20sy-1





今川 優馬(日ハム)外野手のルーキー回顧へ







今川 優馬(23歳・JFE東日本)左翼 176/84 右/右 (東海大四-東海大北海道出身) 
 




 「都市対抗の1試合のみ」





 20年度に、今川 優馬 のプレーを確認できたのは、都市対抗の1試合のみだった。しかしその試合では、4打数0安打に終わり、充分なアピールができないまま終わってしまった・・・。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間は、右打席から4.45~4.25秒ぐらい。これを左打者に換算すると、4.2~4.0秒ぐらい。これをドラフト指名される右打者としては、中の上 ぐらいの脚力になる。現在はそれほど走力を全面に出したプレースタイルではないが、この前向きな性格からも積極的に走る勇気も持っているのではないかとみている。ルーキーイヤーだった19年度の公式戦では、109打数で7盗塁を記録。これを、プロのレギュラークラス並の500打数で計算すると、1シーズン32盗塁ペースで走っていたことになる。プロで足を売りにするほどでないにしても、年間10盗塁ぐらいは記録できる脚力はあるのではないかとみている。

守備面:☆☆☆ 3.0

 都市対抗では左翼を守っていたが、20年度の別の試合ではセンターなども守っていた。打球への反応や落下点までの入りは特に上手いとは思わないが、球際でのキャッチングでは強さを発揮する。肩も  ぐらいのレベルにありそうで、トータルでは平均的な守備力あるのではないのだろうか。

 本人のコメントなどを訊いていても、守備への意識・意欲は高い。さほど肩が強いわけではないので、プロだと右翼だとやや物足りない。守備範囲などの観点からも、中堅手としては微妙なところ。しかし左翼手としてならば、プロでも上手い部類になるのではないかと。そのため、彼を左翼におけるような布陣を作れると、守備でもアドバンテージが期待できるのではないのだろうか。


(打撃内容)

 19年度の成績をみると、109打数 4本 22点 7盗 打率.330厘 という数字に。社会人の場合、打率3割5分以上が一流であり、4割を越えるようだとプロでも即戦力が期待できるレベルにあるといえる。そういった意味では、プロを想定すると少し粗いのかもしれない。イメージ的には、長距離砲というよりも、パンチ力を秘めたポイントゲッター と印象が強い。

<構え> 

 前の足を軽く引き、グリップの高さは平均的。腰を深く沈め、お尻を後ろに引きすぎているので全体のバランスとしてはどうだろうか? 両眼で前を見据えるという意味では、まずまず。独特の構えであるが、構えは
本人がシックリくることが一番大事だと思うので、個性的な構えでも問題はないと思っている。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がる時にベース側につま先立ちし、投手の重心が沈みきったあたりから前に重心移動する段階で動き出す「平均的な仕掛け」~「遅めの仕掛け」あたりで動き出してくる。昨年は、「遅め」~「遅すぎ」のタイミングだったので、その点は少し始動を早めて遅れないような意識が持てているようだ。

 この仕掛けは、中距離打者やポイントゲッター ~ 長距離打者 に多く見られるタイミングであり、彼のプレースタイルにも合致しているのではないのだろうか。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を一度ベース側につま先立ちし、小さくアウトステップしてくる。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。軽くアウトステップすることからも、内角への意識が少し強いのではないのだろうか。踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレずに我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができる。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で力みがないのは良いのだが、全体的にバットを引くのが遅れがちなのは気になった。始動を早めても、打撃の準備段階である「トップ」を作るのが遅れてしまうと、タイミングがしっかりとれず消化不良なスイングになりやすい。

 振り出しも、外角の球に対しては少し遠回りにバットが出てくる感じで、ある程度のロスは感じられる。それでいて、インパクトの際にはバットの先端であるヘッドが下がっておらず、広い面でボールを捉えてくる。外角の球は、フェアゾーンには飛びやすいが打球の角度はつき難いのではといった感じがする。

 逆に内角の球に対しては、下からすくい上げるような軌道なので長打が生まれやすい。彼のホームランは、引っ張り込めるボールに多いのではないかといった印象を受けた。特に内角の球をさばく時は、バットの角度だけでなくフォロースルーも使ってボールを遠くに運ぶことができている。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さく、目線はあまり動かない。身体の開きも我慢でき、軸足の形も崩れず安定している。豪快に振ってくるイメージが強いが、強い上半身の振りに対し下半身がしっかり受け止めることができている点は評価したい。

(打撃のまとめ)

 「トップ」を作るのが遅れがちだったり、外の球を捉えるまでの軌道が少し遠回りに感じられる。そういった意味では、対応力にまだ課題があるのではないかと見ている。そのため、一年目からバリバリに打撃で異彩を放てるのか?と言われると疑問が残る。しかしゲームに入ってゆくのが上手く、自らを乗せるのが上手い。プロの水が合えば、どんど自信を付けて成績は向上して行けそうだ。

 アマチュアだとスラッガーのイメージが強い選手だが、プロでは 2割6分・20本 タイプの打者になれればといった感じがする。その時に、守備・走塁も無難なレベルにあれば、レギュラーを狙えるのではないかとみている。チームに元気を与えてくれるムードメーカーでもあり、そういった成績には現れ難い部分にも期待ができ、6位で彼を獲得できたのは大きかったのではないのだろうか。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年 都市対抗)










今川 優馬(22歳・JFE東日本)外野 176/80 右/右 (東海大四-東海大北海道出身) 





