20sp-9





池谷 蒼大(21歳・ヤマハ)投手の最終寸評へ








池谷 蒼大(20歳・ヤマハ)投手 174/77 左/左 (静岡高出身) 
 




「大阪ドームだからなのか?」 





 都市対抗の時にはMAXで137キロしか記録できなかった 池谷 蒼大 。球速が厳しめな東京ドームに比べ、大阪ドームは球速が出やすい。果たして、球速の違いは単なるスピードガンの違いだからなのだろうか?


(投球内容)

 ノーワインドアップから、小さめなテイクバックで投げ込んでくるサウスポー。気持ちを全面に出した、攻撃的なピッチングスタイルに特徴がある。

ストレート 常時140キロ前後~MAX143キロ ☆☆☆ 3.0

 日本選手権の時の球速は、リリーフで常時140キロ前後から最速で143キロ。プロの左腕としてもやや物足りないぐらいの球威・球速ではあるが、テイクバックが小さくボール見難い上に、キレがあってピュッと来る感じで補えている。実際19年度の公式戦では、17イニングで18奪三振と投球回数を超える奪三振が奪えている。映像を見る限りは、球速の物足りなさは感じられなかった。

 その一方でコントロールは粗く、とりあえずストライクゾーンの枠の中に投げ込むといった感じに。17イニングで7四死球ですから、四死球率は41.1%。アバウトでも四死球は、40%以内には抑えたい。プロを目指すのであれば、もうワンランク上の制球力は身に付けておきたい。

変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブなど 
☆☆★ 2.5

 静岡高校時代から、曲がりながら沈むスライダーとのコンビネーションでした。チェンジアップ系の球もありますが、精度・キレがもう一つで信頼できるといったレベルでないことはあまり変わりません。以前はカーブも観られましたが、今回確認した投球では観られませんでした。以前はスライダーも甘く入る時があって結構痛打されていたのですが、昨年は17イニングで12安打と、被安打率は70.6%と低く、そういった球は減ってきた気がします。特に変化球が、低めに集まることが多くなった気がします。

(投球のまとめ)

 高校時代などは、マウンドさばきは良かったものの、ボールの勢いやまとまりに物足りなさが残る内容だった。しかしボールに勢いが出てきた上に、以前よりはコントロールの粗さが気にならないレベルまで来ている。社会人の2年間で、プロを意識できるところまで来ているのは確か。再び解禁を迎える今年、あと一歩の総合力を引き上げられるのか注目したい。そのためには何が足りないのか? フォームを分析して考えてみる。





(投球フォーム)

 足を引き上げる勢いはそれほどでもないのだが、高い位置まで引き上げてきます。軸足一本で立った時に膝に余裕があり、力みはなく立てています。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を、かなり二塁側に送り込む。そのためお尻はバッテリーライン上に残ってしまい、身体を捻り出すスペースは充分には確保できない。したがって、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種には適さない投げ方ではある。

 前には軽くステップすることで、地面を捉えるまでの「間」は平均ぐらい。身体を捻り出す時間は並なので、変化球のキレや曲がりは中途半端にはなりやすい。球速のある、小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのだろうか。


<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで身体の近くで抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めている。そのため軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつけやすいように見える。それでもかなりの力投派なので、軸はブレてしまっている恐れはあるが。

 足の甲の地面の捉えが浅く短いので、浮き上がろうとする力を充分抑え込めていない。そのため力を入れて投げると、どうしてもボールは上吊りやすいのではないのだろうか。球持ち自体は、けして悪くは無さそうに見える。しかし投球を観ている限りは、あまり指先の感覚に優れているようには見えない。


<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としは充分ではないものの、カーブは滅多に投げないし、フォークのような捻り出して投げる球種は観られない。すなわち、窮屈になる機会は少なく肘への負担は少ないのではないかと。

 多少ボールを持っている肩は上がり、グラブを抱えている肩は下がる形にはなっている。しかし極端ではなく、送り出しに違和感は感じられない。そういった意味では、肩への負担も大きくはないように見える。しいて言えば力投派なので、登板過多になった時に消耗が激しいのではないかという部分。そこからバランスを崩して、故障にという不安があるぐらいだろうか。


<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的だが、テイクバックが小さめでボールの出どころも隠せている。そのためボールが見えてから、一瞬でミットに収まっている感覚に打者は陥っているのではないのだろうか。また球質もキレがあり、打者としては差し込まれやすい。

 腕は鋭く振れているので、勢いがあり空振りは誘いやすい。足の甲の地面への捉えが浅いので、下半身のエネルギーをボールに伝え切れていない。どうしてもこうなると球威のある重い球は投げられず、上半身や腕の振りの鋭さでキレを生み出してゆくしかなくなる。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、下半身のエネルギー伝達ができない「体重移動」に課題を残す。「開き」はよく抑えられており、「着地」「球持ち」は平均的だろうか。

 故障のリスクや将来的に投球の幅を広げられるかは微妙なラインで、制球を司る動作に課題を残している。実戦での投球内容次第ではあるが、打ち難さはあるものの、技術的に高いとは言えない。



(最後に)

 マウンドさばきの良さを生かした、リリーフタイプとしてどうだろうか?といったタイプ。果たして勢いとキレで、プロの一軍打者を抑えこめるほどかは微妙な印象は受けた。しかし今シーズンの成長次第では、指名圏内に入ってきても不思議ではないレベルまでは来ている。その成長ぶりを、注意深く見守ってゆきたい。


(2019年 日本選手権)