20sy-12





宇佐美 真太(20歳・徳島ID)外野&一塁 177/73 右/両 (大阪偕星学園出身) 
 




「ハンドリングが光る」 





 四国アイランドリーグ参加2年目を迎える、宇佐美 真太 の打撃センスが際立っている。ドラフト候補になりうる選手が多い徳島インディゴソックスだけに、ここの試合を見る機会が多い。その中でもチームの1番打者を担う宇佐美は、どの試合でも光るところを魅せてくれている。


(守備・走塁面)

 大阪偕星学園時代は、セカンドを守っていたようです。またアイランドリーグ開幕戦では、外野手登録ながら一塁で出場していました。しかし今は、外野での出場に戻っています。中堅手としての打球勘や肩などはイマイチわからないところもあるのですが、俊足を生かした広い守備範囲を誇ります。

 走力は、右打席から計測したときで4.25秒弱。これを左打者に換算すると、3.9秒台の俊足です。出塁すれば、さかさず盗塁を試みる積極的なスタイル。さらに外野手がもたつけば、隙きをついて果敢に次の塁を陥れるなど集中力・判断力も悪く有りません。一塁を守ることがあるのは気になりますが、走力には確かなものがありそうです。





(打撃内容)

 バットコントロールに優れているだけでなく、ボールのさばき、打球の鋭さにも目を見張るものがあります。潜在的には、かなり高いものを秘めているのではないかとみています。リーグ戦の成績はそれほどでもなかったのですが、NPBで才能が花開いた 角中 勝也(ロッテ)外野手とダブるものがあります。あくまでも長打で魅了するといったタイプではなく、対応力のあるアベレージタイプのスイッチヒッターです。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほんの少しだけ前の足を引いていますが、ほぼ両足を揃えたスクエアスタンス。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと、それなりといった感じの構えです。両打席ともに、構えに関してはあまり違いはありません。

<仕掛け> 遅め&平均

 投手の重心が沈みきって前に移動する段階で動き出す、「遅めの仕掛け」を左打席では採用します。右打席では、投手の重心が下がりきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」と左右で動き出すタイミングが違います。左打席は、よリギリギリまでボールを見定めてから動き出す、生粋の二番タイプといった感じ。右打席は、対応力と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動です。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 左打席では、小さく地面から足を浮かせる程度で真っ直ぐ踏み出します。始動~着地まで「間」は短く、狙い球を逃さず叩くタイプの打撃になります。一方右打席では足を引き上げて真っ直ぐ踏み出してきます。こちらは、ある程度の対応力と長打力を兼ね備えたタイプの打撃になります。左打席だと確実性よりも一振り必殺のような破壊力重視のスイングなので、アベレージ打者に見えるものの、率の残し難い打ち方をしているのは気になります。

 両打席に共通するのは、真っ直ぐ踏み出すこと。そのため内角でも外角でもさばきタイプで、特に膝を柔らかく使って低めの球を上手く拾うのが得意です。また踏み込んだ足元はブレずに止まっているので、逃げてゆく球や低めの球にも喰らいつけます。気になるのは、ステップの幅が狭すぎて早く地面を捉えてしまうこと。それを補う意味で始動が遅いのかもしれませんが、早く地面を捉え過ぎてしまうと下半身が固定されて、上半身だけで対応しないといけなくなってしまいます。本人の感覚の問題でもあるので微妙なのですが、幾分始動を早めてステップももう少し広げた方が幅のある打撃ができそうな感じはします。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。左打席のときには、けしてインサイドアウトのスイングではないのですがインパクトまでロスなく振り抜けています。逆に右打席の場合には、少し遠回りにバットが出てきます。インパクトの際にも、バットの先端であるヘッドが下がらず、ボールを上手く拾うことができています。

 手元でバットコントロールできるハンドリングの柔らかさには天性のものがあり、それでいてボールのさばきも悪くありません。まして振り出しは鋭く、巧打者でもひ弱さを感じさせないところは良いところ。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目線の上下動が非常に少ないです。また身体の開きも我慢でき、軸足にも粘りが感じられます。ただしステップが狭いことで、軸足が地面から真っ直ぐ伸びて回転できていないのが気になる部分ではありました。

(打撃のまとめ)

 天性のハンドリングとさばきの良さなど上半身の使い方は非凡ですが、始動が遅すぎること下半身の使い方が気になるところ。軸もしっかりしているので、良い指導者に巡り会えればグングンその才能が伸びてゆくかもしれません。


(最後に)

 走力と打撃の非凡さは感じますが、守備・肩あたりの能力をもう少し正確に把握したいところです。まだ高卒2年目の若さの選手なので、NPBで気になるスカウトは気になる存在になりえるのではないのでしょうか。独立の野手はあまり把握できていないのですが、この選手は現時点では最も気になる存在として、今後も継続して注目して行きたい選手でした。


蔵の評価:
追跡級!


(2020年 リーグ戦)