 「勝負を楽しめる」





 独特のフォームから本塁打を連発する 今川 優馬 。しかし私がこの選手で買うのは、強打者向きな性格にある。打席ではいつも笑顔を絶やさず、実に試合に入ってゆくのが上手い。その場で悔しがっても、次の打席の対戦をまた楽しみにできる。そういった切り替えの効く性格は、プロの強打者には不可欠な要素なのではないのだろうか。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間は、右打席から4.45~4.25秒ぐらい。これを左打者に換算すると、4.2~4.0秒ぐらい。これをドラフト指名される右打者としては、中の上 ぐらいの脚力になる。現在はそれほど走力を全面に出したプレースタイルではないが、この前向きな性格からも積極的に走る勇気も持っているのではないかとみている。少なくても走力で、足を引っ張るということは無さそうだ。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 打球への反応や落下点までの入りは上手いとは思わないが、球際でのキャッチングでは強さを発揮する。肩も 中 ぐらいのレベルにありそうで、トータルでは平均的なレベルにはあるのではないのだろうか。プロのセンターやライトとなると物足りないところはあるが、レフトならば合格レベルの選手にはなりそうだ。






(打撃内容)

 確率は高くなくても、一発長打で流れを変える、そういったことに主眼が置かれたスイングであるように思います。かなり独特のメカニズムなので、誰もが真似できるわけではないのですが、彼の感性に合っていればアリなのではないかと思っています。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を引いて、つま先立ちして構えます。グリップをあらかじめ捕手方向に引いて添え、後ろ足に重心を預けて立っている。重心を深く屈めて構え、両眼で前を見据える姿勢は並みぐらいだが、全体のバランスとしては癖のある独特の形になっている。ただし構えに関しては、本人がしっくり形に立つのが一番大切なことではないかと考えている。

<仕掛け> 遅め~遅すぎ

 投手の重心が沈む時に、スタンスを狭めてつま先立ちする。本格的に動き出すのは、投手の重心が前に動き出す段階で動き出す「遅めの仕掛け」~リリース直前に動き出す「遅すぎる仕掛け」あたりに見える。

 そのため、全体の動作が遅れ過ぎないように注意したい。「遅めの仕掛け」ならば、長距離打者に多く見られる始動のタイミングなので、彼のプレースタイルとも合致しているだろうし、遅すぎるとプロのスピードやキレに対応するのは後手後手になってしまう。特に打撃のアクションが、シンプルな選手ではないので。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げて、真っ直ぐからベース側に離れた方向にアウトステップして踏み出して来る。始動~着地までの「間」が充分取れないので、いろいろな球に対応するというよりも、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」がより求められる。

 真っ直ぐ踏み出すのは、内角でも外角でもさばきたい意志の現れ。アウトステップすることが多いのは、より意識が内角寄りにあり引っ張る打撃を好む傾向が強いからではないのだろうか。また踏み込んだ前の足は、インパクト際にブレずに止まっている。そのため腰の開くのが早くアウトステップする彼の打撃でも、甘めの外角球や高めの球ならば右方向に打ち返すことができる。

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 ボールを呼び込む際に、軽くグリップの位置が上がりヒッチ気味になる。個人的には彼なりのタイミングのとり方だと思うのであまり気にしないのだが、余計な動作だと気にする指導者や関係者もいるかもしれない。バットの振り出しも、ヘッドが少し遠回りに出てくるので、ボールを捉えるまでにロスがある。そのためバットのしなりを活かして飛ばせるぶん、確実性が高いスイングとは言えない。

 それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドはあまり下がってはいない。そのためフェアゾーンにはボールが飛びやすいし、ドアスイングというほどでロスは大きくはなっていない。何より、最後まで思い切ってフルスイングできる振る力と勇気を持っている。基本的に、フォロースルーでボールを運ぶというよりも、ボールに角度を付けて飛ばすのが上手い感じの打者に見える。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 深く屈めていた身体を引き戻す時に、目線の上下動が大きくなる。そのため目線が動き、ボールを正確に捉え難いのではないかと気になる。腰は早く開くものの、踏み込んだ足元が止まるので開きをある程度のところで止めて我慢できている。軸足も地面から比較的真っすぐ伸びているので、軸回転でスイングはできている。

(打撃のまとめ)

 かなり独特のメカニズムなので、評価は別れるタイプの打者ではないかと思います。個人的には全てを打とうとは追求せずに、打てる球が来たら最大のダメージを与えるということに主眼を置いた割り切ったスイングだと感じられる。ボールを捉えるということに関しては粗さは感じられるものの、ボールを見極める「眼」はある選手なので、打者としてはさらなる高みも目指せるのではないかと評価している。

 現状は、チェンジアップで抜かれたり緩い球に脆い印象なのと、基本的に外角低めに投げていれば痛手は喰らわないのではないかと。その一方で、内角の球をさばくのは想像以上に上手い印象を受けた。彼のようなタイプは、打てない球を打てるようにすることよりも、打てないボールをファールで粘るとか見極めて手を出さないことに意識を集中し、打てる球を逃さない打撃を目指すべきではないかと考えている。


(最後に)

 2割3分でも30本、そんな一発長打を放つ選手を求めている球団には面白い素材だと思います。かなり入る球団や周りの指導者に恵まれるかにも左右されそうですが、個性を尊重してくれる球団ならば凄い打者になれるかもしれません。乗っている時のプレーは良いので、逆にそうじゃない時のプレーぶり、年間を通しての安定感などに注視して1年間見守って行きたいと思います。


(2019年 都市対抗)