして制球を乱す傾向にあります。球質も手元ピュッと切れるとかグ~ンと伸びるような空振りを誘える球ではなく、あくまでも勢いと球威で詰まらせるタイプ。三振を奪おうと思うと、コースいっぱいにズバッと決めて見逃しの三振を奪えないと苦しくなります。別の言い方をすれば、コーナーにビシッと決めての爽快感を持っています。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0

 スライダーでカウントを整えるのが基本パターンなのですが、結構緩いカーブも使って目先を変えようとしてきます。このカーブのブレーキは悪くないのですが、スライダーは平凡です。他にもチェンジアップなどもあるのですが、打者の空振りを誘うような絶対的な変化球はありません。そのため追い込むと、力を入れたストレート勝負になる。その球がボールになったり、甘く高めに浮いたところを打たれてしまうというケースが失点するパターンであるように思えます。

その他

 クィックは1.05~1.15秒ぐらいとまずまず。走者がいても、じっくりと動きを観て投球することができています。牽制もそれなりに鋭く、あとはフィールディングなどがどうなのか気になる部分です。

(投球のまとめ)

 確かにシーズンでは不調だったのですが、コロナなどの関係もあり致し方なかった部分もあるのかなと。3月のオープン戦で見た時は、変わらず順調だった印象で悲観することはないかと思います。その一方で、昨秋もそうだった追い込んでからの投球に課題を残す格好だったり、まだ変化球に絶対的なものがないなど課題もそのままだった感じがします。このへんが、秋のシーズンで何処まで改善されているかで、評価は変わってくるように思えます。


(成績から考える)

 オフシーズンに作成した寸評では、フォーム分析をしました。今回は、残した成績から傾向を考えて行きたいと思います。あまり参考にはならないのですが、この春の成績は 

3試合 19回 10安打 13四死 19三 防 3.32

1,被安打は投球回数の80%以下 ◎

 不調だったこの春でも、被安打率は 52.6% と文句なしの数字です。変化球を交えたコンビネーションで、相手に的を絞らせないということはできていたということでしょう。

2,四死球は投球回数の1/3以下 ☓

 この春の四死球率は、68.4% と、非常に制球を乱したことがわかります。通算でも 54.1% ということを考えると、元々かなりアバウトな制球力。さらにそれが、この春は乱れていたことが伺えます。

3,奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ◎

 奪三振は投球回数と同じ19個であり、1イニングあたり1.0個。実は、通算でも投球回数と奪三振が一緒であり、この点では大きく変わっていませんでした。

4,防御率は1点台以内 △

 この春の防御率は、3.32 と論外。通算では 1.95であり、本格的に先発を経験しはじめた3年秋は、1.72 という成績でした。ただし地方リーグの選手だけに、上位を狙うのであれば0点台ぐらいの絶対的なものがみたいところ。そういった意味では、秋へ宿題を残した形です。

(成績からわかること)

 ストレートのコマンドは低くないとは思うものの、想像以上にコントロールが悪かったこと。またリーグ戦での実績では、そこまで絶対的なものは残せていない。この春の不調は度返しできる事情があるにしても、けしてまだ完成された投手ではないということが浮かび上がってきた。これからの、四死球率や防御率の改善が望まれる。


(最後に)

 春のオープン戦までは、これまでどおりの鈴木だった気がします。シーズンに入って不調に陥り、変化球を多く交えるしかなくなったのかもしれません。しかし課題である武器になる変化球の修得や、制球力の改善がなされていなかったので、思うような成績が残せなかったのではないのでしょうか。それだけに秋では、真価が問われるところです。順調さを取り戻せば上位指名・さらに上積みが感じられれば、1位の12人の中に入ってきても不思議ではありません。期待して、その時が来るのを待ちたいところであります。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)


(2021年 春季オープン戦)










鈴木 勇斗(創価大3年)投手 172/78 左/左 (鹿屋中央出身) 





 「コントロールも悪くない」





 今年の大学生投手の中でも、最上位ランクに位置される 鈴木 勇斗 。左腕から繰り出す150キロ級の球威・球速は確かだが、四死球が多くコントロールがアバウトなのが不安材料。しかし、横浜市長杯・桐蔭横浜大戦では、疲労もあったのだろうが丁寧に投球する姿が印象的だった。力んで速い球を投げようとしなければ、元来はそれほどコントロールが悪い投手ではないのかもしない。


