20ky-8





中山 礼都(巨人)内野手のルーキー回顧へ







 中山 礼都(中京大中京3年)遊撃 180/80 右/左





 「プロ好み」





 かなり荒削りな素材ではあるのだが、秘めたるポテンシャルは高そうでスカウト受けしそうな 中山 礼都 。先日行われた合同練習会でも、フリーバッティングでは高い評価がなされていた。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁をは、4.0秒前後とまずまず。このタイムは、プロに混ぜても 中の上 クラスの脚力がある。プロで足を売りにして行けるかは微妙なラインなのだが、攻撃的なプレースタイルだけに癖などを盗むセンスがあれば、プロでも足でアピールできるようになるのではないのだろうか。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 とっさの打球への対応や、キャッチング・スローイング共に基準レベルを満たしています。物凄く守備範囲が広いとは思わないのですが、地肩が強く球際での強さが目立ちます。しいて気になる点をあげれば、ゲッツーを取りにゆく時にセカンドに投げやすい送球を心がけられる余裕がないのか? ちょっと雑というか相手のことも考えて送球して欲しいというのは感じはしました。プロのショートをフルシーズン任せられるかは微妙だと思いますが、上のレベルでもニ遊間ではやって行ける素材だと評価します。


(打撃内容)

 夏の交流大会では、内野安打のヒット1本。ドラフト指名有力選手ながら、合同練習会に参加した意欲は買いたいが、実戦では結果は出ず。フリーバッティングで、右に左へと打ち返す打撃は評価を得ていたが、やはり打てる球・打てる投手が限られているので、対応力という意味ではかなり粗いということになってしまう。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしては、それなりといった感じだろうか。昨秋見たときはスクエアスタンスだったので、少しボールを呼び込んで打ってやろうという意識があるのかもしれない。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用。基本いろいろな球に対応しようとするアベレージヒッターの傾向が強いのだが、投手がまだ投げるタイミングを変えられる段階から動き出すので、プロレベルだとここまで早い段階での始動をする選手はほとんどいない。投手の重心が下がり初めてからでも、遅くはないのではないのだろうか。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でも、スピードの変化には対応しやすい。アウトステップするように、内角への意識が高いのだろう。

 踏み出した前の足が、地面から離れるのが早い。そのため引っ張って巻き込むのには適しているが、外に逃げてゆく球や低めの球への対応は開きが早くなり厳しくなる。このへんは、合同練習会のフリーバッティングではレフト方向へ打ち返すこともできていたので、平常心のときはできるのかもしれない。しかしまだ身体に染み付いていないのか? 実戦段階になるとどうしても引っ張りにかかって開きが早くなってしまっているのかもしれない。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備であるトップの形を作るまでは、自然体で力みは感じられない。ただしバットを引くのが遅れがちなので、立ち遅れないように注意したい。バットの振り出しも、インサイド・アウトではないものの外角の球をインパクトするまでにロスは感じられない。バットの先端であるヘッドまで下がらないので、広い面でボールを捉えることができている。

 けして打球に角度をつけて飛ばすタイプではないが、スイングの弧も大きく思いっきりが良い。ホームラン連発というよりは、強烈な打球が野手の間を抜けてゆくタイプであり、二塁打・三塁打などが多いのかもしれない。

<軸> ☆☆★ 2.5

 足の上げ下げは結構あるので、目線の上下動はそれなり。足元が盤石とは言えないので、身体の開きが我慢できない。特に左投手の外角低めに切れ込むスライダーなどは、アウトステップ相まってより遠くに感じているはず。軸足には、内モモの筋肉に強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 スイング軌道に悪いクセはないものの、目線がブレたり、トップを作るのが遅れたり、踏み込んだ足元が早く地面から離れ開きが我慢できないなど、課題は少なくない。しかしそういった欠点は、意識と練習で改善できる余地がであり、プロ入り後修正して行ける可能性はあるのではないのだろうか。確実性には課題は残すものの、良い時の爆発力には見るべきものを持っている。


(最後に)

 本会議での指名が有力視されている中、合同練習会に参加した意欲は買いたいところ。そういったギラギラしたものは、昨年の 森 敬斗(桐蔭学園-DeNA1位)に通ずるものが感じられる。森の高校時代に比べると守備力は上だと思うが、足・肩の身体能力では少し劣る。しかしプロ好みの素材でもあるだろうから、4位前後ぐらいでの指名は充分意識できるのではないのだろうか。打てる球・打てない球がハッキリしていたり、ある程度守備力があるという意味では、昨年の 武岡 龍世(八戸学院光星-ヤクルト6位)にも近いタイプかもしれない。いずれにしても、本会議での指名は間違いないだろう。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2020年 プロ志望合同練習会)


