20sp-13
海老塚 耕作(創学館・2年)投手 181/82 右/右 | |
2014年度の神奈川の高校球界には、140キロ台のボールを投げられる投手は複数いる。そんな中でも、打者の手元まで勢いという意味では、この 海老塚 耕作 が一番ではないのだろうか。 夏の大会では、リリーフとして活躍。延長15試合引き分けとなった桐蔭学園戦では、リリーフでも8イニングを投げて魅せた。ボールの勢いにかまけてグイグイ押して来るのが、この投手のピッチングスタイル。 (投球内容) フォーム分析のところで詳しくやりますが、着地までの粘りがなく、開きまくりのフォームから強引に腕を振って来る荒っぽい投げ方。とくに「着地」が早すぎて、身体が突っ込む場面がしばしばし見られます。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX143キロ リリーフということもあり、投球の殆どはストレート。ボールの勢いが秀でているので、わかっていても中々芯で捉えられません。ワンバウンドしたりコントロールもバラついて見えますが、ボールは真ん中近辺に集まることはなく、ストライクゾーンの外外に散るのが特徴。適度に、両サイドにも散っているのには驚きました。 変化球 スライダー・パームなど 滅多にに変化球は投げませんが、時々縦に沈む変化球があります。どうもこれは、パームボールとのこと。ただ曲がりが早過ぎるのか? 打者の空振りは誘えません。他にスライダーもあるのですが、高めで抜けたように曲がるだけで、キレ・精度共に頼れるものではなく、殆ど投げてきません。 その他 ランナーを背負っても牽制などは見られませんでしたので、その辺はよくわからず。ただクィックは、1.0秒前後と極めて高速であり、フォームが盗まれない限り容易には盗塁はできないでしょう。 細かい投球術、間を意識することはなく、ひたすらストライクゾーンの枠の中に投げ込む、そんな感じの投球です。 (投球のまとめ) チームではリリーフで起用されていたのもあり、投球の殆どはストレートですし、力で押すだけといったピッチングスタイル。恐らく投手陣は新チームになっても変わらない面子なので、最後の夏までこういった起用になるかもしれません。今は、理屈抜きに力で押すピッチングで良いのかもしれません。 (投球フォーム) フォームの入りは、セットポジションから意外に静かに入ってゆきます。 <広がる可能性> ☆☆ 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻を一塁側に落とすことは出来ません。そのため体を捻り出すスペースが確保できず、カーブで緩急を効かしたり、フォークのような縦の変化球には無理があります。その代わりを、パームで補っているのでしょう。 「着地」までの粘りもイマイチなので、体を充分捻り出す時間がありません。そのためストレートと同じ感じで投げられる、球速があって小さく変化する球でピッチングの幅を広げて行くことになりそう。カットボール・ツーシーム・スピリットなどが、彼には合っているのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆ グラブを内に抱える意識がないので、フォームが暴れてコントロールがつきません。更に足の甲での地面の押し付けも浅く、充分浮き上がる上体を抑えきれずボールが浮いてしまいます。今のフォームのままでは、コントロールの改善は厳しいのではないのでしょうか。ただけして、低めにボールが行かない投手ではありません。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻は落とせませんが、カーブやフォークといった球種は投げないので、肘への負担は少ないのでは。腕の角度はありますが、それほど送り出しに無理は感じません。それでもかなり強引な力投派なので、体への負担は大きいはず。日頃から体の手入れには、人一倍気をつけたほうが良いのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆ 「着地」までの粘りが不十分であり、「開き」も早いフォームなので、打者からは合わされやすいはず。せっかくコースにボールが散っていても、その球を踏み込まれて打たれてしまいます。 腕は強く振れているので、身体には絡んできます。変化球を投げても、見極めは難しいのでは? ボールへは体重が乗せられておらず、下半身の使い方に課題を残します。それでもこれだけの勢いのある球を投げられるのは、上体の強さが尋常じゃないのと、ボールを前で放せておりリリースで力を伝えられるからでしょう。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、「球持ち」以外には欠点を抱えており、とても実戦的だとは言えません。 コントロールを司る動作にも課題がありますし、けして故障し難いフォームだとも言えず、推せる材料が少ないのが気になります。 (最後に) ボールの勢い・球速は確かなので、最後の夏までにどのぐらいの球が投げられるようになるか気になります。ただそれだけでなく、制球や変化球・開きの早いフォームなど、取り組む課題は少なくありません。一体何処まで上のレベルを想定した投球ができるようになるのか、今後も創学館の育成力と本人の意識が問われます。 (2013年夏・神奈川大会) |