(投球内容)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。横浜市長杯の桐蔭横浜戦は、4回を投げて4安打・1三振・1四死球と、疲れから元来のできからは程遠い内容でした。しかし、その前の上武大戦では、3回2/3イニングで無安打・5者連続三振を含ぬ9奪三振と圧巻の内容でした。またこの試合では、自己最速となる152キロを記録しました。

ストレート 145~152キロ 
☆☆☆★ 3.5

 連投となった決勝の・桐蔭横浜戦では、明らかにボールの勢いが鈍っていました。前日に投げた上武大戦では、コンスタントに145~152キロの球速を叩き出していましたので。ただし、それほどボールがキレるとかグ~ンと手元で伸びる感じではないので、球速が出ていないときは特に苦しいです。また速い球を投げようとすると、制球を乱す傾向にあるようです。

変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブ 
☆☆☆ 3.0

 結構緩いカーブを、桐蔭横浜戦では使ってカウントを稼いでいました。またカーブと割合似た軌道のスライダーでも、カウントを稼いできます。その他チェンジアップ系もあり悪くないのですが、何かこの球を投げれば空振りを奪える、そういった変化球はないように思います。あくまでも速球を魅せてからの緩急だったり、カウントを稼ぐための球といった位置づけでしょうか。

その他

 クィックは1.05~1.15秒ぐらいとまずまず。走者がいても、じっくりと動きを観て投球することができていました。牽制もそれなりに鋭いのですが、フィールディングの際に暴投していたのは偶然だったのか注意してみたいポイントです。

(投球のまとめ)

 常時140キロ台後半の速球を観ていると、想像以上に上武大打線の野手達が苦労していた感じがしました。どちらかというと、ゲームメイクする先発よりも、リリーフタイプなのかな?といった感じを受けています。ただし最終学年では、先発での起用を求められるでしょうから、そういった中でどんな結果を残せて行けるかではないのでしょうか。





(投球フォーム)

 セットポジションから足を引き上げる勢いや高さがあり、足を曲げ伸ばししてタイミングを図り難くしています。ただし軸足一本で立ったときのバランスは直立気味で、膝に余裕がなく力みを感じる立ち方だったのは気になります。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としには、甘さは残すものの三塁側(左投手の場合は)には落とせていました。そういった意味では、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げても無理はそれほどないのではと。

 「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間は並ぐらい。一通りの変化球を投げられる下地はありますが、曲がりの大きな変化球の習得は厳しく、武器になる球を見出だせずに苦労する可能性は否定できません。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで身体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込めています。そのため、両サイドへの投げわけは安定しやすいのでは? また足の甲での地面の捉えは少し浅いので、力を入れて投げると浮き上がろうとする力が抑えられずボールが上吊りやすいと考えられます。「球持ち」自体はそれなりで、指先まで力を伝えられある程度コントロールできるのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻はある程度は落とせているので、カーブを結構使ってきても窮屈にはなり難いのでは? したがって、肘などへの負担はあまり気にしなくても良い気がします。

 ただし、ボールを持っている肩は上がりグラブを抱えている肩は下がってリリースしているので、肩への負担は多少感じます。またリリーフだと力投派になるので、疲労などを溜めないように注意したいところ。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りもそこそこで、ボールの出どころは隠せてはいます。そのためコントロールミスをしなければ、痛手は喰らい難いのではないかと。

 腕が短い体型なのか? 投げ終わったあと身体に絡んで来ないのは気になりました。またボールに体重を乗せてリリースはできているのですが、投げ終わったあと体重が流れバランスを崩しています。結局ステップの幅が適性でないので、ボールにダイレクトに力が伝えきれず、エネルギーをロスしていることが伺われます。ボールの質が、そこまで来ている感じがしないのはそのせいでしょうか?

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点はないのですが「体重移動」にはまだ改善の余地があると思います。力んで投げなければ、そこまでコントロールを乱さないこと。一通りの球種は投げられる土台はあるものの、武器になる球種を身につけられるかは微妙です。また力んで投げなければ、故障のリスクも高くないとは考えられます。技術的には、良い部分も悪い部分も同居し、トータル的には可も不可もなしといった感じでしょうか。


(最後に)

 イメージ的には、佐々木健(富士大-NTT東日本-西武2位)左腕のようなタイプであるように思います。現在大学生としては、トップクラスに位置している選手で、順調に最終学年アピールできれば上位で指名されても不思議ではない存在かと。ぜひ、大学選手権などの全国大会で、その存在感を遺憾なく発揮してもらいたい一人です。その期待に応えれてくれそうなだけの、投げっぷりも良さもある投手なので。


(2020年 横浜市長杯)