20ky-7





牧原 巧汰(ソフトバンク)捕手のルーキー回顧へ







牧原 巧汰(日大藤沢3年)捕手 176/82 右/左 
 




 「もっと堂々としていたような・・・」





 下級生までの 牧原 巧汰 は、先輩にも臆することなく声をかけ、周りにもしっかり指示を飛ばせる堂々とした捕手だった。しかしこの夏のプレーを見る限り、そういった姿が陰を潜めてしまったのではないかと残念にならない。私が思い描いてきた 牧原像 は、完全に崩れ去った夏だった。


(ディフェンス面)

 今は、なんとなく自分の仕事を黙々とこなすといった感じのプレースタイルに変化。しっかり投手に示していたミットも、今はすぐに降ろしてしまうなど自信なさげに見えてしまう。ワンバウンド処理に対しては、素早く反応して下からミットを出すなど動きは悪くない。しかし一球一球の捕球などは平凡に見えてしまう。またスローイングも、しっかり型を作ってから投げられないので、送球は不安定。神奈川大会を観ていても結構走られていて、ドラフト候補のそれには見えなかった。元々打力が光っていた選手だったが、守備でも許容範囲のレベルにあった選手。しかし今の内容だと、プロで捕手としてやってゆくには物足りなく映った。


(打撃内容)

 旧チームから一番を任せられるように、長打力よりも対応力の高さが目立つ選手です。個人的には、ボールに合わせる上手さは健在だと感じました。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。背筋を伸ばしつつ両眼でしっかり前を見据え、全体のバランスとしてもまずまず。特に打席では、高い集中力を感じさせるところは良いところ。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げ回し込み、さばくコースによって踏み込む位置を変えてきます。始動~着地までの「間」はそこそこ、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。内角をさばくときにはアウトステップ、外角をさばく時はベース側に踏み込んで来るインステップと、コースに対する自在性が高いのは優れた資質です。踏み込んだ足元も、インパクトの際には止まってブレません。したがって、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは、自然体にボールを呼び込みます。そのため力むことなく、ボールを柔らかく迎えることができています。バットの振り出しにも癖がなく、インパクトまでロスなく振り抜けています。バットの先端であるヘッドの下がりもなく、広い面でボールを捉えます。逆に角度をつけて打球を飛ばすタイプではないので、長打よりも確実性を重視したスイングだと言えます。

 スイングの弧は大きく取れていますが、けしてフォロースルーで打球を遠くに運ぶといったタイプではありません。ヘッドスピードの鋭さ・打球の強さという意味では、ドラフト候補としては平均的で際立つものは感じられませんでした。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは観られますが、目線の上下動は大きくはありません。身体の開きも我慢でき、軸足の形も平均的でしょうか。

(打撃のまとめ)

 打撃に関しては、良い意味でも悪い意味でも昨年から大きく変わった感じはしませんでした。ボールを捉えるということには非凡なものを持っており、けしてボールを飛ばす形ではないのに打球が飛んでゆくのは、バットの芯でボールを捉えつつ、インパクト時にグッと押し込めるからではないのでしょうか。ただし、スイングや打球に凄みみたいなものがあるのか?と言われると、そこまでの迫力は感じませんでした。


(最後に)

 プロ志望届を提出すれば捕手として指名され、数年は捕手としての適正を試されることになるだろう。しかし私には、プロ捕手を担い続けるほどの魅力は感じられなかった。むしろ非凡な打力を活かし、いずれは他のポジションへコンバートされるのではないかと。走力・肩ともに悪くはないのだろうが、プロで売りにしてゆくほどのものがあるかと言われれ、これも疑問が残るところ。打撃も対応力は高いものの、そこまで長打で魅了するタイプかと言われると、それも疑問が残る部分はある。「打てる捕手」への期待は膨らむが、実際捕手としての力量は微妙であり、他のポジションでと考えた時に、そこまで高い評価はできないという結論に至った。志望届を提出すれば、指名されるとは思うが、高い順位での指名はどうだろうか?という気がする。それでも打撃の可能性を評価して、 は付けてみたいとは思うが。


蔵の評価: (下位指名級)


(2020年夏 神奈川大会)









牧原 巧汰(日大藤沢2年)捕手 174/76 右/左 
 




 「大物感漂う捕手」





 下級生ながら旧チームでは、先輩に臆することなく声をかけていた 牧原 巧汰 。その堂々としたプレースタイルは、まさに大物感漂う捕手だった。

(ディフェンス面)

 周りにしっかり指示の伝えられる選手で、少しでも気がつくことがあればすぐに投手に伝えに行きます。ミットをしっかり投手に示すので、投手としては的をつけやすいはず。グラブを地面に着ける癖もないので、素早くワンバウンドする打球にも反応できます。またその時に、下からスッとミットを出す癖も染み付いています。コースに来た球にも、ミットがブレないのでストライクとコールを審判から導きやすい特徴があります。少し荒っぽい捕り方をするときもありますが、キャッチングレベルはかなり高いと言えます。

 送球は、1.8秒台後半~1.9秒台前半ぐらい。ドラフト指名される捕手としては、ほぼ標準ぐらいのタイムです。地肩自体は基準以上で、送球のコントロールも安定していると言えます。投手の気持ちを察するとかいうよりも、ガンガン引っ張って行くタイプの捕手ではないかと思います。ディフェンス全般にバランスが取れていて、高校からプロに入る水準にはすでに来ているのではないのでしょうか。


(打撃内容)

 非常にタイミングを合わせるのが上手い選手といった感じで、旧チームでは1番を担っていました。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップを高く添えつつも、背筋を伸ばし両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスにも優れています。特に打席で力みも感じられず、良い構えではないのでしょうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を、バランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を引き上げ回し込み、ややベースから離れた方向に踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。軽くアウトステップするように、やや内角への意識が強い感じです。

 踏み出した前の足が、地面から離れるのが早いタイプ。そのため打撃も、引っ張り中心のスイングです。それでも夏の神奈川大会では、桐光学園戦で左中間スタンドに叩き込みました。アウトステップでも、甘めの外角球や高めの球ならば、充分に対応できるようです。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。それでも外の球をさばく際には、大きなロスはなくバットの先端であるヘッドも下がることなく振り切れています。スイングの弧もしっかり取れいて、インパクトの際に押し込むのが上手い印象です。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は激しくはありません。足元がしっかり止まるタイプではありませんが、早く腰が開く感じはしません。軸足の形も大きくは崩れず、比較的安定した打撃ができるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 タイミングのとり方が上手いなと思う部分があるのですが、夏の神奈川大会では3本塁打と長打力も光りました。ライト方向に上がった打球が保土ヶ谷球場の場外まで飛ぶなど、見た目以上にボールを飛ばせるコツを知っているのかもしれません。そのためインパクトの際の押し込みは、非常に良い選手だと感じます。捕手としてならば、かなり上位の打力の持ち主ではないのでしょうか。


(最後に)

 攻守にバランスが取れているおり、また堂々としたプレースタイルからは、高校からプロを意識させる素材です。最終学年でどのぐらい凄みを増してくるかはわかりませんが、充分にドラフト指名を視野に入れられる捕手ではないのでしょうか。全国でも上位ランクに位置する、捕手ではないのでしょうか。イメージ的には、阿部慎之助(元巨人)を少し小さくした感じです。


(2019年夏 神奈川大会)