20sp-2
戸田 懐生(20歳・徳島IS)投手 170/70 右/右 (東海大菅生中退) | |
昨年は、シーズン途中から登板しはじめ、リリーフ中心に17試合に登板。無失点で、シーズンを終えた 戸田 懐生 。そして二年目の今年は、シーズン開幕投手を務めるなどして、先発として一年間安定した成績を残してみせた。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を引き上げて曲げ伸ばしする二段階モーションで、投げるたびにタイミングを微妙に変えて投球するなど、先発投手としての工夫が感じられる2年目でした。 ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0 球速的には、ドラフト指名される投手としては平均ぐらいで驚くものはありません。しかしキレの良い真っ直ぐで、打者の空振りを誘える球質であり、球速表示以上に速く感じさせます。ボールは両サイドに散っており、真ん中~高めにゆく球が多い。それでも勢いとキレがあるので、高めの真っ直ぐで空振りを誘えていた。また、打者の内角を意識的に厳しくついてくる。アバウトだった球筋も、今年はだいぶ安定してきた。 変化球 カットボール・縦スラ・フォークなど ☆☆☆★ 3.5 右打者の外角に、小さくズレるカットボールでカウントを整えてくる。追い込むと縦に鋭く切れ込むスライダーやフォークなどを使い、この球の精度・キレとも悪くない。昨年は、曲がりながら大きく沈むドナックルカーブのような球を結構使っていた印象だが、そういった球はほとんど見られなかった。 その他 小柄で動きの良い選手で、牽制のターンも鋭い。クィックも1.05~1.15秒ぐらいと基準以上。足の上げ下げのタイミングを変えるなど、先発投手らしくなって投球術に磨きがかかった。昨年までは、投げっぷりの良い気持ちの強さが勝っていた感じのリリーフタイプだったのだが。 (投球のまとめ) 昨年と比べ、ボール自体が大きく変わった感じはしない。しかし、アバウトだった制球力は改善され、投げるタイミングを変えたりして投球の幅を広げつつある。そういったことを考え実行できる、投球センス・実行力・器用さを持ち合わせているは間違いない。逆に言えば、すでに持ちうる引き出しをかなり使ってしまっているので、プロ入り後の上積みがどのぐらい残されているのだろうか? (成績から考える) オフシーズンの間に作成したレポートでは、フォーム分析を行った。そこで今回は、シーズン通じて残した成績から考えてみたい。ちなみに20年度の成績は、17試合 9勝5敗 防 1.24(3位) だった。 1,被安打は投球回数の80%以下 ◎ 116回1/3イニングを投げて、被安打は79安打。被安打率は、67.9%で充分に基準を満たしています。ボールの威力だけでなく、変化球を交えたコンビネーションや足の上げ方を工夫するなどして、相手に的を絞らせなかったことが伺えます。 2、四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ◎ 四死球は23個で、四死球率は19.8%。 これも充分に基準を満たすだけの数字を残している。昨年の四死球率は、62.1%だったことを考えると、格段に制球力が改善されていたことがわかる。 3、奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 ◎ 1イニングあたりの奪三振は、1.19個と投球回数を上回るなど圧倒的な内容。昨年は、リリーフで1.09個だったので、先発でもボールの威力が昨年よりも引き上がっていたことがわかった。 4、防御率は1点台 ◯ 防御率は、1.24 と、基準を満たしている。ただし昨年はリリーフだったこともあるが、0.00 と無失点だったの比べると、先発である程度怖さも知った一年だったのではないのだろうか。ただし、元阪神にいた 歳内 宏明(香)は、今年0.42 という圧倒的な成績を残していたことを考えると、この数字がNPBレベルでみると絶対的なものではないことがわかる。 (成績からわかること) 課題だった制球力が大幅に改善されており、奪三振率も先発に転向しながらも増えている。そういった意味では、着実に進化・成長を続けていたのではないのだろうか。ただし、NPBの一軍を想定すると、まだ絶対的な内容かと言われると微妙なのではないのだろうか。 (最後に) 投げっぷりもよく、内角の厳しいところを突ける度胸も備わっている。それでいて、投げるタイミングを変えたり、多彩な変化球を操る器用さと冷静も持ち合わせていた。昨年よりも成長を続けており、懸念だった年間を通して安定した成績を残すということもできた。すでに独立リーグでやり残したことはなく、自信を持ってプロ入りしてきて欲しい。できれば完成度が高い投手だけに、2年以内には支配下を勝ち取って頂きたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2020年度 公式戦) |
戸田 懐生(20歳・徳島IS)投手 170/65 右/右 (KTCおおぞら出身) | |