 








中山 礼都(中京大中京2年)遊撃 180/80 右/左  
 




「資質は高い」 





 2年秋の東海大会などでも打ちまくり、一躍ドラフト候補と注目された 中山 礼都 。しかし神宮大会では、決勝までノーヒットと不調にあえいだ。しかしアウトになってもバットを振れる選手で、能力の片鱗は垣間見せてくれていた。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 神宮大会決勝戦の健大高崎戦では、ショートゴロの時のタイムが4.3秒弱とあまり速くなかった。しかし第2打席に放った右中間オーバーのスリーベースの三塁到達タイムは、11.4秒ぐらいとかなりの好タイム。ベースラニングを観ていても速そうだったし、各大会でも適度に盗塁を決めており、中の上 ぐらいの脚力は秘めているのではないかとみている。

守備力:☆☆☆☆ 4.0

 大きく手前でバウンドが変わる神宮のグランドでも、瞬時に反応して処理していたのはうまかった。球際での強さに加え、ハンドリング・スローイングともに水準以上。特に地肩は、かなり強いのではないかと思われる。派手なプレーを魅せるようなタイプに見えるが、けして雑なところもなく、純粋に上手いのではないかと思う。上のレベルでも、ニ遊間で勝負して行けそうな確かな守備力がある。


(打撃内容)

 確実性は低いが、捉えた時の打球は強烈。ホームラン連発というよりも、強烈な打球が野手の間を抜けて行くタイプの強打者ではないのだろうか。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられた強打者スタイル。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスと揃い、打席でも雰囲気のある好い構えだと思う。

<仕掛け> 遅すぎ

 ベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのは投手がリリースを終えてからと極めて遅い。ここまで遅いタイミングだと、木製バットでプロレベルの投手の球に対応するのは、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると厳しい気がする。全国レベルの神宮大会で苦労したのも、そのへんが大きかったのかもしれない。

<足の運び> ☆☆★ 2.5

 足のつま先を上げ下ろし、その場で真っ直ぐ踏み込む。始動~着地までの「間」が取れず、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」がより求められる。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。それでも踏み込んだ足元はインパクトの際に止まってブレないので、逃げて行く球や低めの球にも食らいついて流せる。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 始動が遅すぎる影響で、打撃での準備である「トップ」の形を作るのが遅れてしまっている。これでは、一定レベル以上の投手のスピードには対応できないのではないのだろうか?

 バットの振り出し自体は、インサイドアウトではなくバットをしなりを活かし思いっきり振ってくる。バットの先端であるヘッドも上手く残し、フェアゾーンにボールを飛ばす確率も低くない。スイング軌道などには問題がなく、余裕のないほどの始動の遅さが打撃の幅を狭くしていると言えるのではないのだろうか。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さめで、上下のブレは小さい。身体の開きも我慢できており、軸足にも粘り強さが感じられ軸は安定している。

(打撃フォーム)

 下級生の頃は、もっとオーソドックスな始動で足の使い方をしていたように思う。今のスタイルだと、捉えられたときはいいが確率的には低いのでは?という印象は拭えない。そのため、一定レベル以上のスピードに対してにはどうなのだろうという疑問は残る。

 構えと同じくタイミングのとり方は、非常にデリケートな部分だけに本人の感覚が大事だとおもう。ただしそのタイミングが遅すぎると、どうしても動作全体に余裕がなくなってしまい、打撃に必要な要素を省略して対応しなくては行けないというのは気になるところ。神宮大会で打てなかったことを本人がどう捉え、それを今後の試合に活かして来るのか注目したい。


(最後に)

 持っている資質は、間違いなくプロ級だと思います。問題は今の癖のある打撃を、プロ側がどう見るか? また本人が、神宮大会以後どう考え、センバツでプレーするのかに懸かっているようにも思います。タイプ的には、昨年の 武岡 龍世(八戸学院光星-ヤクルト6位)に似たタイプではないかと観ています。ただし走力などもあり、もうワンランク上の活躍も期待したくなる素材ではあります。センバツでのアピール次第では、一躍上位指名まで昇りつめても不思議ではない選手だけに。


(2019年秋 神宮大会)