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上川畑 大悟(日ハム)遊撃手のルーキー回顧へ







上川畑 大悟(23歳・NTT東日本)遊撃 167/71 右/左 (倉敷商-日大出身) 
 




 「打撃はひ弱い」





 昨年ドラフト解禁の年だったが、指名漏れした 上川畑 大悟 。果たして今年は、昨年から何が変わって指名されたのか考えてみた。


走塁面:☆☆☆ 3.0

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.05~4.10秒 ぐらいとドラフト指名される左打者としては平均的。けして動けない選手ではないが、積極的に盗塁を仕掛けてくるといったほどでもない。日大時代も、1年秋からレギュラーとして出場していましたが、1シーズン0~2個ぐらいといった感じでした。

守備面:☆☆☆☆★ 4.5

 球界の名手だった 井端弘和(元中日)氏が絶賛したように、バウンドの合わせ方・グラブさばき・打球への反応など、実に無駄がなく落ち着いて処理できています。ただし、日大時代は京田と二塁間を組んでいたように、ショートとしては送球が弱々しいのはどうしても気になります。それも含めて計算して送球はしているのですが、プロの遊撃手としてはちょっと物足りないものも感じなくはありません。


(打撃内容)

 今年は、結構見るたびにヒットは出ていた気はしました。ただし、都市対抗の内容を見ていても、プロを想定するとスイングが弱々しいのは否めません。元々東都通算打率.274厘と、全く打てないわけでも当て勘が悪いわけでもないのですが。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、バットは短く持ってグリップを下げ気味に構えます。少し背中を前に倒して覆いかぶさるようなスタイルで、全体のバランスとしては癖があり、両眼で前を見据える姿勢も並ぐらいでしょうか。昨年までは、オーソドックスな左オープンスタンスだった記憶があるので、かなり構えは変えてきた気がします。まぁ構えは、本人が一番しっくりした形で構えのが好いとは思うのですが。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。ギリギリまでボール引きつけてから動き出すので、長距離打者や生粋の二番打者に多く見られる始動のタイミングです。昨年までは「平均的な仕掛け」だったので、幾分遅くしてボールを良くみることを重視したのでしょうか?

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は短く、それだけ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプなのではないのでしょうか。昨年は、アウトステップさせていたので、この辺もだいぶいじってきました。踏み出した前の足は、しっかりインパクトでもブレずに我慢。逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び越えているところは好いところ。ただし、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出しは、上から振り下ろすインサイドアウトのスイング軌道。インパクトまでロスなく捉えられるのですが、木製バットでプロレベルの球に対しては、もう少しバットのしなりを生かさないと飛ばないかもしれません。

 それでもヘッドも下がることなく、ボールをフェアゾーンに飛ばすのは上手そうです。社会人でもある程度やってきた選手なので、それなりにプロの投手相手でも対応する術は持っているとは思うのですが。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は小さい。身体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられ軸は安定しています。

(打撃のまとめ)

 構えや始動のタイミングなどを変え、踏み出すステップの方向にも変化が見られました。それでもバットの振り出しやそれを支える足元は盤石なのは変わっていませんし、おさえるべきポイントはしっかりおさえつつの修正なので方向性は悪くなかったと思います。それだけ、自分の感覚に足したスイングを追求した結果なのでしょうから。


(最後に)

 走力は平凡で、打撃は一軍の投手に対応するのには苦労するのではないかとみています。しかし、こと守りに関しては即一軍に混ざってもやって行けることでしょう。あとは、肩の弱さなど送球の部分で使い続ける中で物足りなさが出て来ないのか気がかりです。それでも「守備」という、明確なアピールポイントがあり、「上手いショート」が欲しいといった球団には好い選手を獲得したのではないのでしょうか。ただ今年指名される決め手になったものはあまり明確なものはなく、むしろこういった守備型の選手が欲しいという需要があったことが大きかったのではないのでしょうか。


蔵の評価: (下位指名級)


(2021年 都市対抗)










上川畑 大悟(22歳・NTT東日本)遊撃 167/70 右/左 (倉敷商-日大出身) 
 