東海大菅生時代には、下級生ながら甲子園でも登板した 戸田 懐生 。紆余曲折あって通信制の学校を卒業し、徳島の地で野球を続けている。昨年シーズン途中から加入して、17試合に登板し 1勝0敗5S で最後まで無失点を守りぬいた。独立リーグ日本一にも貢献し、今年は年間通した活躍でプロ入りを目指す。 (投球内容) チームではクローザーを任されるなど、投げっぷりの良さが持ち味。 ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0 170センチと上背はないものの、真上から投げ下ろして来るのでボールに角度があるのが特徴。球速・球威という意味では、ドラフト候補としては平均的。しかしボール自体にキレがあり空振りを誘える球質なのと、ボールが低めに決まることが多いのは評価できる。昨年19回1/3イニングで12四死球は多くコントロールはアバウトなものの、被安打は7の少なさは際立っている。 変化球 スライダー・フォーク?など ☆☆☆★ 3.5 最大の特徴は、独特に縦に変化するスライダーに特徴がある。オリックスの 山岡 泰輔 ばりのスライダーのキレは、プロでも充分通用しそう。他にもフォークの縦の変化球を積極的に使ってくるが、こちらの精度・キレは発展途上。それでも19回1/3イニングでも21奪三振で、投球回数を上回っている。 その他 小柄で動きの良い選手で、牽制のターンも鋭い。クィックも1.05~1.15秒ぐらいと基準以上。間をとってじっくりとか細かいコントロールはないものの、そのぶん投げっぷりが良いリリーフタイプ。 (投球のまとめ) ボールが揃い出すと怖い面はあるが、適度に荒れつつ強力なスライダーという武器があるのが光っている。個人的には、同じ徳島から入った 伊藤翔(西武)よりも面白いのではないかとみている。伊藤がセンスの良い先発型だったのに比べると、戸田は運動神経に優れたリリーフタイプといった気がする。下位~育成あたりならば指名があっても不思議ではないのではないのだろうか。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点からプロでやれそうなのか観てみたい。セットポジションから足を引き上げる勢いはそれなりで、引き上げた足を空中で曲げ伸ばししてから投げ込んでくる。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 当初はお尻はバッテリーライン上に残りがちも、フォーム後半にかけて深く一塁側に落ちてくる。そのためカーブやフォークといった球種を投げるのに、無理があるというほどでは無さそう。「着地」までの地面の捉えも早すぎることはなく、適度な体重移動もできている。そのためフォークのキレという言う意味では微妙も、良いスライダーを投げることができているのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 抱えているグラブが身体がから離れてしまっているので、どうしても強い上半身の振りに対し軸がブレやすい。そのへんが、コントロールのアバウトさにつながっているのではないのだろうか。それでも足の甲での地面の捉えはしっかりしており、リリースでのボールの押し込みも良いのか低めには球が集まってくる。小柄の力投派に多い、球筋全体が高い・抜け球が多いといったことはない。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻はある程度落ちているので、縦の変化がフォークだとしても窮屈にはなり難いのではないかと。気になるのは、ボールを持っている肩が極端に上がり、グラブを持っている肩が極端に下る腕の送り出しであり、肩などへの負担は大きいのではないのだろうか。また力投派なので、消耗も少なくないだろうということ。そういった部分では、プロの長く険しいシーズンにおいて、何処まで良い状態をキープできるのかは一つ気になるポイント。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までに粘りも適度に作れており、ボールの出どころもある程度隠せており、けして合わされやすいフォームではない。また腕の振りが強くフォームに勢いがあり、地面を強く蹴り上げるような躍動感が素晴らしい。それだけフォームの最後まで、作り出したエネルギーをボールに伝えることができている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たらない。しかし制球を司る動作に課題があり、故障のリスクが高いフォームであることは否めない。今後縦の変化球を武器にできるかは微妙だが、すでにスライダーという絶対的なボールを持っている。良い部分と悪い部分が同居するので、どちらの面が全面に出て来るかで結果は大きく変わってきそうだ。 (最後に) 20歳と年齢的には若いが、今後の成長を期待するというよりも即戦力に近い感覚で見たいタイプ。そういった意味では、完全にスケールよりも実戦派だと言えるのではないのだろうか。うまくハマれば、入団二年目以内には一軍で貴重な存在になりえるかもしれない。下位~育成あたりで獲得して、想像以上によくやってくれたというのを期待したいタイプの選手ではないのだろうか。 (2020年 紅白戦) |