20ky-6






津田 啓史(21歳・三菱重工EAST)遊撃  180/80 右/右 (横浜高出身)
 




 「即戦力としては厳しい」





 横浜高校時代は、東日本で一番上手い遊撃手ではないかと評価していた 津田 啓史 。社会人でも、高卒3年目にしてレギュラーを獲得するなど、順調な活躍を魅せている。しかし、プロを想定すると、まだまだ攻守に粗さが目立ち、即戦力としては考え難い。

走塁面:☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.3秒前後(左打者換算で 4.05秒前後に相当)するなど、ドラフト候補としては基準を満たすものがある。社会人の公式戦の46試合では、13盗塁を記録。これを、プロ野球の一軍シーズン並みの138試合と3倍して換算すると、年間39盗塁 と、かなり脚力を全面に出したプレースタイルだと言える。圧倒的な脚力があるわけではないが、実戦でもすかさず次の塁を狙って行ける脚力があることがわかる。ちなみに失敗は2個で、
成功率は.867厘 と、極めて高い。

守備面:☆☆☆★ 3.5

 軽快かつ堅実なプレーが高校時代から光っていて、フットワーク、グラブさばきも良く、それでいて雑なところがないところに好感が持てていた。今でもその傾向は感じられるのだが、
スローイングが乱れる傾向ケースが多い。プロを想定しても二遊間を担える素材だとは思うが、長い距離での送球に不安があり、セカンドあたりに収まってしまう恐れがある。ちなみに、社会人での46試合では7失策だということで、プロの1シーズン並みに換算すると、21個のエラーを記録することになる。ちなみにプロのレギュラークラスであれば、このぐらいの試合数だと10個前後の失策で済むので、まだまだ精度が低いことが伺われる。


(打撃内容)

 
チームでレギュラーには定着しているものの、打順は9番や1番などを担うことが多い。社会人で直近10試合の打撃成績をみても.257厘ぐらいであり、打撃では目立つほどのレベルには達していない。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5


 前の足を軽く引き、カカトを浮かせて立っている。グリップの高さは平均的で、幾分捕手側にグリップを引いて添えられている。腰の据わり具合や全体のバランスとしては悪くないが、
両眼で前を見据えるといった意味ではもう一つ。全体に、体が固いのかもしれない。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めた時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに良くみられる始動のタイミングとなっている。ただし、現時点ではそれほど対応力は高くない。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、若干ベース側にインステップしてくる。始動~着地までの「間」自体は取れていて、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。インステップ気味なので、若干意識は外角寄りにあることが伺われる。

 腰は早く開きがちだが、踏み込んだ前の足を地面にめり込ませ、開きを抑えることはできている。そのため、逃げてゆく球や低めの球には対応でき、右方向への打球も可能にはしている。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えているので、速い球には立ち遅れ難い。しかし、打撃の準備である
「トップ」をしっかり作れないまま振り出すので、しっかりタイミングが図れていないことが多い。

 バットの振り出しは、上からから振り下ろすインサイドアウトのスイング軌道。ただし、木製バットでプロの球をはじき返すには、もう少し
バットのしなりを生かしたスイングではないと厳しそう。バットの先端であるヘッドが下がらないことに意識が強すぎて、遠心力を利かしたスイングにはなっていない。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げがある割には、目線の上下動は少なめ。体の開きもなんとか我慢でき、軸足も地面から真っすぐは伸びてスイングはできている。軸自体は、比較的安定している。

(打撃のまとめ)

 下半身の動きはさほど悪くないが、
タイミングの取り方とスイング自体がアマ仕様で、プロ仕様に変えてゆくことが求められる。そのためすぐに、一軍で戦力になるというのは厳しいのではないのだろうか。現状は、社会人レベルでも打撃では苦労していることが伺われる。


(最後に)

 高校時代は守備が売りの選手であったが、今はむしろ
走塁が売りの選手になっている。プロの遊撃手としては微妙で、打撃も時間がかかりそう。そう考えると、現時点でプロ入りの「旬」なのかは疑問が残る。ある程度数年かけて、育てようという覚悟が求められそうだ。そのため、個人的にはまだプロ入りの「旬」ではないと評価したい。


(2023年 都市対抗)









津田 啓史(横浜2年)遊撃 180/77 右/右 





 「東日本NO.1遊撃手」





 秋の時点では、高校生で東日本屈指の遊撃手と言えるのが 津田 啓史 。けして派手なプレーで魅了するタイプではないが、実に堅実で玄人好みの遊撃手なのだ。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間を、右打席から4.3秒前後で走り抜けてくる。このタイムは左打者に換算すると、4.05秒前後に相当。プロに入る右打者としては、中の上 ぐらいの脚力ではないのだろうか。しかし名門・横浜高校の一番打者として、出塁すれば積極的に次の塁を狙う姿勢は忘れない。プロで足を売りにできるほどかは微妙だが、走力は水準以上あるとみて良いだろう。

守備面:☆☆☆☆ 4.0

 最大の売りは、軽快かつ堅実なショートの守備にある。フットワーク・グラブさばきも軽やかで上手く、それでいて雑なところがなく安定している。ただ上手いだけでなく、深いところからでもダイレクトに返球できる地肩の強さも確かで、上のレベルでもショートとして勝負して行ける素材ではないのだろうか。





(打撃内容)

 派手さはないが、センター中心に素直に弾き返す印象。どの試合でも安定して、自分の役割を全うできる技術がある。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりがよく、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並みぐらい。それでもリラックスして、打席に立てている。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げ回し込み、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は充分とれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強いように思います。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、インパクトの際にもブレません。逆に内角をさばくときも閉じられたままなので、窮屈になってしまっているのは気になる材料ですが。また外角よりの球でも、右方向へきっちりはじき返すというよりも、センターから引っ張る方向へ打ち返すことが多いように感じます。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である、「トップ」の形を作るのは自然体。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。そのため内角のさばきは、少し窮屈になりやすいように感じます。タイミングを合わせるのは上手いのですが、さばけるコースが限られているのと、それほど強く鋭くというスイングではないことは気になります。ドラフト候補として、打撃に凄みがないのはそのせいでしょうか?

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げそこそこで、目線の上下動もそれなり。身体の開きは我慢できていて、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。比較的調子の波が少ない、安定した打撃が期待できるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 タイミングを合わせるのは上手いものの、内角のさばきが窮屈だったり、結構引っ張り傾向が強いので打てる球が限られるのではないかと思われる。スイング自体にもまだ凄みはなく、ドラフト候補として打撃は平凡というか特別ものは感じられない。


(最後に)

 シュートの守備は、間違いなく高校生でも全国で指折りの存在だろう。俊足・強肩の身体能力に加え、ミートセンスも悪くない。本人がプロ志望であれば、ドラフトで指名される可能性は高いのではないかとみている。その一方で、プロでレギュラーを奪うためには、打撃を引き上げたいところ。最終学年を迎え、打撃への意識・打席での集中力など、目の色・取り組みがどのぐらい変わってくるのか注視したい。それでも個人的には、高校生遊撃手としては最も注目している選手だと言える。


(2019年夏 神奈川大会)