 「源田になれるのか?」





 球界の名手だった 井端弘和氏が、「守備だけならプロで充分通用する」と太鼓判をおす 上川畑 大悟 。同じ社会人からプロ入りし、球界を代表する遊撃手に育った 源田 壮亮 のパターンに似ている印象を受けるのだ。それは、源田もトヨタでは9番を打つなど下位打線を担っており、都市対抗でも9番を担っていた 上川畑 と状況が似ているからだ。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から4.1秒強とドラフト候補としては 平均的 。日大でも1年秋からレギュラーとして出続けたものの、4年間の通算盗塁数は僅かに6個 。けして動けない選手ではないが、足でガンガンアピールするタイプではない。

 最大の売りは、まさに遊撃の守備にある。特に守備範囲が広いことと、捕ってから投げるまでの動作が非常に素早いところに特徴がある。またあまり地肩は強くないのかなと思ったら、深いところからノーバウンドで送球するなど想像以上のものがある。しいて気になるのは、捕ってから投げるまでの素早さを追求するためか? 送球がちょっと雑に見えてしまうところ。指先まで力が伝える前に投げてしまい、その点で送球の精度はどうなのか? という疑問は残ります。そのため、このポイントは一年間みて見極めたいところです。ただしプロに入っても、源田のような名手級になっても不思議ではない素材ではあります。


(打撃内容)

 東都での通算打率は、打率.272厘と可も不可もなしといった感じ。しかし3年秋のシーズンでは、打率.386厘(1部で4位)の好成績も残しており、潜在能力自体が低いとは言い切れない気がします。社会人一年目は都市対抗でヒットは打てなかったものの、日本選手権では7打数4安打と結果を残し明るい兆しは見えてきました。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足をしっかり引いた左オープンスタンスで、グリップを高めに添えています。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと、構え自体は良い構えだと言えるでしょう。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきった底の時点で動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性や長打力を備えた、中距離打者や勝負強いポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。彼のプレースタイルから言えば、若干始動を早めて対応力を重視しても良いのではないかとも思います。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応しやすい。アウトステップを採用するように、内角への意識が強いことがわかる。

 踏み出した前の足は、インパクトの際にブレずに止まっている。そのためアウトステップでも甘めの外角球や高めの球ならば、素直にはじき返すことは可能ではないのだろうか。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力むことなくボールは呼び込めている。バットの振り出しにも癖はなく、インパクトまでロスなく捉えることができている。インパクトの際にもバットの先端であるヘッドが下がることなく捉えることができ、打ち損じが少なくフェアゾーンボールには飛びやすい。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは並で、目線の上下動も平均的。体の開きは我慢できていて良いのだが、軸足が少し前に傾きがち。体が前にツッコみ過ぎないように、常にチェックは入れておきたい。思ったよりも内モモの筋肉は強そうで、強烈な打球を生み出す下地はあるのではとは感じてしまう。

(打撃のまとめ)

 タイミングのとり方は平凡だが、特に下半身の使い方や上半身の使い方にも大きな欠点は見当たらない。やはりドラフト候補としては打撃が弱いかなという印象はあり、それをプロとして許容範囲のレベルまで引き上げてこられるかが指名の有無には関わってくると思われる。


(最後に)

 ショートという特殊なポイントを、きっちり守れる素材 という付加価値は確かなので、そこをしっかりアピールできれば充分に指名圏内に入ってくるのではないのだろうか。あとは、スローイングの精度が実際どの程度なのかどうかが、見極めたいポイント。ただし源田のトヨタ時代は下位にいたが、愛知学院大時代は打撃でも良いものを示していた。それに比べると上川畑は、やや大学時代から非力な印象を受けていたので、そのへんは根本的に打者としての資質に差があるのではと感じる部分ではある。それでも社会人では数少ない、指名を意識できる野手なのは間違いない。


(2019年 都市対抗)









 スピード感溢れる守備・走塁が魅了の選手。今春のリーグ戦では 0本 7点 2盗 打率.269厘 と平凡ですが、11四死球を選んでおり出塁率の高さは光ります。俊足ぶりならば、同じく代表に選ばれば 米満 凪(奈良学園大)の方が目立ちますが、一歩目の反応鋭く広い守備範囲を誇る守備では上をゆくように思います。

 こと守備に関しては、大学球界でもトップクラスではないかと。プロとなると微妙ではあるのですが、遊撃守備という武器があるだけに、順位「にこだわりがなければ可能性がないわけではありません。しかし常識的にみると、社会人に進むタイプなのではないのでしょうか。 

(2018年 平塚合宿)