20sy-15





古長 拓(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







古長 拓(26歳・BC福島)内野 164/67 右/右 (九州国際大付出身) 
 




 「謎指名」





 隠し玉というよりは、指名されてもなお何故指名されたのかと不思議に思ってしまうのが、この 古長 拓 。過去の試合を遡っても、なかなか出場している試合を見つけるのが難しいレアキャラなのだ。試合の途中から出場することも多く、20年度は 36試合・58打数 0本 2点 打率.155厘 。今年の成績がたまたま悪かったのかと思ったが、前年も 44試合で打率.239厘と独立リーグでも物足りない数字となっている。


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁到達タイムは計測できず。この2年間の80試合で盗塁は1個と、少なくても足でアピールするプレースタイルでは無さそうだ。チームでは2番のようなつなぎ役を任されることはあるものの、基本的に6番以降の下位打線で出場していた。

 守備に関しては、主に三塁を担い、他には DH・二塁・左翼 など何処でも守れるユーティリティプレーヤー。2年間で80試合に出場して、失策は1個というのは優秀。ただしセンターラインを守れるというよりは、ほとんど三塁での出場なので、実際何処まで融通がきく選手なのかも未知数。守備が、めっぽう上手いから獲得したというわけでも無さそうなのだ。





(打撃内容)

 幾つかの打席を見る限り、右方向へはじき返す打撃を意識しているのかなという印象。バットを短く持って立っており、長打で魅了するタイプではない。スカウトのコメントを見る限り、バットコントロールが巧みなのが一つ優れた資質だそうだ。そこで、打撃フォームを分析してみると

<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いてカカトを浮かしながら、グリップは高めに添えられています。腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては平均的な構えでしょうか。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈みだして動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多く観られる始動です。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く引き上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい万能型なのでしょう。

 踏み出した足元は、インパクトの際にブレずに止まっています。そのため逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができます。少しステップが狭い踏み込みなので、本来は引っ張りたいタイプなのかなと思える部分はあります。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めているところは良いところ。バットを短く持って上からコンパクトに当てて来るインサイドアウトのスイング軌道であり、当てること自体は下手ではないはず。

 気になるのは、バットの先端であるヘッドが少し下がりがちでファールになる打球が多いのではないかと。最短距離にバットを出して来るスイングなので、プロレベルのスピードやキレ・球威に打球が飛ぶのかな?という不安はよぎります。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げも静かで、目線の上下動は少なめ。それだけ錯覚を起こすことなく、ボールを追うことができている。踏み込んだ足元も閉じられており、開きは我慢できている。気になるのは、軸足が打つ瞬間に後ろに下がって打ちにゆくこと。すなわち振り始める時に適正な位置に軸足がないので、振りやすくするために自然と後ろにズレているということ。これは恐らく、ステップの幅が狭く窮屈になるので自然と軸足をズラしてスイングしやすくしているのだろう。

(打撃のまとめ)

 ボールを当てるまでの動作は、無駄を極力廃していたり、目線のブレの少なく当てるのは上手いのではないかと感じられる。その一方で、今の打ち方だとプロレベルの球をまともに打ち返せるのか?という不安はどうしても残ってしまう。独立リーグレベルでも、打撃では厳しい数字しか残っていないだけに。


(最後に)

 三軍を運営してゆく上で、何処でも守ってくれる融通さと、野球に向かう熱い姿勢や明るいキャラが必要とされての指名ではないのだろうか。彼個人の活躍よりも、チームに好影響を及ぼす。そういったことを期待されての指名ではないかと想像するがどうだろうか? こういった指名が、どのようにチームに波及するのか密かに気にしてみたい。残念ながら判断する材料が不足しているので、評価付けはご了承願いたい。

(2020年度 リーグ戦)