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小沼 健太(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







小沼 健太(22歳・BC茨城)投手 189/86 右/右 (東総工業出身) 
 




 「何か変わったのだろうか?」





 昨年BCリーグ選抜の一員としてDeNA戦との交流戦で登板していた 小沼 健太 。果たしてこの一年で、何か大きな変化はあったのだろうか? 成績だけをみていると、むしろ昨年よりも数字が悪化しているようにも見えるのだが ・・・ 。


(投球内容)

 190センチ近い体格の長身選手で、真上から投げ込んでくる本格派です。ちなみに今年の成績は、30回1/3 39安打 15四死 22三 防 5.34 。ちなみに昨年の防御率は、3.68 でした。

ストレート 常時140キロ台前後~中盤 ☆☆☆ 3.0

 昨年生で見た時は、常時140キロ前後~MAXで89マイル・143キロぐらいでした。リリーフでイニング限定で投げた割には、打者を押し切るほどの圧倒的な球威・球速は感じませんでした。ただ年齢も若いですし、ボールにも角度を感じられる球で、プロで鍛えればもっと良くなるかなという期待込みで魅力を感じるタイプでした。今年の投球の模様も幾つかみたのですが、それほど変わった印象はありません。ただし球速は145キロ以上を計測していたので、若干パワーアップしている可能性があります。しかしそれも、単にガンの表示が甘かった可能性もありますが・・・。

 ボールはある程度両サイドに散らせる制球力はありますが、時々中に甘く入ってきます。今シーズンもリーグ戦で、30回1/3イニングで39安打と投球回数を上回っています。この傾向は、BCに参加した17年度から一貫して変わっていません。そのため結構打者からは、合わされやすいフォームなのかもしれません。

変化球 スライダー・フォーク・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0

 110キロ台後半のスライダーでカウントを整えたり、チェンジアップ系の小さく沈む球があります。フォークもストンと落ちるというよりは、スプリット的な小さな変化で引っ掛けさせる感じではないかと。そのため奪三振も、30回1/3で22個で、1イニングあたり0.73個と多くはありません。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒ぐらいと基準レベル。フィールディングは並ぐらいで、牽制もまずまずで、投球以外の技術に大きな欠点は見当たりませんでした。ただし、まだ間合いをうまく変えるとか、微妙なコースの出し入れをするとかいう繊細さは感じません。

(投球のまとめ)

 30回1/3イニングで四死球は15個と、ほぼ投球回数の半分。それだけに、制球力にも不安が残ります。独立で4年間やった選手ではありますが、野球に専念できるプロの環境でトレーニングを積み・プロの指導で何処まで内容を改善できるかではないのでしょうか? 昨年見た時は、育成でもあるかないかという感じだったので、今年はそのボーダーラインの内側に入ってきたということなのだと思います。


(投球フォーム)

 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。セットポジションから足を引き上げる、勢いや高さはそれなりといった感じ。ただし軸足一本で立った時に、膝がピンと真上に伸びがちで力みが感じられ、直立気味に立ってしまっている。

<広がる可能性> ☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の落としには甘さが残ります。したがってカーブやフォークを投げられないほどではないと思いますが、どうしても変化が鈍くなりがちなのではないかと。

 「着地」までの地面の捉えも平均的で、身体を捻り出す時間は並ぐらい。こうなると武器になるほどの変化球を身につけるというよりは、スライダー・チェンジアップ・カットボール・ツーシーム・スプリットなど球速のある小さな変化で打ち損じを誘うようなスタイルになるのではないのでしょうか。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は抑え込めています。そのため両サイドへの投げ訳は、比較的コントロールをつけやいのではないかと。足の甲の地面の捉えはできているのですが、その時間が短い。そのため浮き上がろうとする力を、何処まで抑え込めているかはわかりません。しかしボールが、高めに集まったり抜けたりすることは少ないように見えます。またボールの押し込みなどのリリースは、平均的といった感じ。指先の感覚がイマイチなのか? 四死球が多いのは気になります。

<故障のリスク> ☆☆★ 2.5

 お尻の落としが甘い割に、結構フォークを使ってくるのは気になります。そういった意味では窮屈になりがちで、肘への負担が少ないとは言えないでしょう。それ以上に、ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がりがちなので、送り出しには肩への負担を感じる投げ方です。適度な力投派でもあるので、疲労も溜め難いとは言えません。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並といった感じ。フォーム的には極端に合わされやすい感じはしなかったものの、実際には投球回数以上の被安打を毎年浴びているのは気になります。

 腕は適度に振れていて勢いは感じられるので、空振りが誘えそうなものの、球筋が読まれやすいのか? ボールそのものの問題なのかわかりませんが、奪三振も少なめ。ボールへの体重の乗せも発展途上で、まだ充分に乗せてからリリースできているとは言えません。このへんが変わってくると、球威や打者の手元までの勢いが変わってくるので、被安打も減ってくるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、特にどれも悪いというほどではないものの、全体的にはもっと良くなる余地が残されています。特に「体重移動」が改善されてくると、グッとよくなる可能性を感じます。

 制球を司る動作自体は悪くないと思いますが、故障のリスクがやや高いのと将来的に決め手不足を解消できるフォームなのかは微妙。それだけに技術的には、伸び悩むリスクは否定できません。そのへんは、今後の指導と本人の意識で結構変わってきそうです。


(最後に)

 なぜ今年?という疑問は残りますが、あくまでもめぐり合わせの問題なのかと。あくまでも勝手な想像なのですが、テストなどを行って関係者が気になったのがこの選手だったのかもしれません。スラッとした投手体型から、角度のあるボールはそれなりに見栄えがする選手だからです。そういったアピールのチャンスが、ロッテの関係者の評価に触れたのではないかと。だから昨年から成長したから指名されたとか、そういったこととは違うように思います。いずれにしても、あくまでも育成枠指名の選手であり、 を付けるほどの魅力は感じませんでした。本格派を育成するのが上手い、ロッテの導きに期待したいところです。


(2020年 リーグ戦)










小沼 健太(21歳・BC茨城)投手 188/78 右/右 (東総工業出身) 

 高校卒業後、BC武蔵などでプレーしてきた選手。ここまでのシーズンでは、9試合 2勝6敗 防 4.42 と際立つ数字ではありません。角度のある、速球が武器の若手投手です。球速はコンスタントに140キロ前後~MAX89マイル・143キロぐらいですが、角度を感じられるのでそれなりに見栄えはします。しかし、相手をねじ伏せるような絶対的なものはありません。キレのあるスライダーもあり、その球とのコンビネーションで他にフォークなどもあります。

素材としては長谷川より劣るものの、年齢が若いのでその辺はアピールポイント。昨年の独立リーガーは、年齢が行っている選手が指名されない傾向が顕著になっていたので、そういった意味では追い風は吹いています。内容的には、育成で指名があるかないかぐらいの位置づけではないのでしょうか。